知佳の美貌録「覚えてますか?あの日のことを。」

産むだけ産んでおいて育てもらえなかった子供たちはただ生きる為このようなことをやった。 にもかかわらず世の中は大人のエゴで動いた。 ゴミ漁りもそうで、何かを見つけると大人が先にとってしまう。 弱いものの上前を力に証し撥ねる。 暴力は常に付きまとった。
幼くして夜逃げや路上生活を強いられた末に飯場(はんば)で暮らすことになった久美は弟の面倒を看るため、大人のやることは何でも懸命になって覚えた。
少しでも多く大人の役に立ちご褒美のお菓子をもらうとそれを自分はほとんど食べず弟に分け与えた。
その弟と今度は貧困屈でたったふたりっきりで暮らすことを強要される。
久美は保育園・幼稚園こそ通えなかったものの、園で教えているようなことはお菓子を手にいれたく、大人のやることを見様見真似し働いて何かを得てきたものだから必要上ある程度のことはできるようになっていた。 生きる為の基礎ができていた。
未開の地から都会の小 学 校に通うことになった。 無学の地から学校のある地に無理やり引っ越しさせられた久美だが、教えたことを覚えるのが保育園・幼稚園こ通っていたはずのどの子より聡かった。
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知佳の美貌録「腹を空かせた弟のために」

それ以前は例えば食用が不足する冬場などに学校にほど近い農家が野菜を持ち込み用務員が温かい味噌汁だけ作りこれを栄養の足しに配るということも試みられていた。
何のことはない、学校に通ってくる子供たちのほとんどがお百姓衆らの子でご飯はなんとか持たせてやれるが家で食べてるものと言えば醤油汁。 味噌は余程の技術がない限りこの時代もうどこの家でも作ることが出来ずたとえそれが味噌汁であっても飲ませてやれなかった。 ましてやお弁当のおかずとなると漬物以外なかった。 子供たちは弁当のおかずに漬物を入れると酷く嫌がる。
結局恥ずかしさも手伝ってお弁当を持たずに学校に通う子もいたからだ。
学校で供される味噌汁には油揚げがたっぷり入っている。 たったそれだけのことなのだがこれが子供たちにとってご馳走に思えた。 冷え切ったご飯も喜んで食べてくれるようになったのだ。
ちなみにこの油揚げと味噌代や味噌汁と作る折の薪代は当時の教員からのカンパだった。
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