掘割の畔に棲む女 ~女囚同士の淫交を勃起力に変え~
千里さんが大塚家に入り込んでくれたことで隆宏さんにとってこれらデリやソープに代わる妄想の対象となる女が出来たのです。
彼はひたすらその種の雑誌を読み漁り千里さんにアプローチできる手段を考えました。 奥さんの篤子さんに見つかれば一大事ですので用事で仕事場を離れたすきにまた別の場所で仕事をしている千里さんの元へ走りちょっかいを出し続けました。
その手法たるや実に単純で、どこやらから拾ってきたその種の雑誌の袋綴じを千里さんが休憩に使う小屋の彼女が疲れて横になる、その枕元に忍ばせておくんです。
この小屋は時にはおばあさんが手伝いに来てくれることもあるんですが常日頃はお師匠に当たる大塚家の当主 源蔵さんがひょっこり顔を覗かす程度で普段はまず彼女以外出入りしません。 そこにこっそり忍び込み枕の下に置いて帰るのです。

掘割の畔に棲む女 ~売春宿の汚名を着せられ立ち退きを要求される~
確かに千里さんのやり方は別方面から見れば世界的な観光都市の片隅に根付く売春宿、それそっくりだったからでした。 旦那連中も千里さんはあの藤乃湯旅館の離れに司という男と棲み暮らし、しかも夜毎客に向かってまるで他人棒を求めるが如く夜伽に出かけていたことを知っていました。
なので自分たちは千里さんを司と引き剥がすべく寝取るつもりで出かけているのに女房連中ときたら寝取られにわざわざ出かけて行くんだと息巻いての集団結託だったんです。
これに呼応して行政が重い腰を上げ強制撤去に乗り出しました。 千里さんが無断で住んでいた家屋も、あれほど熱心に千里さんの躰目当てに通い詰めてたおじさんたちが一言も反対してくれないものだから千里さんが仕事から帰ってみると既に更地にされていたんです。
掘割の畔に棲む女 ~鉈を持ち出してきた男~
司はこれまで彼女と接して得た経験からできる限りその部分には触れないよう、話題を変え明るくふるまってきたつもりでした。 美月ちゃんは確かにこういったやり方で徐々に心も生活も安定してくれましたが千里さんは一方方向に振れたまま元に戻りそうにないのです。
そうこうするうちに藤乃湯とは元来女将の方針からして雇女、つまり女中を使って望むお客様には夜伽をさせていましたので苦心惨憺やっとそういうことから少しは脱却できたと思った矢先、今度は自分で止める方向に舵を切った筈の千里さん自らが進んで誘われるまま男の部屋に忍び込み夜伽を再開させてしまったんです。
女がそういった状態になると彼女を取り囲んでいた連中もそれに呼応するように蠢きます。
tag : 女の心小さな諍い雇女夜伽彼女目的の野郎ども周囲に群がる熾烈な争い順番に組み入れてもらえない男鉈を奮って襲い掛かって薬を打たれつつ行為に及んで
掘割の畔に棲む女 ~夜伽の代償~
わけても藤乃湯は秘かに添い寝する女がいると語り継がれていて、今でも千里さんのような女を目当てに遠方からわざわざ出向いてくる客もいたりするんです。 藤乃湯旅館のやり方は流行っていた頃から姑息でした。 本来なら旅館業を営むには調理師免許を持つ板前が居ないことには営業できないんですが、それらをすべて出前と言いましょうか業者が出来合いを持ち込んできたものを皿に盛りつけ客に供し、その分人件費を減らしていたのです。
しかも〇〇と思える客には特別室にご案内と称し料金をふんだくって一般客に比べ一層奥の間をあてがい、そこに雇女を差し向け酒席のとりもちや時には夜伽までさせ有り金を巻き上げていたのです。
掘割の畔に棲む女 ~女中という名の雇女~
しかし別れ際になって思い返すように連絡先を問うて来たので電話番号をメモ書きにして渡し、千里さんからの連絡が入るのを待つことにしました。
別れた場所が喫茶のすぐそばでしたので、ご迷惑をかけたついでに何処か泊まるところはないか聞いてみようとこっそり店内に引き返し声を掛けました。 すると 「そうですねえ~、お客様のような方なら」 近くの旅館ではなくホテルがいいんじゃないでしょうかと、こう言われたんです。 「それはどの辺りでしょう」 と聞き返すと 「お客様がもし列車でお越しになられたんなら、その駅前通りにあります」 と親切に街の観光用地図を添え教えてくれました。
「タクシーをお使いになれば基本料金にほんの少し足すだけです」 とも 「そこの朝食はバイキング方式になっています」 とも教えてくれたんです。 不可解なのは、つい今しがた女性との仲を取り持ってくれたはずなのに、もう彼女と距離を置けとでも言わんばかりに堀川から追いやられたんです。

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Shyrock様からの投稿を読んでつくづく思います。
官能小説は様々あれどほぼほぼ現実にそう文体であり感心させられます。
流れが良いんですよ。 目をつむっていても情景が浮かんでくるような気がするんです。
知佳のブログの中で「美貌録」だけアクセスが伸びず対策にブロ友をと探し回りましたが現実の世界とはまるでそぐわない文章の羅列、あれを見る限りこのような文を愛読する人たちって余程世の中に対し不平不満を抱いてると思えて仕方がありません。
しかもその手の小説の方が圧倒的に人気を博している当たり書く方としても考えさせられます。 一般小説を読む人と官能小説とでは計り知れないほど隔たりがあるんですね。
探す方面と探す手法を考え直します。