第1話“四条河原町” Shyrock作

長い間この仕事をしていると、それはそれは色々なことに遭遇するものですよ。
身が縮むくらい恐い目にもあった。人の情に涙したこともあった。口惜しくて眠れない夜もあった。孤独感に苛まれた日もあった……。
色っぽい話ですか?そりゃあ、多少はありましたよ。
私にとって、今までの人生の中で最高の出来事と言えるほどのこともありましたよ。
え?聞きたいですか?自慢話に聞こえるかも知れませんけど、お話してもいいですか?
もちろん作り話なんかじゃないですよ。
全部本当にあった話なんです。
その頃私は35才で、出来事があったのは今から10年前にさかのぼります。
桜がまだ蕾の少し肌寒い日のことでした。
いやぁ、思い出すだけでもぞくぞくしてきますよ。
私にとってはそれほど鮮烈に記憶に残る出来事でした。
当時私は大阪のあるタクシー会社に勤めていました。
お客さんを京都に送ったあと、大阪へ帰ろうとしていました。
クルマは四条河原町から四条烏丸へと向かっていました。
とても賑やかな通りで道路はすごく混んでいました。
第2話“行き先不明” Shyrock作

道路は相変らずの混雑でのろのろ運転は依然変わりません。
「お客さん、どこに行くのか言ってくれないと困るんですけどねえ」
なかなか行先を告げてくれないお客さんに困り果てた私は、少々つっけんどんな言葉遣いになってしまいました。
「そやねぇ……あぁ、そや、どっか景色のええとこ走ってくれはりますぅ?」
「景色のいいところと言ってもいっぱいあるからねえ・・・具体的にどこか場所を行ってくれませんかねえ」
「うち、あんまりよう知らへんから、運転手はんにお任せしますわぁ」
「う~ん、それじゃ、嵐山はどうですか?」
「せやなぁ……ほな嵐山へ行っておくれやす」
私は思いつくがままに、よく知っている京都の景勝地の名前を出すと、女性は案外簡単に了解をしてくれました。
やっと目的地が決まったクルマは西へ向かいました。
(それにしてもこの和服の女性、いったいどうしたと言うのだろうか?何か訳ありのようだが……。)
タクシーに乗車する客はふつう目的地が決まっているものです。
第3話“悩める京女” Shyrock作

そして、思わずバックミラーに写った女性の顔を覗き込んでしまったのです。
女性もこちらを見ていたので偶然目が合ってしまい、きまりが悪くなった私はこちらから先に目を逸らしてしまいました。
目を逸らしはしましたが、はっとするようなその優美な顔立ちが脳裏から離れませんでした。
透き通るように色が白く目鼻立ちがよく整っていて、まるで日本画から抜け出したような美女と言っても過言ではなかったと思います。
「うち……困ってますねん……」
「え?どのようなことで?」
本来なら触れてはならないお客さんの私的なことに、つい首を突っ込みたくなりました。
「せやけどぉ……こないなこと、見ず知らずのお人に話してもええもんやろかぁ……」
おっとりとした京都特有の口調は、関東出身の私には少々焦れったくもありましたが、それよりも色っぽい言葉遣いの京女と会話が出来ることを愉しんでいたように思います。
第4話“タクシー料金” Shyrock作

女性はそうつぶやくとハンドルを握る私の肩をトントンと叩きました。
運転中だったこともあってほんの一瞬だけ振り返りましたが、女性は金を差し出している様子が窺えました。
私はさりげなく、
「料金は後払いで結構ですよ」
と述べると、女性はもう一度私の肩を叩きました。
仕方なく私はクルマを道路わきに寄せて、ゆっくりと後部座席を振り返りました。
女性は1万円札を数枚差し出してきました。
「そないにゆわんと、とにかくこんだけ取っといて。足らんかったらあとで払いますよってに」
預かり金と言うことにして私は一旦受取ることにし、札を数えてみました。
驚いたことに札は5枚もありました。
あまりの金額の多さに私は戸惑いながら、
「お客さん、5万円もあるじゃないですか。多すぎますよ。仮にこのタクシーを1日貸切ってもまだお釣りがきますよ。多過ぎるのでお返しします」
私はそう伝えると、1枚だけ預かることにして残りの4枚を返そうとしました。
ところが、
「よろしおすがな。うち、さっきから、わがままばっかりゆうてるしぃ。それにまだあっちやこっち振り回すかも知れへんし」
などといい、出した金を受け取ってくれませんでした。
第5話“身の上話” Shyrock作

