知佳の美貌録「甲冑の部屋に寝かされて」

ご先祖様は苦労して書画骨董の類を集めただろうが子々孫々の時代になるとそれらの希少価値が分からないものが現れた。 売ってみるとなるほど高く売れた。 そうして得たお金を苦労知らずが使うものだから自然呑む打つ買うとなる。 質素倹約に勤めなければならない時代に遊興に耽った。 ものの価値もわからないのに二束三文で身内の誰かが売っぱらってしまう。
ひょっとするとその文化遺産の守番として久美たちはこの部屋に通されたような気がしたのだ。
この物語の中で女衒女衒と、まるで個人が活躍してるような言い方をしてきたが、久美の伯父さんの背中に紋々が彫ってあり、周囲も恐れおののいていたということでもお分かりのように、女衒と言いつつも彼らこそこの地を制した〇〇一家ではなかったかと思えるのである。
テーマ : 女衒の家に生まれ・・・ 高原ホテル
ジャンル : アダルト
知佳の美貌録「死にゆくものに鞭打つ父」

鉄道郵便が主だったこの時代、列車が走行中に手作業で地区別 (市内) ・区域別 (市郡及び都道府県) に仕分けられ市内は郵便配達員が配って歩いた。 現金書き止めであっても例外ではなかった。
今の時代からいえば信じられないことだが、飯場(はんば)で暮らしていたときもそうであったように久美たち姉・弟は義務教育という概念に縛られていなかった。 幸吉は大学への進学校を出たというのに親の責任感はまるでなかった。
政府・教育機関がやいのやいのというから従ったまでだった。 父親が村議ということもあって御上の声には弱かったのである。
せっかく女衒が呼び寄せてくれたというのに学校関係者からの呼び出しで大阪に、もといた学校に帰らなければならくなった。
教育委員会の言いつけでは残すところわずかではあっても学業を中途で投げ出すわけにはいかなかったからである。
当然女衒やご隠居さんは案じた。
たとえ我が孫の好子を釈放に導くことができたとしても、法律上元のような仕事 (パンパン) につかすわけにはいかない。

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