知佳の美貌録 「デパートの催物会場に極道の妻現る」

それが久美でした、急激に左前になりつつあったそのデパートの課長にどんなに皮肉を言われようと生活費を捻出するためしがみつき働いていました。
お隣のスーパーと全く変わらない中身しか入っていなくても包装紙だけ変える、包装紙が違うというだけで値段が格段に違う、そんな姑息なやり方をする言うなれば名ばかりのデパートにです。
しかし所詮田舎のこと、思考回路は何時まで経っても改まらず立派な包装紙に包まれたスーパーマーケットではなくデパートの中元・歳暮を見栄であっても贈りたい人はまだいたのです。
その反面贈りたいのはやまやまなんですが、産業が全くないこの地区では買おうにも働き口が、先立つものがないゆえにデパートに、例えば食品などスーパーと比較してもそう変わらないものを売ったにしても今度は見栄が邪魔して足を向けられないんです。
こう言った傾向は何も久美の住むこの地区だけじゃなく全国的に同じような状態になりつつあったんじゃないでしょうか。 こうなると売り上げが伸びるはずもなくこのデパートも実のところ本店から見限られ閉店となったものを、それでは従業員の受け入れ場所が無いということで市がテコ入れし再開していたのです。

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