いずれにしても行き先が決まったことで、私としてはホッと胸を撫で下ろした気持ちになりました。だって目的地も決まらないまま走るのは、タクシードライバーにとってはかなり辛いものがありますからね。
いつもは混み合っている名神高速も、その日は不思議なことに空いていて珍しく快適に飛ばせました。
天王山トンネルを少し過ぎた辺りだったでしょうか。
女性は私が尋ねたわけでもないのに、突然ポツリと語り始めました。
「運転手はん、うち……実は結婚してますねん……」
「え……?あ、そうなんですか……。」
その一言を耳にした時、私にかすかな落胆があったことは正直否めませんでした。
タクシーに乗車してきたお客が未婚者であろうが既婚者であろうが、そんなこと私には関係がないはずなのですが。
第6話“国道176号線” Shyrock作

相手がお客さんであってもそれは変わりません。
「あまり泣くと身体に毒ですよ。人生そんなに悪いことばかりじゃありませんよ。そのうちきっと良いこともあるはずです」
「そやったら、よろしおすんやけどなぁ……」
「元気出さないと」
「そやねぇ……運転手はんのいわはるとおりかも知れまへんなぁ……元気出さんとあきまへんなぁ……」
「そうですよ。涙ばかり流していると余計に不幸の神様がつきまとってきますよ」
「えぇ?そうなん?そんなんいやどすわぁ」
「はははははは」
女性は私の笑い声に釣られてではありましたが、かすかな笑顔を取り戻してくれました。
その頃、タクシーは宝塚インターを過ぎて国道176号線へと入っていました。
国道176号線は、京都府宮津市を起点として兵庫県を経由し、大阪市北区の「梅田新道」交差点に至る一般国道で、通称「イナロク」と呼ばれています。
「この辺はもう宝塚どすか?」
「はい、そうですよ。夢とロマン溢れる街宝塚ですよ」
「へぇ~?夢とロマンどすか?うまいこといわはりますなぁ」
「いいえ、私が考えた言葉じゃなくて、昔からそのように言われてるんですよ」
第7話“宝塚の宿” Shyrock作

仲居はこちらがまだ取込み中だと察したのか、一礼して一旦旅館内へ消えて行きました。
『もう少し付き合ってくれ』という女性の一言をどのように解釈すればよいのでしょうか。
(もう少しドライブを愉しみたい?)
(宝塚の街をいっしょに散歩したい?)
(それとも室内で……?)
よこしまな期待が私の心をよぎりました。
(いくらなんでも……こんな良家の人妻が今日初めて出会った見ず知らずのタクシードライバーなんかを……そんなことは天地がひっくり返ってもあり得ないよなあ・・・)
不埒な想いが一瞬よぎったものの、直ぐに自ら打ち消してしまいました。
『もう少し付き合ってくれ』という一言がどんな意味なのか今ひとつ釈然としませんでしたが、私自身の中で『この女性ともう少しいっしょに過ごしたい』と言う気持ちが生まれていたことは事実でした。
私はごくふつうに、
「結構ですよ」
と返答しました。
「やぁ、嬉しいわぁ。ほんまによろしおすんかぁ?」
「はい、私なんかでいいのなら、お付き合いさせてもらいます」

第8話“湯上りの芳香” Shyrock作

窓からは武庫川が一望できて、天気も良かったこともありはるか遠くには六甲山が望めました。
女性は部屋の中央に敷かれた座布団には座らず、窓際から風景を眺めていました。
「ええ景色やわぁ」
仲居はまるで自分が褒められたかのように嬉しそうに女性と会話を交わしていました。
「こんなええ感じのとこで泊まるん、うち、久しぶりやわぁ。嬉しいわぁ」
「ごゆっくりお寛ぎくださいね」
私は女性から腰をかけるよう薦められましたが、着座は遠慮して立ったまま女性と仲居の会話が終わるのを待ちました。
しばらくしてふたりの会話が途切れたのを見て、私は仲居に話しかけました。
「仲居さん、すまないけど、もう一室用意してくれないかね?」
「今日はお客さんが少ないので幸いお部屋は空いていますけど……でも、お連れ様がいらっしゃるのによろしいので?」
「お連れ様って……ははは、困ったなあ。見てのとおり私は運転手でこちらの女性を宝塚まで送ってきただけなんだよ」
「そうだったんですか。分かりました。それではフロントに行ってお部屋をとってまいります」
第9話“思いがけない一言” Shyrock作

