官能小説『危ない画像』 第1話

たのはパソコンやオーディオ関係で、特にパソコンは母親の手に負えなかったのであ
る。
雅彦はまずメールから処理することにした。未読メールの殆どがいかがわしいDM
や得体の知れないウィルス付きと疑われるようなものだった。長く使っているアカウ
ント程この手のメールが勝手に送り付けられて来るものである。雅彦はそう言った数
十通のメールを一括でゴミ箱に捨てた。
残ったメールの殆どが仕事関係だった。一通り目を通して全てに同じ文面で父の死
を伝える返信を送った。最後に「KK」と言う訳の分からないフォルダが残った。こ
こにも新しいメールが十通以上届いていた。
雅彦が一番新しいメールを開くと父親の安否を気遣う内容が書かれていた。文面か
ら察するところ、父親とはかなり親しい間柄らしい。差出人は女である。未読メール
を次々に開いて行くと、そこには驚くべきことが書かれていた。
「愛する賢治へ、
昨日は楽しかったわ。本当に久し振りに逢えて良かっ
た。戻ったら腰がちょっぴりしんどかったわ(笑)
賢治は相変わらずタフねえ。
貴男の歳で抜か六なんて、そうざらにはいないわよ。
官能小説『危ない画像』 第2話

雅彦がからかい半分に言った。リビングから出掛かっていた麻美が振り返って赤ん
べえをした。
「だーめ。そんなことしたら襲っちゃうぞ。」
「あ、言えてる。」
「こら。」
麻美が吹き出した。つられて雅彦も笑い出す。
「ったく、飛んでもない息子だわ。」
「どっちが。」
「兎に角、温泉のガイドブック探して来るわね。お茶飲みながら待ってて。」
雅彦は友人や知り合いから、お前の母親は美人だと言われる。当の雅彦本人は毎日
見慣れた顔なので特別感じたことはなかった。ただ、自分の母親が普通だと言う感覚
はしっかり身に付いているようで、彼女にしたいと思う相手は学校でも飛び切りの可
愛い子ばかりだった。そのせいか、まだ恋人と言える段階まで付き合いが進展した相
手は一人もいなかった。
「ねえ、こんなのがあったわ。」
麻美が持って来たのは露天風呂ばかりを集めたガイドブックだった。
「ふうん、パパにもそんな趣味があったんだ。でも、一度も連れてってくれなかっ
たね。」
「そう言えばそうね。彼女でもこっそり連れて行ったのかな。」
雅彦が一瞬ヒヤリとした。あのメールの圭子となら有り得る話しである。
官能小説『危ない画像』 第3話

で心配してたんです。
でも、メール読んだんだから分かってるでしょうけ
ど、私の方から電話なんか出来ないので困ってまし
た。
そうですか、賢治さん、亡くなってたんですね。知
りませんでした。
ごめんなさいね。私はあなたのパパと、ずっといけ
ないことしてました。賢治さんが亡くなる二日前に
もホテルで一緒だったんです。だから、あんなメー
ル出しました。まさか、賢治さん以外の人に、まし
て賢治さんの息子さんに読まれたなんて、恥ずかし
くて顔が真っ赤になってます。目も涙で真っ赤です
けど。
一つだけお願いがあります。私のことはママに言わ
ないで下さい。今更知ったところで、ママは悲しむ
だけだし、隠しておいても、別に、もう何も無いこ
とですから。と言うか、もうママはとっくにご存じ
かも知れませんけど、今更表沙汰にしても仕方ない
ことですし。
もう一つ、ちょっと困ったことがあります。賢治さ
ん、私の写真とかビデオ持ってる筈なんです。見ら
れたら困るような、とっても恥ずかしいものなんで
す。見ないでってお願いしたいけど、無理かしら?
無理よね。でも、それだけは絶対にママに見せない
で。一生のお願いです。
tag : ヌード写真翳り切れ込み脚を大きく開いた四つん這い真後ろから撮ったその部分やや厚ぼったい襞放物線を描いておしっこ
官能小説『危ない画像』 第4話

