掘割の畔に棲む女 ~売春宿の汚名を着せられ立ち退きを要求される~
確かに千里さんのやり方は別方面から見れば世界的な観光都市の片隅に根付く売春宿、それそっくりだったからでした。 旦那連中も千里さんはあの藤乃湯旅館の離れに司という男と棲み暮らし、しかも夜毎客に向かってまるで他人棒を求めるが如く夜伽に出かけていたことを知っていました。
なので自分たちは千里さんを司と引き剥がすべく寝取るつもりで出かけているのに女房連中ときたら寝取られにわざわざ出かけて行くんだと息巻いての集団結託だったんです。
これに呼応して行政が重い腰を上げ強制撤去に乗り出しました。 千里さんが無断で住んでいた家屋も、あれほど熱心に千里さんの躰目当てに通い詰めてたおじさんたちが一言も反対してくれないものだから千里さんが仕事から帰ってみると既に更地にされていたんです。
第5話“身の上話” Shyrock作

いずれにしても行き先が決まったことで、私としてはホッと胸を撫で下ろした気持ちになりました。だって目的地も決まらないまま走るのは、タクシードライバーにとってはかなり辛いものがありますからね。
いつもは混み合っている名神高速も、その日は不思議なことに空いていて珍しく快適に飛ばせました。
天王山トンネルを少し過ぎた辺りだったでしょうか。
女性は私が尋ねたわけでもないのに、突然ポツリと語り始めました。
「運転手はん、うち……実は結婚してますねん……」
「え……?あ、そうなんですか……。」
その一言を耳にした時、私にかすかな落胆があったことは正直否めませんでした。
タクシーに乗車してきたお客が未婚者であろうが既婚者であろうが、そんなこと私には関係がないはずなのですが。
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Shyrock様からの投稿を読んでつくづく思います。
官能小説は様々あれどほぼほぼ現実にそう文体であり感心させられます。
流れが良いんですよ。 目をつむっていても情景が浮かんでくるような気がするんです。
知佳のブログの中で「美貌録」だけアクセスが伸びず対策にブロ友をと探し回りましたが現実の世界とはまるでそぐわない文章の羅列、あれを見る限りこのような文を愛読する人たちって余程世の中に対し不平不満を抱いてると思えて仕方がありません。
しかもその手の小説の方が圧倒的に人気を博している当たり書く方としても考えさせられます。 一般小説を読む人と官能小説とでは計り知れないほど隔たりがあるんですね。
探す方面と探す手法を考え直します。