掘割の畔に棲む女 ~知識不足ゆえの行き違い~
その影響は例えば千里さんの場合、千里さんの拘留中司は無駄と分かっていても連日のように署に押しかけ面会を申し込まなきゃ状況把握は出来ないんです。
しかし不幸なことに事件発生後 司は美月ちゃんを連れ遠く離れた津和野に帰ってしまっています。 拘留されている署まで連日出て来いというのは酷です。 千里さんは状況が一変し仮釈されてしまっていましたが、そのことを遠く離れて暮らす司は知らなかったんです。
また、たとえ翌日でも良いので署に出向いたとして、果たして彼女の仮釈を署員が教えてくれるかと言うと、これがそうでもないんです。
面接を申し込んだとしても拘留中なら 「該当しない」 と言われ仮釈なら 「認められません」 とでも言われるのが関の山なんですが、司はこの差を依然と同様 『門前払い』 と受け止めてしまったのです。
時として若い正義感に満ちた刑務官が窓口にいて 「何時とは言えませんがここにはいらっしゃいません」 とでも言ってくれたなら初めて仮釈なのか拘置所に送致されたかを知ることが出来るのです。
掘割の畔に棲む女 ~法律のはざまで~
たとえそれが生活に困るからとか食べるものがないとかの理由で逸脱したにしても仮釈は取り消され仮釈の折に誰かが支払ってくれたであろう保釈金は没収され次の裁判に向け新たな費用が発生します。
最初の仕事、清掃業は問題なかったにしても飲食店関係は気を付けなければなりません。 場合によっては起訴内容に抵触するからです。 飲食店の大分別は 『宿泊業』 と 「飲食サービス業』 になりますが、千里さんの場合宿泊業は限りなくイエロー・カードなんです。 もちろん稼ぎが良いからと飲食業でもピンサロやキャバレーに職業として出入りしたりすれば一発アウトです。
ここいらが難しくて、例えばオーナーとか店舗系列にそれらが少しでも混じっていたりすれば結審に影響が出るのは必須です。 紹介してくれた社長が組との繋がりがあったり飲食店がみかじめ料を払っていたりし、しかもそれを知っていて務めたりすればアウトだからです。 千里さんは賄い飯を頂く折とかを利用しまさかの情報を得ようとしました。
知佳の美貌録「逃避行再び 収監された母」

有無を言わさず身ぐるみ剥ぎ取り、体内に何か隠し持っていないかまでも数人の取調官を前にし徹底的に調べ上げられる。 心身ともに外の世界と縁切らせるためだがその後諦め素直になった捕縛犯の合意を得て指紋を採取されモンタージュ写真が撮影されるなどし犯罪人登録書類が作られる。
本当の理由はいまだにわからないがある日の深夜 あれほど平穏に過ごせると思えた淡路を再び抜け、今度こそ大阪の八尾よりもっと粗悪な場所に一家は逃夜行した。
それから数日、外出を避けることはあっても親が気づかぬ間に姿を消すなどということはなく、久美にとって何事もないある種平穏な日々が過ぎていった。
何故か表に出たがらない母に言い出しにくく、淡路に移り住んだ時のように新しい学校への転入手続きを久美は今度も自分で行った。
相変わらず他校の制服らしきチグハグな服を身に着けて登校し、目の前に現れた学校の職員らしき男性に声をかけ職員室の場所を聞きだし、勝手に職員室に乗り込んで手続きを済ませた。
テーマ : 女衒の家に生まれ・・・ 高原ホテル
ジャンル : アダルト
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