その目が雅彦の心を乱した。若き日の母親に恋してしまった自分に雅彦は動揺しなが
らも次々と写真を開いて行った。女の部分の大写しは沢山あったが、流石に放 尿シー
ンは一つもなかった。安心したような、ガッカリしたような、複雑な気分で雅彦がも
う一度最初からスライドショーを実行して母親の姿を目に焼き付けて行った。何度見
ても麻美の若い姿は魅力的だった。
「ただいま。雅彦、帰ってるんでしょ。」
麻美の声に雅彦が慌てて写真を消した。ドアが開くのと画面から麻美の姿が消える
のが殆ど同時だった。
「何か面白いの、見付かった。」
雅彦の慌て振りを見て麻美が意味ありげな視線を送ってきた。
「え、うん。ちょっとね。」
「もしかして、エッチな写真でもあったんじゃないの。良かったら後で見せてね。」
「え、まあね。」
「ちょっと挨拶回りに行ってきたの。お土産に鶴瀬の豆餅と大福買ってきたから、
食べない。」
「食べる、食べる。あそこの豆餅、美味しいんだよね。」
鶴瀬は湯島に古くからある和菓子の老舗で、ここの豆餅にはえんどう豆がビッシリ
入っている。雅彦の大好物だった。
tag : ビキニ悩ましげな視線女の部分エッチな写真毛むくじゃならなものペアルック恋人同士腰を激しく擦り付け身体をすり寄せ風呂
官能小説『危ない画像』 第5話

がった雅彦も裸になり麻美の後に続いた。タオルは麻美が持っていってしまったので
隠しようがない。手で隠すのも変なので、なるべく自然に振る舞いながら浴室に入っ
た。案外小さな風呂場で浴槽も家のと大差なかった。
「全然石鹸が効かないわ。」
麻美がサッと身体を流して湯船に浸かった。雅彦も簡単に湯を被って続いた。
「これじゃ、うちの風呂と大差ないわね。」
一応向き合って入れる広さはあるのだが、膝を曲げないとお互いにくっついてしま
う。
「ちょっといい。」
麻美が立ち上がって姿勢を入れ替えた。今度は後ろ向きにしゃがんで来る。雅彦が
脚を開くとその間に尻を入れてきた。
「いい気持ち。」
麻美が寄り掛かって来たので雅彦が慌てて両手を上に挙げた。麻美がその手を自分
の腰に回す。二人の肌が密着した。
「狭いお風呂も捨てたもんじゃないわね。」
麻美がそう言ってクスッと笑った。固くなった雅彦が麻美の尻を突き上げたのであ
る。ヌメッとした感触が雅彦を慌てさせた。母親の女の部分に違いないと思った。
麻美が立ち上がって浴槽から出た。腰を屈めた拍子に写真で見慣れた景色が雅彦の
目の前を横切る。
tag : 麻美の茂み黒々としてヌメッとした感触写真で見慣れた景色腰を屈めアワビの踊り焼きあの部分を連想黒い姿嫌らしい動き黒い茂み
官能小説『危ない画像』 第6話

「らしいですね。」
四人が黙って湯に浸かっていると、また一組、中年の夫婦らしい客が入ってきた。
女中の話からすると、これが今晩の泊まり客全てと言うことになる。雅彦が場所を空
けるために横にずれた。娘と父親も同じように横に移動する。反対側の縁で雅彦と女
の子が肩を並べることになった。お互いに相手の身体をチラチラ横目で窺っていた。
雅彦達の正面に後から来た二人が入ってきた。一瞬見えた女の股には毛が一本も無
かった。女の子が珍しそうに覗き込んだので女が顔を赤らめて手で隠した。雅彦は女
の子の注意が正面の女に向けられている間にその子の身体を観察した。胸は小さめだ
が乳首は麻美より大きい。女の子も毛は薄く、クッキリ入った溝が印象的だった。
雅彦の視線に気が付いた女の子がちょっと恥ずかしそうな顔をした。それでも嫌が
っている表情ではない。ニコッと笑った目が雅彦の前に注がれた。今度は雅彦が顔を
赤らめた。
「お先に。」
麻美が雅彦を促して湯から上がった。雅彦が湯から出ると女の子の視線が腰の辺り
絡み付き、すぐに顔を背けた。
浴衣を羽織りながら雅彦は腑に落ちない気持ちで一杯だった。
tag : 身体を観察クッキリ入った溝女の子の視線裸のまま布団に女中が気を利かせ二組の布団肩越しその部分のドアップ重苦しい沈黙耳たぶを軽く噛み始め
官能小説『危ない画像』 第7話

