悲壮感漂う姦通
入谷村内はともかく、そこから山をいくつも越えた先にある野田原 (のうだはら) などこのままの状態が続けば間違いなく孤独死しなければならないような状況でした。
どう見ても義道さんの出稼ぎはうまくいってるようには見受けられません。
生計が嫁いで来たあの頃珠子さんに夢を語ってくれた時のように立ち行かないからです。
義道さんはもうとっくに体力を使い果たし、残るは気力のみとなっていました。 だから余計に心配でした。
確かに誰をもうらやむ美形の妻を山深い自宅に残し里に出稼ぎに出るなどということはよほどのことでもない限りできません。 心配事というのが寝取られです。 入谷村の悪しき噂はよく見聞きしてるからでした。
それでも出かけねばならなかったのは妻との間に出来た子供たちを立派に世に送り出すためでした。 この時代、財布は大方の世帯では当主が握っています。 主要産業がないだけに先祖代々受け継いだものを切り売りと、まるで博奕のようなやり方で生計を維持していたからです。
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女を巡って諍いになる魚屋と地主

あの魚はあんたに渡すためじゃなく冨子さんに頼まれて持ってきたと言い張る荒勘さん。
「あんた、儂が盗人働いたとでも?」
「うんや、そうは言うとらん。 ちゃんと帳簿に付けとる」
マスヱさんにお世話になったあの日、帳簿を盗み見た筈だと荒勘さん。
「ほんなら文句無い筈じゃ」
「そこが大有りじゃ。 儂らがどんな思いでぶえん (生魚) を運んどると思うてか」
「売るためじゃろが。 ようけ儲けとると聞くぞ」
訪問したら留守だったからと台所に上がり込み適当な容器を見つけぶえん (生魚) をたんと放り込んで帰る。 しかも売掛帳簿には納めた商品より数を増し書くのが荒勘さんのやり方でした。 証拠が無いからです。
そう言ったやり口でも用いねば収支決算が合わなかったからでしたが、そんな商いでも縄張りはありました。
「それをようも、山越えた安達さんに届けんしゃったろう」
どうせ女房の珠子さんにいい顔したく掠め取ったろうと言い切られ二の句が継げない寛治さん。
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野外で草むらに隠れて絶叫SEX

そんな時に思いついたのが安達家の珠子さんで、役場の管轄では隣村に属しますが位置的には入谷村が最も近く、交流も半々になっていて年に数回顔を合わせますので雰囲気も良く知ってました。
学生時代に伝え聞いた噂によると ふた山越えた所にあるポツンと一軒家の珠子さん、頼みもしないのに入谷村の男衆を気の毒がってご主人の義道さんに内緒で時折くぱーしてくれるというんです。 とすれば、年に数回出逢ったのはそのくぱーに下りて来てくれた時?と思えたのです。
滅多に訪れる人とていない過疎地にどういう経緯で嫁いで来たか知らないけれど すこぶる美人の奥さんは界隈イチと思える体躯のご主人じゃ物足りないのかしょっちゅう遠く離れた入谷村内のあちこちの炭焼き小屋を訪ねては他人棒のお世話になり、いくばくかのお土産と言いますか貢ぎ物を手に帰っていくらしいんです。
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