掘割の畔に棲む女 ~振り子のように揺れる心~
口で言うのは簡単でしょうが、それが如何に大変なことか司は身をもって感じてしまったようでした。 美月ちゃんなら簡単ではなかろうかと近寄り、添い寝させてあげる仲にまで発展したんですが流石に有本家を出て学校に向かってから帰るまでの間に実際何が彼女の身に起こったのか聞き出すなんてことが実際問題できないんです。
母親にさえ隠し通している、いま彼女が置かれている位置を知るというのは生半可なことではできそうになかったんです。
これからすると千里さんの場合もっと根っこが深いはずで、この頃では司が心から知りたいと思った 『一体彼女の身に何が』 は永遠の謎のように思えてくるのです。
これまで一緒に暮らしてきて分かったことと言えばこちらが頑張り通して何かが達成でき、或いは母娘共々明るい兆しが見えてきたように思え、次の瞬間過去にあった何かを思い出すのであろう、瞬く間に水泡に帰す。 そう言ったことを幾度となく繰り返して切ったんです。
一般世間で言うところの表面面ではなく自分が根底から変わり、しかも下僕で有り得ることが出来たなら心の動きも読み取れるようになるかもしれないとの結論に至ったんです。
tag : 心の動き瞬く間に水泡に帰す正義感に満ちた発言投げやりな言葉の羅列最初は煙たがられ終いには諦め面倒見の良いだけの男誘ってくれた今宵の男
その他連絡事項
- 官能小説『知佳の美貌録「お泊まりデート」 彼のマンションから朝帰りする久美の次女瑠美』
- 小説『残照 序章』
- 小説『残照』
- 官能小説『ひそかに心を寄せる茶店の女店主』
- 官能小説『父親の面影を追い求め』
- 掘割の畔に棲む女

- 残照
- 老いらくの恋
- ヒトツバタゴの咲く島で