雅彦が振り返ると目の前に麻美の白い身体があった。
「どう。」
「ママ、きれい。」
「ありがと。好きなだけ見ていいわよ。」
「ちょっと待って。」
雅彦がバッグからデジカメを取り出した。父親が使っていたものである。これなら
ポラロイドよりもきれいな写真が撮れるはずだった。
「やだ、写真撮るの。」
麻美が恥ずかしそうな顔をした。
「うん。このカメラならきれいな写真が撮れるよ。今日の記念にママの全てを撮り
たい。」
「誰にも見せないって約束できる。」
「当たり前じゃない。ママがいいって言っても、誰にも見せないよ。」
「何か緊張するわね。」
それでも麻美は楽しそうだった。雅彦が麻美の周りを回りながら次々とシャッター
を切って行く。その度にフラッシュが光った。
「ねえ、今度は脚開いて。」
「こう。」
麻美が両脚を前に投げ出した。白い身体と黒い茂みのコントラストが鮮やかだった。
「もうちょっと。」
「やだ、全部見えちゃう。」
それでも麻美は雅彦が言う通りに脚を大きく開いた。茂みの中で黒ずんだ襞が左右
に割れた。大きめの突起はまだベールに包まれていた。
「ねえ、ここ。もうちょっと大きくならない。」
雅彦が指先でチョンと突いた。
tag : 白い身体デジカメ脚開いて黒い茂み黒ずんだ襞大きめの突起身体がピクンと震えパックリ割れた襞透明な密が溢れ固く張りつめた粒
官能小説『危ない画像』 第8話

久仁子が父親に聞いた。
「行っておいで。」
雅彦は父親が呆気なく許したので面食らった。若い男と女が二人だけで入浴するの
である。しかも、泊まり客は他に一組の中年夫婦だけ。二人っきりの可能性が大きい
のに父親は全然気にしていないようだった。
「行ってらっしゃい。私たちはもう少しお話してるから。」
麻美もそう言って雅彦にタオルを投げてよこした。麻美たちも部屋で二人っきりに
なる。二人ともそれを望んでいるように見えた。
「行こう。」
久仁子が雅彦の手を引いた。部屋に残して行く二人のことも気になったが、久仁子
と二人きりで風呂に入れるこのチャンスを逃す気は全然無かった。
雅彦と久仁子が裸になって露天風呂に行くと先程の中年夫婦が入っていた。湯の中
で女が男に跨っていたが、二人が来るのを見て慌てて離れた。雅彦は男のものがしっ
かり上を向いてるのを見逃さなかった。軽く挨拶を交わして雅彦と麻美が湯に入ると
二人がそそくさと出て行った。
「ねえ、あの二人、エッチしてたみたい。」
久仁子が笑った。
「そうみたい。」
雅彦が照れながら答えた。
「雅彦くんはエッチしたことある。」
久仁子が聞いた。
「ううん、まだ。」
官能小説『危ない画像』 第9話

「普段はもっと小さくなってるよ。」
「何か、おチンチンって不思議。」
暫くすると雅彦が慌てて久仁子の手を剥がそうとした。
「どうしたの。」
久仁子が不思議そうな目で雅彦を見た。
「ちょっとヤバイ。」
「ヤバイって、あ、セイシが出ちゃうんだ。」
雅彦が力無く頷いた。
「見せて。」
「え、そんなこと。」
「いいから見せて。私、まだセイシがでるのって見たこと無いの。」
仕方なく雅彦が湯船から足を抜いて洗い場の方を向いた。浴槽の湯を汚したくなか
ったのである。
「どうしたらいいの。」
「もっと強く握って。うん、手を動かして。もっと強く。」
久仁子が言われるままに手を動かした。ぎこちない手の動きに僅かな痛みすら覚え
たが、その痛みすら雅彦には心地よく思えた。
「イ、イク。」
雅彦が久仁子の手を上から包み込んだ。次の瞬間、二人の手の間から一塊りの滴が
飛び出した。
「わ、凄い臭い。」
久仁子が食い入るような目で自分の手元を見詰めた。
ようやく落ち着いた雅彦が身体を流して湯船に浸かると久仁子がピッタリ寄り添っ
て来た。
「気持ちよかった。」
久仁子がそう言って雅彦の手を自分の方に導いた。
「私も気持ちよくなりたい。」
tag : セイシぎこちない手の動き一塊りの滴臭い久仁子の割れ目柔らかな感触襞に埋もれた粒部屋の鍵が掛かってやってるそれを示す匂い
官能小説『危ない画像』 第10話