「へぇ、なんどすか?」
「私も今夜だけ、名前で呼んでもいいですか?」
「そんなん当たり前どすがなぁ。うちだけ裕太はんて名前で呼んで、裕太はんが名前で呼んでくれはらへんかったら、うち、寂しおすがなぁ」
「ええ……」
「惠やおへんどしたら、どないに呼ぼと思たはったん?」
「どないって……」
突然そう切り出されて、私は困り果ててしまいました。
タクシー運転手を始めて以来、お客を名前で呼んだことなど全く記憶がなかったからです。
「もしかして今晩ずっと、うちのこと『お客はん』て呼ぼと思たはったんちゃう?」
「いいえ、いくら何でもそれは……」
「おほほほほほ~。いや、かなんわぁ~。おほほほほほ~」
女性は口に手を当てて、愉快そうに笑いました。
私もついつられて笑ってしまいました。
「惠て呼んでおくれやす……」
女性は真顔でそうつぶやきました。
私はためらいがちに小声でしたが彼女の名前を呼びました。
「惠……」
「いやぁ、嬉しおすわぁ。なんやどきどきするしぃ」
「でも、今日出会ったばかりの人を名前で呼ぶのは初めてなので、どうも照れますよ」
「そやねぇ。ふつうどしたら親しゅうなってから名前で呼ぶもんどすわなぁ。それはそうと、今晩、うちのようなものに付き合うてくれはっておおきにぃ」
第10話“灯りを消して” Shyrock作

手は透き通るようにほの白く指は驚くほど華奢でした。
それに風呂上りだと言うのに、早くも冷たくなっていました。
「あ、冷たい手……」
「うちの手、つめとおすやろ?心が冷たい証拠どすやろかぁ」
「ははははは~、そんな訳ないじゃないですか。面白いことを言う人だなあ」
私がそういった時、惠は突然私の胸にもたれてきました。
女性特有の甘い香りが匂い立ち、私はくらくらと目眩を起こしそうになりました。
「裕太はん……」
「惠……」
惠は浴衣姿の私の胸に顔をうずめ、肩先に手を置き甘えたような仕草を見せました。
私はたまらなくなって、惠の頬に手を添え唇を重ねました。
惠のほんのり温かい唇の感触が伝わってきました。
軽く合わせたつもりの唇が、いつのまにか強く吸い彼女を求めていました。
惠も拒むことなく、私のキスに応えてくれました。
私が舌を差し込むと、彼女も舌を絡めてきました。
「あぁぁ~……裕太はん……うちを愛しておくれやすぅ……」
「惠……あぁ、好きになりそうだ……」
(チュッ……チュッ……ムチュッ……)
唇を合わせながら、私の手は浴衣の上から惠の胸元をまさぐっていました。
第11話“谷間の潤い” Shyrock作

惠のうなじ、肩先、鎖骨、そして乳房の谷間を私の唇が這い回ります。
「あぁぁぁ……」
惠は切ない声を奏で私の肩に手を廻してきました。
「あぁぁ~、裕太はん……」
「惠……君のこと、好きになってもいいかい……?」
「あぁん、裕太はん、ごっつぅ嬉しいこといわはるぅ~。うちのこと、今晩だけでええよって好きになっておくないなぁ……」
「ずっと好きになるかも知れないよ」
「今晩だけでよろしおすんやぁ……」
「なぜ?ずっと好きになったらダメなの?」
「そやかて、うち人妻やさかい、裕太はんを苦しめるだけどすがなぁ……」
今日出会ったばかりの私にそこまで気遣うとは……
惠という女性はとても心優しく思慮深い人だと感じました。
「でもね、人間の感情ってそんなに都合よくコントロールできるものじゃないよ」
「……」
大人げなくついむきになって熱く語ってしまった私に、惠は口を閉ざしてしまいました。
少し気まずい空気を感じとった私は余計なお喋りを控え、愛を注ぐことだけに専念しました。
第12話“躍動する肉襞” Shyrock作

