「Japanese-wifeblog」の記事の転載を行っています
これは独自URL(有料サーバー)には手を付けないが前提になりますが・・・
中身は聞きかじった部分を再度話しが通ずるよう熟慮するなどし、「女衒の家系に生まれ 高原ホテル」からカテゴリの順に沿って編集し直した文を当ブログに向かってアップしていくつもりでいます。
似通った文で恐縮ですが、読み直していただければ幸いです。
知佳の美貌録「工事現場に隠れ潜む日々」
大阪には確かに夢を求め夜逃げできた。 しかし、友人が空き間を貸すだのと申し出てくれたというのは好子の、ろくでなし亭主を思うあまりの早合点だったようなのだ。
実際大阪の友人宅に押しかけてみると好子たち家族4人で借りていた、あの女衒の家に居候するしかない状況に陥った貧しかった借家よりもずっと更に狭い間取りの、しかも賃貸に、その友人という女も含め家族がぎゅうぎゅう詰めで住んでいて、とても好子たちが横になる場所などなかったのである。
お金はあると申し出てはみたものの所詮モノを知らない田舎者のたわごと、それに見合うだけの価格で借りれる家など近隣にはある筈も無かった。
それ以上にその友人宅の暮らし向きも切羽詰まっていて出てくるならせめて土産でも持参するのが礼儀と、幸吉に面と向かって向かって言い放ったものである。
テーマ : 女衒の家に生まれ・・・ 高原ホテル
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知佳の美貌録「お気に入りの場所」
その家とは久美の話しからすると造りからいって江戸末期から明治にかけて建てられたと思われ、一般の町屋と異なり農家でしか見かけなくなった大きな縁側があったようである。
近年の建築物は家は外から見た時にその家の表面に柱はほぼ見当たらない。
室内は特に柱が見えないように壁だけの部屋を作るのが近代建築のいわゆる洋風で、柱が見えるように作られるのが和室造り、つまり日本古来の様式なのである。
洋風とはまた細い柱をというよりその面を耐震性を増すよう補強材で補強し壁自体が厚く頑丈に作ってあるからして昔のように無駄に太い柱は必要ないのだ。
断熱効果に優れている一方で壁は外界と完全に遮断された密閉空間を作ってしまう。
欠点は屋内に泥のついたようなものを持ち込めないこと。
自然と一体化 (通気性が良い) できないところにある。
それに比べ古来の建築は太い柱と大きな梁が中心をなし、外部と一体化するような構造体を成している。
つまり家の中に大自然が存在するようなもの。
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知佳の美貌録「生涯一度だけの幸せな日々」
高原ホテルの主人公 久美がまだ幼かった頃、女衒は随分没落し女衒の持ち家は本家と散髪屋 (髪結いではない) の二軒だけになっていたようだが、夜逃げの末ここを訪れた久美にはそれでも近所の一般の家庭に比べたら随分と広い屋敷に住んでいたような記憶がある。
女衒家が最盛期だったころ3軒の家を持っていたと書きましたが、上の説明での散髪屋はどう見ても、構造上からも商売に使うだけのため建てられた家であり、3軒のうちの1軒に入っていない筈なので、一般的な民家風の家2軒はこの時点では既に人手に渡っていたものと見てよいとおもいます。
つまり好子が生まれ育った家は久美の記憶にある大きな屋敷よりさらに大きく、好子の話しと統合するとまず当時住むことを許された地区(部落と忌み嫌われ棲み分けされた地区)と位置や雰囲気が多少異なるからです。
今風に言えば産後の肥立ちが良くなるまで実家に里帰りしたことになりますが、その実ちゃっかり居候を決め込んで帰ってきており、元気になっても元いた場所に帰ろうとしなかったのです。
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知佳の美貌録「地方巡業中の大山名人にスカウトされた幸吉」
こちら側で機会を見つけ頼み込んだのか、それとも噂に聞く神童の腕のほどを試したくて足を向けたのか。
ともあれ幸吉は名人にスカウトされた。
当時のことだからこの報は、まるで我が町に神童 藤井〇太現るの如くであろう。
その報、自慢話しによれば神童をわざわざ名人が東京からはるばるスカウトに来たかのような騒ぎになったのではないかと思われる。
幸吉が酔うと必ず口にする自慢話しであるからして定かではないが・・・ 地方の多少名士とはいえ、たかだか村会議員とその息子の話し。
近隣近在の嫉み妬みもあったろう。 ともあれ幸吉は名人に伴われ盛大な見送りを受けお召列車 (当時幸吉を見送った人々はこう思った) に乗せられ連れて行かれ東京の名人宅に住み込みの弟子として入ることになる。
当時の将棋界は今と違って テレビなど無いし、性質上大会場で多数の観客を入れ対局など行われない。 従って高収入に通ずることなど滅多にない。 だから賄賂を積まれ大山は女衒の街に来たのかもしれないが・・・
プロと言っても他になにがしかの収入が無ければ食うにも困る。 幸吉の場合、衣食のほぼすべてが仕送りで賄われた。 だから弟子入りした折、議員はたんまりと袖の下を渡したと思われる。
因みに、弟子と言われ出入りする者は星の数ほどいたそうである。
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知佳の美貌録「働かない亭主を支え」
後の世になればなるほど廃村や限界集落、或いは廃れていく町の殆んどが山間部の山仕事関係に関わった地区で、こういった町は炭とか建築用木材、或いは薪の一大集積地としてかつて賑わった。 燃料や建築資材のほとんどを山に頼っていた。
だからこそ発展したのであり、村落とはいえだから、女衒の住む街と比較しても当時の人口は遜色なかったのである。
