掘割の畔に棲む女 ~法律のはざまで~
たとえそれが生活に困るからとか食べるものがないとかの理由で逸脱したにしても仮釈は取り消され仮釈の折に誰かが支払ってくれたであろう保釈金は没収され次の裁判に向け新たな費用が発生します。
最初の仕事、清掃業は問題なかったにしても飲食店関係は気を付けなければなりません。 場合によっては起訴内容に抵触するからです。 飲食店の大分別は 『宿泊業』 と 「飲食サービス業』 になりますが、千里さんの場合宿泊業は限りなくイエロー・カードなんです。 もちろん稼ぎが良いからと飲食業でもピンサロやキャバレーに職業として出入りしたりすれば一発アウトです。
ここいらが難しくて、例えばオーナーとか店舗系列にそれらが少しでも混じっていたりすれば結審に影響が出るのは必須です。 紹介してくれた社長が組との繋がりがあったり飲食店がみかじめ料を払っていたりし、しかもそれを知っていて務めたりすればアウトだからです。 千里さんは賄い飯を頂く折とかを利用しまさかの情報を得ようとしました。
掘割の畔に棲む女 ~女囚~
不幸にもこの段階で千里さんは事件のことで男が取り調べ中に一体何をしゃべったか知りえません。 しかし警察としては調査がどこまで進んでいるかを知られないためにある程度可能性のありそうな事例を持ち出しと言いましょうかでっち上げ揺さぶりをかけてきます。 千里さんは事件の関係者からではなく房で知り得た感触のみ頼りに回答しなくちゃなりません。 恐怖感にさいなまされ、早く解き放って欲しいものだから必要ないことまで正直にしゃべっちゃうことだってあるんです。
被害者として任意の取り調べに協力したはずなのに、いつの間にか加害者側 (別件逮捕) になってしまってたんです。 任意同行の要請が男が現行犯逮捕されてしばらく経って行われたのは調べていくうちに署として別件逮捕が妥当ではないかとの上層部の判断で召致を経て逮捕したからでした。
知佳の美貌録「死にゆくものに鞭打つ父」

鉄道郵便が主だったこの時代、列車が走行中に手作業で地区別 (市内) ・区域別 (市郡及び都道府県) に仕分けられ市内は郵便配達員が配って歩いた。 現金書き止めであっても例外ではなかった。
今の時代からいえば信じられないことだが、飯場(はんば)で暮らしていたときもそうであったように久美たち姉・弟は義務教育という概念に縛られていなかった。 幸吉は大学への進学校を出たというのに親の責任感はまるでなかった。
政府・教育機関がやいのやいのというから従ったまでだった。 父親が村議ということもあって御上の声には弱かったのである。
せっかく女衒が呼び寄せてくれたというのに学校関係者からの呼び出しで大阪に、もといた学校に帰らなければならくなった。
教育委員会の言いつけでは残すところわずかではあっても学業を中途で投げ出すわけにはいかなかったからである。
当然女衒やご隠居さんは案じた。
たとえ我が孫の好子を釈放に導くことができたとしても、法律上元のような仕事 (パンパン) につかすわけにはいかない。

テーマ : 女衒の家に生まれ・・・ 高原ホテル
ジャンル : アダルト
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