「え、さっき散々見たんじゃないの。」
久仁子が意地悪く言うと今度は麻美がベーッと舌を出して見せた。
「あのう、」
雅彦が口を挟んだ。
「何。」
麻美と久仁子が同時に答えた。
「このままで大丈夫。」
雅彦が自分の前を指差した。
「ああ、避妊のことね。どうかしら。」
麻美の問いに久仁子が頷いた。
「大丈夫。今日が安全日だって確かめてあるから。」
「確実は無いわよ。」
「分かってます。でも最初は付けないで欲しいの。万一出来ちゃったら雅彦くんの
お嫁さんにして貰うから。」
「一年早いわ。あなた方、まだ十六よ。久仁子ちゃんは大丈夫だけど、雅彦は子供
が生まれてもまだ結婚出来ないわ。」
「そっか、そう言うこともあるんだ。でも、いいの。パパ達だって結婚できないん
だし。」
一瞬、麻美が嫌な顔をした。雅彦は二人の会話の中の暗黙の了解が気になった。久
仁子は両親が別れたと言っていたが、どうやら正式に離婚した訳ではないらしい。そ
の辺の事情をなぜ母親の麻美が知っているのか。疑念はますますつのるばかりだった。
「あ、ごめんなさい。別に嫌みじゃないから。」
官能小説『危ない画像』 第11話

まり返っている。脱衣所には脱ぎ捨てられた浴衣があった。
大浴場から最初に出た久仁子が振り返ってウィンクした。
「またエッチしてるわ、あの二人。」
久仁子の言葉通り、浴槽の縁に座った男の上から女が跨っていた。四人に気付いた
男が慌てて女を離そうとしたが嫌々をして離れない。四人がそばまで来ても女は腰を
振り続けていた。
「どうぞ、ご遠慮なく。」
麻美が声を掛けてから湯に入った。男は困ったような顔をしたが、女はしがみつい
たまま離れなかった。
四人が湯に入ったところでようやく女がハッと振り向いた。
「やだ、ごめんなさい。」
今更離れても遅いと思ったのか、女は男の胸に顔を埋めてしまった。
「失礼ですが、不倫ですか。」
進が笑いながら話し掛けた。
「いえ、そう言う訳じゃないんです。」
男が照れながら答えた。
「ちょっと人には言えない関係なんです。」
ピンと来た麻美が微笑んだ。
「もしかして、ご兄妹。」
二人の顔付きがよく似ていたからである。男が麻美をきつい目で睨んだ。
「大丈夫。心配なさらないで。私達だって親子同士でこうしてるんですから。」
官能小説『危ない画像』 第12話

和美が眉根に皺を寄せた。
「こんなの、初めて。」
夜が明けた頃、いつの間にか眠ってしまった和美の唇に邦宏がそっと口付けした。
和美がそっと目を開いた。
「これからも、ずっと可愛がってくれる。」
「勿論だ。そうでなければ抱いたりしないさ。」
「嬉しい。私、別れてよかった。」
次の晩、会社から戻った邦宏が二人だけの新婚旅行に行こうと和美を誘った。一週
間の長期休暇を取ったのである。その旅行で選んだのがこの温泉だった。
「私はもう五十近いし、こいつも四十過ぎてます。お互い張り合いのない余生を送
る位なら、一緒に地獄に堕ちて、目一杯最後の人生を楽しもうじゃないか、ってこと
なんですよ。」
和宏がもう一度和美を抱き寄せた。
「しかし、とんでも無いところを見られてしまいました。」
「大丈夫です。心配しないで下さい。」
進がそう言って久仁子を自分の方に引き寄せた。麻美も負けじと雅彦の手を引き寄
せる。
「お互いに似たもの同士の二人組と言う訳けですね。」
和宏が安心したように笑った。
「そろそろ寝ようか。」
風呂から上がったところで進が自分たちの部屋に戻ろうとした。
「そうね、私も。」
久仁子が後から付いて行く。
官能小説『危ない画像』 第13話

