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知佳の美貌録「帰らぬ父」

躰に火がつき情交を前にし気持ちを確かめ合うふたりを覗き見ていた夫

鳶と情交前のベロチューを交わす人妻好子 妻がよその男に身を…それは生活のためだと夫の幸吉はかねてから知っていた。 出が女衒だからである。 恋焦がれて一緒になりはしたが、そうやって見下し始めると止まらなくなり、己の顕示欲・出世のため妻や子までダシに使った。 その妻がその日の朝、これとみた男を深部に咥えこもうとしていた。 脳のない女ごときの守備なぞ、何物でもないと一旦は笑って立ち去ろうと思ったが、妻のものと思われるとぎれとぎれに聞こえ来る男とかわす囁き声が気になり、神童とまで言われた棋士が他人様の家の中をついつい覗いてしまっていた。

鳶と情交前のベロチューを交わしつつ耳元で卑猥な言葉を囁く妻

 好子が常々口にする言葉が耳につき離れなかった。
 「〇〇っていうオンナ、バカよねぇ~ もっと高く売りつけてやればいいのに」 
男ってやつは、たとえそれが人妻だろうが囲おうとする。 
好子曰く
「抱かれて骨抜きにされ、お小遣い程度頂いて有難がってるなんて……」 
馬鹿じゃないかと罵る。 だから好子は掛け持ちをやらかした。 後の話しになるが、ふたりの孫娘のうちの長女が親子ほども歳の離れた男に囲われていた。
 コーポに住まわされ、ある程度生活費の面倒を見てもらっていたが好子は娘の久美に
「自分の娘ほど歳の離れた女を囲いたいなら、マンションぐらい買い与えてもいいじゃないか」
との賜ったものだ。

 鳶の男が好子にぞっこんであることは十分わかっていた。 高く売りつけるため好子は、鳶の濁流が溜まりきってのたうちまわるよう、わざと仕向けた。

 男とは惚れたオンナの住まいを探したがる。 住まいを探し当てると次には後をつけたがる。 虫がついていないか心配だからだ。

 それを知っていて好子は仕立物を頼みがてら口説きに来てくれていた男連中に次々と身を任せる風をした。 例えば部屋を借り、ふたりっきりで数時間過ごすとかである。 これには仕立物を頼みに来る男たちも本気になってくれた。 かくして鳶の男が溜まりきった時を見計らって、朝立ちを狙い訪ったのである。

一度は覗いてみようと思っていた妻の稼ぐ様子

 鳶と情交前のベロチューを交わす妻。 幸吉が見たものとは、まさしく本気になって男を迎え入れようとしている妻の姿だった。

 袂に潜ませてくれた心づくしのお金を頂いたとき、帰るまでの間に散々嬲られ妻こそ男にぞっこんで別れられなくなりつつあった。

 妻が背徳行為をやらかしていることを知った、というより見せ付けられた思いがした。 馬鹿でくだらない女と思っていたが、自分が飲み代欲しさに望んでやらせたこととはいえ、これほど妻の不貞を罵ったことはなかった。

忘れるために朝から焼酎をあおる

 酒におぼれながらも幸吉は学士様の威厳を保とうとしていた。 妻の好子が釈放されて初めて、連れ合いが妻から売女に変わりつつあると気づかされた。

 自宅に学生の下宿先にと頼まれ迎え入れ、世話し始めてからというもの妻は、相手は未成年であるとはいえ親から預かった少年相手に確かにオンナになりつつあった。

 部屋の掃除をし終え、或いは給仕をし終えた時など、明らかに上気している。 鳶の好子に対する劣情を知っていて、しかも昼日中から他人様の妻とはいえ不貞という言葉を口にする男。 亭主を置いて己もまたいづこかへ出ていこうとする妻。

 家を抜け出す妻のその目的が他人棒の劣情を鎮めるためと分かっていながら自尊心が邪魔してどうしても引き留められなかった。

 焼酎でボロボロになった躰はオンナを魅せられてもおいそれとは勃たない。 ひねくれ切った幸吉は或いはよそ様の怒張を借りれば慰めてやれるかもしれないとも思わないでもなかった。

