次第に崩れていった下薬研 (しもやげん) の結束
何事においても控えめだった真紀さんも須恵乃さんが何処かで見たことのあるような輩と例の草地で戯れているところを何度も覗き見したものですからこの頃では先に立ってどこかへ出かけ組内での仕事をおろそかにし始めたのです。
それに加え真紀さんの夫である新太さんも美澪さんの尻を追いかけまわし始め、下薬研 (しもやげん) は表面上穏やかに見えるもののこれまで抑圧してきたものが爆発し結束が揺らぎ始めました。
真紀さん、いつのころからか部落内で育っていたものを勝手に持ち出し比葡の里に売りに行き、その道中須恵乃さんの真似をし始めたのです。
須恵乃さんは気付かなかったようなんですが、あの雑草の生い茂る峰をほんの少し北に向かって小道を進むと更に大きな刈り落としがあるんです。 そこには比葡の里から通じるちゃんとした大きな道もありました。
真紀さんは比葡の里の連中によってそこに連れ込まれ弄ばれ始めたんです。