「気持ちいいかい?」
惠はこっくりと首を縦に振り、私にすがりついて来ました。
「ええっ、ええっ、ごっつぅええ~、あぁぁ……裕太はん……」
少し触れただけなのに敏感に反応されて、私は俄然奮い立ちました。
やる気というのはたちまち行動に現れるようです。
陰裂を擦る指の動きがにわかに速まりました。
(クチョクチョクチョ、クチョクチョクチョ……)
「ああっん、あぁぁぁ~、裕太はん、そこぉ……すごぅええわぁ~……」
陰裂をこそぐようにうごめく私の指に熱い粘膜が絡みついてきました。
それはまるで女体に生息する軟体動物のように感じられました。
私の欲望はとどまることはなく、さらに陰裂の奥を探求したくなりました。
陰裂を往復していた指は秘孔をほじり始めました。
「惠、もっと気持ちよくしてあげるからね」
「いややわぁ……」
(ズブッ……)
「あっ!」
(ズブズブズブ……)
「あ……あぁ……あぁ……あぁぁぁ~…………」
惠の唇からは断続的にあえぎ声がこぼれました。
第13話“春情つのらせ” Shyrock作

私はあまりの気持ちよさに、いつしかそんな言葉を口走っていました。
声はかなりうわずっていたと思います。
私の視線は薄暗い中でうごめく惠の艶やかな太腿に注がれていました。
最初は暗いせいであまり惠を見ることはできませんでしたが、次第に暗闇に目が慣れてきて惠の表情も少しは分かるようになっていました。
惠がふたたび屹立を咥え込むと、私も負けじと左手を惠の秘丘にあてがい右手の指で谷間の湿地帯を軽く触れてみました。
惠は含んだまま「あぁっ」という切ない声を漏らし、その瞬間舌が小躍りしました。
私が彼女に強く刺激を与えれば、呼応するかのように彼女の舌もまた強い刺激を私の分身に加えてきました。
その間のよさは何ともいえない爽快感がありました。
私は蜜を指先ですくい取り、少し指を滑らせて菊門へと移しました。
「あっ……そこはあきまへん……」
惠は菊門に触れられるのを避けるため腰をよじって逃げようとしました。
「少し触るだけだから、恐がらないで」
そう言い聞かせると、惠は観念したかのように逃げるのをやめ大人しくなりました。
tag : ハーモニカを演奏艶やかな太腿屹立を咥え込む谷間の湿地帯切ない声舌が小躍り菊門いじり谷間の蜜声を荒げ喘ぎ肉厚な花弁
第14話“水蜜桃” Shyrock作

「早くって、何を?」
「そ、そんなことぉ……分かったはるくせに……裕太はん、いけずやわぁ~……」
「でも言わなきゃ分からないよ」
「そないな恥ずかしいこと、よう言わんわぁ~……」
「ダメ、言わなきゃ」
惠は蚊の鳴くような声でつぶやきました。
「裕太はんのんが欲しおすぅ……」
「僕の何が欲しいの?」
「もぉぉぉぉぉ~~~」
あまり焦らし過ぎるのも良くないと考え、私はついに“結合のとき”とばかりにゆっくりと惠の上に身体を重ねていきました。
惠と正常位で重なり合うと、すでに濡れて光沢を見せている秘裂へ欲望に燃え滾る肉棒をあてがい、一気に埋めました。
「あうっ、あふあふ……」
惠の口からうめき声がこぼれます。
惠が敏感に反応しギュッと締めつけてくるのに合わせて、私は次第に強く、速く、そして激しく律動させました。
肉棒に絡む肉襞が獲物を捕獲した動物のように強く収縮し締めつけてきました。
その締めつけは実に強烈でその快感は言葉には表せないほどです。
tag : 結合のとき欲望に燃え滾る肉棒うめき声がこぼれギュッと締めつけ激しく律動獲物を捕獲した動物朝露に濡れた茎瑞々しい水蜜桃のような尻シーツをかきむしって快感の波
第15話“惠の騎乗位” Shyrock作