て来た。翌日は麻美が夜まで戻らないことが分かっていたので雅彦が学校の帰りに圭
子と待ち合わせた。お互いに初対面だが、雅彦は既に圭子の顔を父親の撮った写真で
散々見ている。待ち合わせの小田急線梅丘駅に圭子は車で迎えに来た。
「雅彦くん、よね。」
「はい。圭子さんですね。すぐ分かりました。」
「あなたも。パパとよく似てるわ。さ、乗って。」
雅彦が助手席に乗り込むと圭子が素早く車を発進させた。
「何時まで大丈夫。」
圭子が狭い道に車を入れながら聞いた。この辺りはかなり道が入り組んでいるのだ
が、裏道を知り尽くしているようだった。
「七時までに帰れば大丈夫です。」
「今、四時か。あんまし時間無いわね。」
車は世田谷通りを横切って用賀方面に向かっている。どうやら東名に乗る積もりら
しい。雅彦はどこに行くのか聞かなかった。圭子も無言で車を走らせている。
圭子が躊躇いもなくラブホテルに車を乗り入れても雅彦は驚かなかった。時間が無
い。圭子の言葉がこれから起きることを十分に予想させていたのである。
「ごめんなさい、いきなりこんな所に連れ込んで。」
官能小説『危ない画像』 第14話

雅彦が不安そうに聞いた。
「大丈夫、このままイッて。」
「うん。」
雅彦が下から手を伸ばして圭子の尻を両手で掴んだ。その尻を思い切り自分にぶつ
けると先ほどの感触が戻ってきた。
「そこ、そこ。」
圭子が焦れたように身を揉んだ。
進と久仁子が雅彦の家に引っ越してきた。元々一家三人が暮らして来た家である。
進が麻美の寝室で寝起きすれば久仁子にも一部屋使わせることが出来た。邦宏と和美
の兄妹も家が近いことが分かり、お互いに往き来するようになった。
ある日、雅彦がパソコンの写真を整理していると久仁子が部屋に来た。雅彦は残っ
ていた画像の整理をしている最中だった。画面を見た久仁子が思わず叫んだ。
「何でママの写真がここにあるの。」
画面には圭子が両足を広げた正面からのポーズが映っていた。
「え、ママって、圭子さんが久仁ちゃんのママなの。」
雅彦が振り返って久仁子を見詰めた。言われてみれば顔付きもあそこの形もそっく
りだった。
「そうよ。でも、ママが何でこんな写真を。あ、もしかしてママの不倫相手って、
マーちゃんのパパ。」
一緒に暮らすようになってから久仁子は麻美の真似をして雅彦をマーちゃんと呼ぶ
ようになっていた。
官能小説『危ない画像』 第15話

「後ろめたい。こんなことしちゃいけないって思ってる。」
「それが、全然。僕がママのこと好きになってたのは分かってるでしょ。」
「私の写真見たからね。若い頃の。」
久仁子がニヤニヤしながら雅彦の脇腹を突っついた。
「ねえ、先に話しといた方がいいんじゃない。」
「え、何を。」
麻美がいぶかしそうに久仁子の目を見た。
「実はさあ、マーちゃん、圭子さんと会ってるんだって。」
「何で。そう言えば、どうして雅彦が圭子さんのこと知ってるの。」
「本人から説明した方がいいわね。」
久仁子がニヤニヤしながら雅彦の背中を叩いた。
「ねえ、もしかして、雅彦と圭子さん、何かあったんじゃないの。」
「鋭い。」
久仁子が大声で笑った。
「女の勘って馬鹿に出来ないわね。」
「ちょっと、本当にしちゃったの。」
麻美がきつい目で雅彦を睨んだ。雅彦が素直に頷いた。
「何てこと。雅彦があの人とだなんて。」
麻美が進の肩を揺すった。
「あなたも何か言って頂戴。」
進が苦笑いした。
「まあ、圭子は形の上じゃまだ俺の女房だけど、もう何年も会ってないからな。」
「でも、雅彦が圭子さんと、なのよ。」
麻美は夫の不倫相手と自分の息子が逢い、セックスまでしてしまったことが我慢出
来ないようだった。
官能小説『危ない画像』 第16話

