掘割の畔に棲む女 ~栄養失調との闘い~
司もまた労務と栄養不足で躰が悲鳴を上げていました。 口内炎に悩まされ酷い下痢が続いていたんですが、千里さんの唇の荒れようからして母娘とも同じ症状に悩まされてると思われたのです。
体調が思わしくないなどの理由で司が旅館を立ち去れば、それ以降どんなに頑張っても、投宿を申し込んでも恐らく二度と泊まらせてはもらえないことを知っていました。 かと言って廓の女郎同様千里さんを受け出そうにも女将との関係がぎくしゃくしている今、どんな金額を吹っ掛けてくるか見当もつかないのです。
今できることと言えばひたすら母娘の健康と安全を願い、ふたりの労苦を陰で支えるしかなかったのです。 これまでコツコツ貯めてきたお金と両親から借り受けてお金。 それらが尽きた時救い出せていなかったら何もかもが水の泡となるのです。
近くにいさえすれば何か手掛かりがつかめるはずと下働きに入りました。 こうして藤乃湯にとって珍妙な宿六が誕生したのです。
お医者さんが薦めてくれた漏れ止め処方箋
今回の事件はこの一言から始まりました。 事実堤先生は見た目にも痩せこけ心なしか顔色も青白く見えたんです。
「ちゃんと食べてるの? おなかの調子でも悪いんじゃない?」
薬種問屋の女将は心配して様々な薬を調合し服用させるんですが一向に回復の兆しが見えないんです。
人間有頂天になると周囲の状況が見えなくなるというのはよくあることです。 大切な母子や須恵乃さんの生命と財産を守ることができ、下薬研 (しもやげん) の活性化に帰依することができてからというものこれまでと打って変わって展望が開き始めた先生はまるで天にも昇る勢いで日々過ごしていました。
あまりの多忙さに睡眠まで削らなくちゃならないほどだったのです。 しかし恋人の真紀さん母子もやっと回復に向かい始めた時であり心配させたくなくて体調不良などと言い出せなかったのです。
「ねえ先生、今度お泊りに来てくれるのはいつなの?」
この頃はひっきりなしに質問攻めにあいました。 真紀さんのみならず公子ちゃんまでもがひとつ屋根の下で一緒に暮らせる日を夢見ていたんです。
「秋の収穫にはちゃんと休みを取って来るようにするからその時かな?」
「わあい! 早く秋が来ないかなあ」
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Shyrock様からの投稿を読んでつくづく思います。
官能小説は様々あれどほぼほぼ現実にそう文体であり感心させられます。
流れが良いんですよ。 目をつむっていても情景が浮かんでくるような気がするんです。
知佳のブログの中で「美貌録」だけアクセスが伸びず対策にブロ友をと探し回りましたが現実の世界とはまるでそぐわない文章の羅列、あれを見る限りこのような文を愛読する人たちって余程世の中に対し不平不満を抱いてると思えて仕方がありません。
しかもその手の小説の方が圧倒的に人気を博している当たり書く方としても考えさせられます。 一般小説を読む人と官能小説とでは計り知れないほど隔たりがあるんですね。
探す方面と探す手法を考え直します。