官能小説『未亡人衣蕪 如意棒』 第1話 「読経のあと」 Shyrock作

Shyrock様 作

舎利寺入道(しゃりじ にゅうどう)は読経を唱え終ったあと仏壇に向かって合掌し一礼をした。
そのあと振り返って神妙な表情で早乙女イヴに会釈をした。
読経終了後、衣蕪は舎利寺に深々とお辞儀をし挨拶を述べ、お茶、茶菓子、そしておしぼりを差し出した。
「ご住職、本日はありがとうございました」
「本当に早乙女はんも大変でしたな。この前の忌明けは親戚の人たちがぎょうさん来たはったけど、その後、遺産分けのことでもめたはったんやて?ちょっと小耳に挟んだんやけど」
「ええ、そうなんです。亡くなった主人には兄が二人いまして、その妻たちがいろいろと口出しをしてきて……本当に疲れました。主人が亡くなった今、私には欲も徳もありません。ただただ平凡に暮らし、主人の御霊を弔っていければと思っています」
「それはええ心掛けや。若いけど偉いわ。奥さんは確かまだ二十九やったな?まだ若いのに未亡人になってしもうて、ほんまに気の毒としかいいようがあらへん」