欲情は素直な行動へとふたりを駆り立てました

訪いの要件はさておき、ふたりはもつれ合うようにしながら上がり框に向かったんです。
こういった折の男の想いというのはひとつしかありません。 若い男にすれば、是が非でも寝取らねば下腹部が大人しくなってくれそうになかったのです。 人妻艶子さんを、ご主人にそれと知られないうちに板戸で設えた上がり框の奥の部屋に押し込み、組み伏せることが出来さえすれば乳が吸え、そうなると経産婦ゆえに男への警戒心も薄れてくれるでしょうから、割り入ることも夢ではない。 そうは思うものの旦那の存在が心配で躰同士が触れ合うほど近寄ることはできたものの、三和土から先奥に引っ張り込めません。 それなら家の裏手に引っ張ってゆくだけと、男なりに覚悟を決めました。
青年は半ば乳にかぶりつくように、腰を抱くようにしながら抱きとめ、相手の意思を確認すべくとりあえずその場で股間を用心しつつ押し付けました。
訪って来た若い男

そのおっぱい、吸うどころか勢い余って噴き出すほどで、息苦しさからか赤ん坊は力なく口を開け、その開けた口元から涎掛けに飲み残しのおっぱいが滴り落ちていました。
「ほらほら、おっぱいだよ。 お願いだから飲んで頂戴」
やさしく語り掛けるように乳を含ませるんですが、赤ん坊や嫌がってそっぽを向きます。 そうこうするうちに仲間連中は休憩時間が終わったらしく三三五五に仕事に戻っていくんです。 艶子さんは焦りました。 赤ん坊がおっぱいを飲んでくれなくて乳が張るだけならまだしも、この頃では腋にほど近いところに妙な瘤状のものが出来、次第に大きくなり始め、深夜ともなると痛むんです。
(……ひょっとして乳癌……まさか、そんな……)
怯えは気持ちどころか性格まで毛羽立たせましたが、悲しいかな立場はあくまでも嫁。 黙って耐えるしかなかったのです。
こうやってたまの休日でも旦那の姑に追い立てられるように昼間は野良仕事に精出す艶子さんにとって、自由に我が子におっぱいを含ませてやれるのは手の空いているこの時間か、夕食を終え家族が寝入る深夜帯だけだったのです。
張りすぎたおっぱい

「そんなこと言ったって……おおよしよし……自分だけ寝てぇ~……ホント勝手なとうちゃんだね」
深夜だというのに、もう2時間近くこういったやり取りを繰り返していました。 嫁いできたときには家族がもろ手を挙げて喜んでくれたものの、子を孕み夜のお勤めが出来なくなったころから夫婦の間に溝が埋まれ、やがて子が生まれるといよいよもって亭主の英雄さんは妻の艶子さんを振り向きもしなくなったのです。
「イタタタッ……痛い!……噛むんじゃなくて吸うの!」
「やり方が悪いんじゃないのか? かわいそうに怯えてるじゃないか」
うるさそうに授乳の様子を見守っていた英雄さん、言わいでもよいことをついポロリと口にしました。
「うるさいわねぇ~、あなたのお母さんが悪いのよ。 あれほど言っておいたのに、ま~た昼間重湯を飲ますんだからぁ~」
艶子さん、結婚当初 その豊満な乳房を英雄さんは喜んで弄びましたが、いざ妊娠となったときそのあまりの乳量に腰が引けてしまってたんです。 英雄さんの母親、つまり艶子さんの義母に当たる方も艶子さんが人並み以上に胸が豊かだったなんて知りません。 親からの言い伝え通り、母親が働きに出ている昼間、せっせと重湯を作っては匙で口に運んでいたんです。
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