官能小説『危ない画像』 第10話

「え、さっき散々見たんじゃないの。」
久仁子が意地悪く言うと今度は麻美がベーッと舌を出して見せた。
「あのう、」
雅彦が口を挟んだ。
「何。」
麻美と久仁子が同時に答えた。
「このままで大丈夫。」
雅彦が自分の前を指差した。
「ああ、避妊のことね。どうかしら。」
麻美の問いに久仁子が頷いた。
「大丈夫。今日が安全日だって確かめてあるから。」
「確実は無いわよ。」
「分かってます。でも最初は付けないで欲しいの。万一出来ちゃったら雅彦くんの
お嫁さんにして貰うから。」
「一年早いわ。あなた方、まだ十六よ。久仁子ちゃんは大丈夫だけど、雅彦は子供
が生まれてもまだ結婚出来ないわ。」
「そっか、そう言うこともあるんだ。でも、いいの。パパ達だって結婚できないん
だし。」
一瞬、麻美が嫌な顔をした。雅彦は二人の会話の中の暗黙の了解が気になった。久
仁子は両親が別れたと言っていたが、どうやら正式に離婚した訳ではないらしい。そ
の辺の事情をなぜ母親の麻美が知っているのか。疑念はますますつのるばかりだった。
「あ、ごめんなさい。別に嫌みじゃないから。」