第28話“目頭押さえて” Shyrock作

「結婚って、愛する者同士が夫婦となって、ひとつ屋根の下で暮らすことじゃないの?」
私は至って神妙に答えました。
「愛する者同士どすか…」
「そりゃ一概に愛する者同士だけとは言えないだろうけど。世間には色々な状態の夫婦がいるわけだし。うまく言えないけど…。男女が社会的に認められて、継続的な共同体を作ることを目的とした契約行為と言うか…ははは、うまく説明できないよ~。でも、どうしてそんなこと聞くの?」
「かんにんしとくれやすな。結婚て何やらよう分からんようになってしもてぇ……」
「惠…」
「何どすか?」
「人生山あり谷ありだよ。いい時もあれば悪い時もある。結婚してずっとうまく行ってる夫婦なんて滅多にいないと思うよ。惠は今スランプな時期なんだよ。きっとそのうちうまく行くって」
私は自分でも驚くほど思いがけない言葉がスラスラと飛び出しました。
でも辛そうな惠を見ていて、彼女を励ますことが、今、自分にできる精一杯のささやかな愛だと思いました。
「さよどすなぁ……」
惠は私の言葉を噛み締めるように聞き入り、静かにうなずきました。
しばらくすると私の方を見つめて笑顔でささやきました。
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Shyrock様からの投稿を読んでつくづく思います。
官能小説は様々あれどほぼほぼ現実にそう文体であり感心させられます。
流れが良いんですよ。 目をつむっていても情景が浮かんでくるような気がするんです。
知佳のブログの中で「美貌録」だけアクセスが伸びず対策にブロ友をと探し回りましたが現実の世界とはまるでそぐわない文章の羅列、あれを見る限りこのような文を愛読する人たちって余程世の中に対し不平不満を抱いてると思えて仕方がありません。
しかもその手の小説の方が圧倒的に人気を博している当たり書く方としても考えさせられます。 一般小説を読む人と官能小説とでは計り知れないほど隔たりがあるんですね。
探す方面と探す手法を考え直します。