官能小説『危ない画像』 第12話

和美が眉根に皺を寄せた。
「こんなの、初めて。」
夜が明けた頃、いつの間にか眠ってしまった和美の唇に邦宏がそっと口付けした。
和美がそっと目を開いた。
「これからも、ずっと可愛がってくれる。」
「勿論だ。そうでなければ抱いたりしないさ。」
「嬉しい。私、別れてよかった。」
次の晩、会社から戻った邦宏が二人だけの新婚旅行に行こうと和美を誘った。一週
間の長期休暇を取ったのである。その旅行で選んだのがこの温泉だった。
「私はもう五十近いし、こいつも四十過ぎてます。お互い張り合いのない余生を送
る位なら、一緒に地獄に堕ちて、目一杯最後の人生を楽しもうじゃないか、ってこと
なんですよ。」
和宏がもう一度和美を抱き寄せた。
「しかし、とんでも無いところを見られてしまいました。」
「大丈夫です。心配しないで下さい。」
進がそう言って久仁子を自分の方に引き寄せた。麻美も負けじと雅彦の手を引き寄
せる。
「お互いに似たもの同士の二人組と言う訳けですね。」
和宏が安心したように笑った。
「そろそろ寝ようか。」
風呂から上がったところで進が自分たちの部屋に戻ろうとした。
「そうね、私も。」
久仁子が後から付いて行く。