年下の亭主はこんな町の比較的裕福な自転車屋を営む商家であり村会議員の息子でもあった。
つまり苦労知らずに育った漢であった。
日本に石油が導入されるようになると、必要なくなったこれらの品々(山から生産される 例えば炭のような商品)に頼って栄えた集落は仕事を失い住む人もいなくなり今のような有様になっていった。 鉱山なども同様である。
好子が見つけた亭主(仮に幸吉としよう)は現役の高等科の学生。
それも地区では神童と呼ばれるほどの秀才、しかも女衒の棲む街とはお隣の郡部とはいえ女衒・髪結いのような下種な仕事と違って代々議員様の息子である。
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tag : 年下の亭主自転車屋を営む商家村会議員の息子苦労知らず亭主現役の高等科の学生神童鼻つまみ者の穢多将棋最初の夜逃げ
知佳の美貌録「夫を兵役で失った妻は子を養うため身を売る人もいた」
女衒がどうのこうのと、いかにもすべて女衒が悪いようにこれまで書き連ねてきた。
だが考えてみればこの時代、山奥の百姓の家に生まれたから、食うものはたんとある筈だと言っても必ずしも安泰というわけにはいかなかった。
それなりの土地を所有する家の嫡男(大地主 庄屋)でなければ家を出て食い扶持を稼がなければ、新たに開墾でもしなければ生きてゆけない。
ましてや女は嫁いだ先の家になじまなければ、子を生さなければ追い返され、それだけで生きる権利を失うことになる。
女衒のような商売があったればこそ、これらの女もそれにすがり生き抜いていくことができた。
鬼のように見え仏の面も併せ持つ、いわば閻魔大王のような存在とでもいおうか。 それでも寡婦らには仏様に見えたという。
兵役で夫を失い途方に暮れる妻の悲哀 - 要するに漢っ気を失った女が食いつないでいくため資産のたんまりある旦那衆を世話し春を寿がせ、お互い暴れる性を成就させてあげる。 いわゆるシモの世話や衣食住の差配を彼はこの時代職業としたのである。
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知佳の美貌録「電柱を伝い外に 戻れない橋」
先にも述べたようにこの地は火山の名残りで出来た、まことに小さな(径100メートル未満のような)小高い丘群と、それを取り囲む底なし沼とでできていた。
端的に言えば汽水湖に浮かぶ小島(島嶼群)であった。
この沼地は例えば近代にお百姓衆でもこの地の田を耕すのにトラクターは入れない。 かと言って通常の耕うん機かと言えばそれも半ば違う。
テーラーと呼ばれる水に浮くような軽量の耕うん機を入れてさえ、耕うん(耕す・泥をかき回し草をなぎ倒す)と同時に代搔き(均す)までほぼ同時にこなしてしまうほどなのである。
そうやって準備が整った田に、こんどは田舟に躰を預け胸まで水につかりながら田植えをする。
冷たい水は相当躰に堪えた。 もちろん牛馬を使うことなどできないから堆肥など望むべくもない。 すべてその年上流から流れ来る水に交じる肥えと日照りなど自然の摂理任せになる。
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知佳の美貌録「女衒の少女と売られた少女の住む街 その変容」
あの枕芸者が棲む街と隣の大きな街とを結ぶ街道、つまり海辺に沿って造られた後に電車が走ることになる街道にほど近い場所にあり敷地面積は小さな児 童 公 園が造成できるほどの広さがあった。
今日ほどではないが、それでも駅前の広い通りを人々は賑やかに行きかっておりそれほどの広さの土地を持ち屋敷を構えるということはそれなりの権力を有していただろうことが駅前という特殊性からも損も広さや家の造りからも窺える。
それに比べ枕芸者、つまり娼婦にさせるべく売られてきた少女が押し込められている置き屋のある地区はかつて、松林が生い茂るただの砂浜。 風が吹いたと言えば家が所々壊れ高波が来たと言えば家が流されやすまいかと心配せねばならなかった。
漁師が海中に湧き出る湯を見つけたと自慢げに口にしたのだ。
その付近一帯を漁場とする漁師が最初に海中で温泉らしきものを見つけたと言い出した。
漁師は素潜りでハマグリを獲ったりイワガキを獲ったりする。 もちろん魚類もだが・・・
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知佳の美貌録「遥か向こうに枕芸者衆の棲む街が見える」
その一般道とは田んぼの中のクネクネとした畦道でした。 女衒や少女時代の好子が棲み暮らした地区は多くは沼地であるのに対し置屋とか枕芸者の棲む温泉街は大川と海が運んだ砂州の外れにあったのです。
つまり女衒の住む市街地の地盤の多くは小さな小島と、それを取り囲む沼で出来ていました。
武士階級は埋まることのない山のすそ野を利用し屋敷を立てましたが庶民は明らかな持ち主の居ない沼地(この辺りは底なし沼 つまり釧路湿原のような湿地帯が多い)に山から切り出した木や竹、或いは土砂を持ち込み埋め立て、そこに掘っ立て小屋を建てて移り住んだのが始まりというような、街と言ってもいわば放浪者の集まり、未開の地でした。
故に年貢米の上りは天候と沼地の水嵩に左右され不安定で、その責めを負わされ城主が頻繁に入れ替わるというような、如何にも世情不安が蔓延するような、生活していくには誠に心もとない地でした。
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アップデート 2024/02/21 12:45
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