(まだイッてたまるか!)
私は懸命に耐えようとしましたが、このまま踏ん張っていると間違いなく果ててしまうと思い、ひとまず抜いて一息つくことにしました。
「どないしはったんどすかぁ……?」
「いやあ、惠の締めつけがあまりにもすごくて、危うくイキそうになったので、一呼吸置くことにしたんだ」
「そうどすかぁ。そないに辛抱しはらんでも、イキそうどしたらイキはったらよろしおすんえ」
「いやいや、君のような絶世の美女といたせるんだから、時間を掛けてたっぷりと楽しまなくちゃもったいないよ。ははははは」
「あは、嬉しいこといわはるわぁ。あぁ、裕太はん、えらい汗どすがな」
惠はそうささやくと、身体を伸ばして枕元のタオルを手にし、私の胸元の汗をぬぐってくれました。
おしゃべりはほどほどにして、私は惠を自分の方へ向かせ膝の上に招き入れました。
惠は私の膝にまたがり、怒張したモノに照準を合わせゆっくりと腰を沈めました。
「あぁ……」
反り返った私の肉棒は惠の愛らしい花芯をとらえました。
tag : 惠の騎乗位惠の締めつけ裕太はんえらい汗嬉しいこといわはる胸元の汗をぬぐって愛らしい花芯か細い腰艶かしく腰を振り後方にのけぞるような姿
第16話“邂逅と蜜夜” Shyrock作

惠は腰をゆっくりと動かし、甘い吐息を漏らしました。
腰を下ろしても直ぐには上げず、ゆっくりと円を描くように腰を旋回させ、あたかも結合の歓びを味わっているように思えました。
ふたりの営みが進むにつれ、惠の肉襞からじわりと熱い蜜がにじみ出してくるのが分かりました。
私自身もどんどんと昂ぶり惠の中でさらに膨張しそして硬くなっていきました。
初めのうちは惠の腰の動きに合わせて私自身動いたりはしませんでしたが、やがて私も動きたくなり惠に合わせて下から突き上げてみました。
(ズン、ズン、ズンッ!)
「あぁぁ…ええわぁ…あぁぁぁ~……」
(ズン、ズン、ズンッ!ズン、ズン、ズンッ!)
「あぁぁ、いやぁ~…はぁぁん…そないに…はぁ~…突いたら…はふぅん~…あぁぁぁ~……」
(ズン、ズン、ズンッ!ズン、ズン、ズンッ!)
「あぁん!すごぅ~すごぅ~ええわぁ~…!いやぁ、どないしょぅ~……」
惠は意味不明な言葉をうわごとのようにつぶやき、次第に動きがあわただしくなっていきました。
腰のピッチが先ほどよりも速くなっています。
当然私もつられて突き上げを速めました。
tag : 甘い吐息円を描くように腰を旋回させ結合の歓びじわり意味不明な言葉うわごとあわただしく腰のピッチ上体を前屈させ恥ずかしがって
第17話“絶頂の瞬間” Shyrock作

しかもこんなに素晴らしい女性と出会えることになるとは。
惠を愛しながら、ふと「もしかしたらこれは夢かも知れない」などと疑心を抱きました。
でもこれほどの快楽がもし夢ならば、生きていることそのものが夢ではないかと、疑った自分を嘲笑いました。
惠はシーツをかきむしり、身体を弓なりに反り返らせ激しく悶えました。
時々指を唇に宛がい甘噛みするようなそぶりを見せていました。
それらは女性が激しく高揚したときに無意識のうちに見せる仕草だと、以前どこかで聞いたような気がします。
腰を前後に動かせている私の額からは大粒の汗が滴り落ちます。
惠は上半身を反り返らせ喘ぎ、腰がわなわなと震えているようです。
私は震える彼女の腰をしっかりとかかえ、さらに強く突き込みました。
(ズンズンズン!ズンズンズン!)
「あっ、あっ、あっ!あきまへ~ん~!……い、いやどすぅ~……はぁん!いやどす!うちぃ~……あああっ!どないしょう~……」
惠は意味不明な言葉を口走りヒィヒィと喘いでいます。
快感の高波が連続で押し寄せて来てるようです。
tag : シーツをかきむしり身体を弓なりに反り返らせ激しく悶え指を唇に宛がい甘噛み上半身を反り返らせ腰がわなわなと震え意味不明な言葉を口走りヒィヒィと喘いで四肢を硬直
第18話“赤い糸” Shyrock作