のし掛かって来た。
「パパ、エッチして来たでしょ。」
「何で。」
「匂いがする。その人の。」
「嘘だろう。ちゃんと石鹸で・・・」
進がしまったと言う顔をした。久仁子の誘導尋問にまんまとはまってしまったので
ある。
「やっぱり。」
進の胸に顔を埋めた久仁子が泣き出した。
「弱ったなあ。」
震えている久仁子の背中を進があやすように軽く叩いた。
「パパも男だ。ママがいなければこう言うことだってある。」
「どんな人。この間の人。」
「うん。」
「きれいな人だった。」
暫く考えてから進が話し始めた。
「こうなったら全部話しておこう。その人、麻美って言うんだが、ママの不倫相手
の奥さんだ。」
「嘘、パパはママの相手の人、知ってるの。」
「ママの不倫が始まってすぐに調べたさ。麻美の方も別の探偵雇って調べてた。お
互いにそれが分かって、麻美の方から俺に連絡して来たんだ。」
「やだ、二人とも不倫された腹いせだったの。」
「いや、そんな積もりは全然無かった。」
「ふうん、ちょっと信じられないけど。」
久仁子が身体の間に手を差し込んで進の前を握りしめた。
官能小説『危ない画像』 第17話

話し終えた進が照れ臭そうに頭を掻いた。
「久仁ちゃんの方も進さんとやばかったんだ。」
雅彦が二人を見比べた。久仁子が雅彦の腰に手を回しながら頷いた。
「うん、だから、あのパソコンの写真見た時、凄く安心したの。ほんとはパパに抱
いて貰いたくてウズウズしてたから。」
「何でパパと。」
「分からない。でも、マーちゃんこそ、何でママとしたいって思ったの。」
「ママの若い頃の写真見たからかなあ。」
「分かるかも。麻美さんって凄くきれいだから。」
「あら、久仁子ちゃんだってとっても可愛いわよ。雅彦だって一目惚れしたんじゃ
ないの。」
麻美が雅彦のおでこを突っついてケラケラ笑った。
「残るは圭子のことだけか。」
進の言葉に三人が一様に頷いた。
話を聞いた邦宏が、圭子を自分の養子にしたらどうかと言ってきた。子供のいない
二人。都内でも一等地の家と僅かな蓄えはあると言う。自分たちが緩衝剤になる筈だ
と言うのである。それを受けて、麻美が圭子と正式に別れて欲しいと進に持ち掛けた。
「私、圭子さんと同じ土俵で進さんと付き合いたいの。それならお互いにわだかま
り無く付き合えるかも知れないから。」
官能小説『危ない画像』 第18話 (最終章)

「何か意味深な言い方ね。」
「圭子さんの想像、多分当たってるわ。」
「嘘。」
圭子が顔を赤らめた。
「とにかく、俺たちはそっちの部屋に行こうか。」
このスイートは寝室が二つだった。広い部屋にはキングサイズのベッドが二つ、隣
にはダブルベッドが置かれていた。とは言っても二つの部屋の間にドアは無い。間仕
切りはあったが、お互いに顔が見える配置になっていた。
「ねえ、久仁子も見てるのよ。」
圭子が文句言ったが、進はお構いなしに服を脱いでベッドに入ってしまった。それ
を見た麻美と雅彦も寝支度を始める。圭子が様子を見ていると、まず邦宏と和美が同
じベッドに入った。続いて麻美と雅彦が隣のベッドに潜り込む。いつの間にか裸にな
った久仁子が隣の部屋のベッドサイドにしゃがみ込んでいた。
仕方ない、と言った表情で圭子も服を脱いだ。慌てて毛布を剥ぎ、進の隣に滑り込
んだ。
「こんなことなら、別の下着にしてくれば良かったわ。」
圭子が恨めしそうに進を睨んだ。圭子は雅彦と過ごす積もりで前開きの下着を身に
着けていたのである。
取り敢えずベッドには入った圭子だが、どうにもぎこちない風情で進とは距離を保
っていた。