官能小説『危ない画像』 第11話

まり返っている。脱衣所には脱ぎ捨てられた浴衣があった。
大浴場から最初に出た久仁子が振り返ってウィンクした。
「またエッチしてるわ、あの二人。」
久仁子の言葉通り、浴槽の縁に座った男の上から女が跨っていた。四人に気付いた
男が慌てて女を離そうとしたが嫌々をして離れない。四人がそばまで来ても女は腰を
振り続けていた。
「どうぞ、ご遠慮なく。」
麻美が声を掛けてから湯に入った。男は困ったような顔をしたが、女はしがみつい
たまま離れなかった。
四人が湯に入ったところでようやく女がハッと振り向いた。
「やだ、ごめんなさい。」
今更離れても遅いと思ったのか、女は男の胸に顔を埋めてしまった。
「失礼ですが、不倫ですか。」
進が笑いながら話し掛けた。
「いえ、そう言う訳じゃないんです。」
男が照れながら答えた。
「ちょっと人には言えない関係なんです。」
ピンと来た麻美が微笑んだ。
「もしかして、ご兄妹。」
二人の顔付きがよく似ていたからである。男が麻美をきつい目で睨んだ。
「大丈夫。心配なさらないで。私達だって親子同士でこうしてるんですから。」