官能小説『危ない画像』 第4話

その目が雅彦の心を乱した。若き日の母親に恋してしまった自分に雅彦は動揺しなが
らも次々と写真を開いて行った。女の部分の大写しは沢山あったが、流石に放 尿シー
ンは一つもなかった。安心したような、ガッカリしたような、複雑な気分で雅彦がも
う一度最初からスライドショーを実行して母親の姿を目に焼き付けて行った。何度見
ても麻美の若い姿は魅力的だった。
「ただいま。雅彦、帰ってるんでしょ。」
麻美の声に雅彦が慌てて写真を消した。ドアが開くのと画面から麻美の姿が消える
のが殆ど同時だった。
「何か面白いの、見付かった。」
雅彦の慌て振りを見て麻美が意味ありげな視線を送ってきた。
「え、うん。ちょっとね。」
「もしかして、エッチな写真でもあったんじゃないの。良かったら後で見せてね。」
「え、まあね。」
「ちょっと挨拶回りに行ってきたの。お土産に鶴瀬の豆餅と大福買ってきたから、
食べない。」
「食べる、食べる。あそこの豆餅、美味しいんだよね。」
鶴瀬は湯島に古くからある和菓子の老舗で、ここの豆餅にはえんどう豆がビッシリ
入っている。雅彦の大好物だった。
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