あまりの心地よさから眠気が私を襲いました。
人は性的に満たされると精神的に安定し、ストレスからも解放され、深い睡眠に落ちていくと言われています。
ところが直ぐに惠が唇を重ねてきたため、私は突然やってきた睡魔から元の世界へと引き戻されました。
私は何気に壁の掛け時計にふと目が行きました。
暗くてはっきりとは確認できたわけではありませんが、どうやら針は午後10時を差しているようでした。
ふたりともたっぷり汗をかいていたので、惠を誘って風呂に入ろうと思いました。
「汗を流しに行こうか?」
「そうどすなぁ、汗ごっつぅかいたし、お風呂入りまひょか?」
「あ、そうそう。大浴場に行かなくても、内風呂があったんだ」
「へぇ?そうどしたか?いっこも気ぃつかへんかったわぁ。おほほほ……」
「実は僕も大浴場から帰ってきてから気がついたんだよ」
「ふたりとものんきどすなぁ。おほほほほ……」
「まったくだ。ははははは~」
その時、ふたりとも裸でしたが、内風呂なので着衣など必要ありません。
それでも惠は身体にバスタオル巻きつけおもむろに風呂場へと向かいました。
第19話“衣装ぼくろ” Shyrock作

「どうしたの?」
「いいぇ……うち、赤い糸とは全然関係あらへん人と結婚してしもたし、なんや急に悲しゅうなってしもてぇ……」
「でもね、本当はご主人と赤い糸で繋がってるけど、たまたま今の惠には見えないだけじゃないのかな?」
「そんなことおへん。うちの人とは赤い糸も青い糸もあらしまへん」
惠は吐き捨てるようにつぶやきました。
これ以上赤い糸の話題を続けるべきではないと考えた私は、惠の背中を流していて偶然見つけたうなじのほくろに話題を変えました。
「あれ?」
「どないしはりましたん?」
「こんなところにほくろがあるね」
そうささやきながら惠のうなじに軽く触れました。
「うなじのほくろのことどすか?」
「そう」
「これ、衣装ぼくろと言うんどすぇ」
「衣装ぼくろ?へぇ、初めて聞いたね。どういう意味なの?」
「ちっちゃい時お母はんに聞いた話どすけど、なんでも、うなじにほくろがあると『衣装ぼくろ』言うて、一生、着物に困らへんちゅう話どすぅ」
「へぇ~それはいいね~。一生着物に困らないと言うことは、言い換えれば生涯裕福に暮らせると言うことだよね。いいなあ~」
第20話“浴槽の縁で” Shyrock作

背中を流すので逆方向に座るよう惠は言いました。
ボディシャンプーをたっぷりと滲みこませたスポンジが、私の背中を往復しています。
あまりの気持ちよさから、私は思わず感嘆のため息をつきました。
「背中を流してもらうって気持ちいいものだねぇ」
「そうどすか?せやけどおなごはんに背中あろてもらうのん初めてちゃいますやろ?」
「いやぁ、初めてだよ」
「てんご言わはったらあきまへんでぇ。あはははぁ~」
「いやいや、嘘じゃないって」
「信じられへんわぁ」
惠は笑いながら素手で背中に触れてきました。
数回撫でると、背中に頬を寄せました。
まるで先程のお返しのようです。
私は何気に振り返ってみました。
すると惠の頬にも私と同様に石鹸の泡がついていたので、私は思わず噴き出してしまいました。
「ははははは~!惠もいっしょじゃないか~」
「もう、そないに笑わんでもよろしおますがなぁ」
「ははははは~、だって~、おかしいんだもの~」
惠はぷっとふくれっ面になって、私の肉棒をぎゅっと掴みました。
「いたい!」
「あっ、堪忍や!手が滑ってしもて……」
滑ったと偶然を装ってはいますが、一向に掴んだモノを放そうとはしません。
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