 そんな事とはつゆ知らず、好子は時折自分の前に姿を現す鳶職の男の怒張に心を奪われていた。 今日とて、好子が表に水撒きし塩を角々に盛ろうとして玄関に顔をのぞかすと当の男が素知らぬ顔をしながらも前をスーッと通り過ぎて行ったのである。

 暁闇とか夕暮れ時の薄暗さ、男が女をオンナがオトコを一番欲しくなるこういった時間になると決まって鳶は姿を現し好子を誘った。
 「欲しかったら来い、いつでも相手してやる」
 男の背中が好子にそう語っているように思え、人妻の心はざわついた。

 あの日も、その翌日も そして次の日も、好子は眠れぬ夜を悶々として過ごしていた。 例の、仕立物を頼みに来る男たちと出会えた日にもである。

 男女が個室で逢えば、心はおのずと互いを求めざわめく。 それなのに、それを知らずして逢瀬を重ねていた。


 幸吉は朝目が覚めるや否や家を出た。 何処に行くあてもない。 ただブラブラとあてどもなく彷徨った。 妻が起きてきて顔を合わせるようなことになれば、或いは覗き見たことを罵られるかもしれないと思った。

 夜中に夫が寝静まったのをよいことに寝乱れ、息を押し殺しながら指を使い疼くのをものぞき見た。 顔を合わせればそこに火をつけたであろう男と戦っている、そのなんとも卑猥な姿を罵ってしまう。

 自分は一段高い位置にいる学士様、そのような淫らなことをやらかす妻を諫めなければならない立場にある。 妻でありながら自慰に耽るその嬌態。 亭主である自分は二階に学生がいるからと夫婦生活を我慢してるのに己はその学生と乳繰り合う、そういったことを学士様ならでは黙って見過ごせなかったからである。

 夜中がそんなだから、当然好子の朝は幸吉に比べ遅かった。 まだ明けやらぬ前に家を抜け出した幸吉の行方など、とんと解せない妻だった。 だから暁闇、好子は家を抜け出し鳶のもとに走ったのである。 心ばかりの朝食を携えて。

飲酒酩酊する夫

 昼近く、幸吉が現れたのは親戚の家だった。 汗にまみれ、疲れきった顔で現れ何か食べさせてくれないかと言った。 ウチのやつらはろくに食べさせてもくれなけりゃ、飲ませてもくれないと、こう言った。

 気の毒がった親戚は、ありあわせの食べ物と冷酒をふるまう、食って吞んで満足した幸吉を気のすむまで寝かしてやった。 このようにして幸吉は、知り合いを転々として食べ物ともらい酒をし、毎日時を過ごしていた。

 夫の幸吉がそんなだから好子は普通の家のような家事(主に炊事だが)のしようもない。 暇な時間、外歩きしだした。

 好子の身体つきが、ろくに食べてもおらぬのに、なぜにそれほどまでほかの女と違って下半身が発達してるのかと言えば、この外歩きに尽きる。

 若いころ、一時は自転車にでも乗ろうと練習したこともあったという。 だが、どうしても自分でペダルをこいで倒れずに走る。 それが想像できなかったし、第一自転車は高価で買い与えてもらえなかった。 だから不倫の末、男を追って家出したその齢になっても乗れなかったのである。

 それゆえ、
「遥か向こうに枕芸者の住む街が見える」
の果てまでも、自分の足でせっせと歩いた。 頭に血が上ると、とにかく男探しが始まり、街じゅうを歩き周る癖があった。

 下半身の鍛え方が並みの女と根底から違って、内臓まで筋肉でできているかのように発達していったのである。

 健康面でもそうだった。 少しばかり風邪気味と言って薬を飲むようなまねはしなかった。 汗を掻けば治ると思い込むような鉄火の女だった。 

節くれだち左に曲がった怒張にどうしても勝てなかった

 それほど鍛えた人妻が、どうしても鳶には勝てなかった。
 「まだお金のお礼をしてなかったもので……」 
下手なこじつけで、再びあの男の玄関を跨いだ。

 そろそろ姿を現す頃と、手ぐすね引いて待っていた男の懐に、なんと自ら飛び込んでいった。 狂おしいほど左に曲がったソレが欲しかった。

 久しく忘れていた自慰をやらかしてしまうほど脳裏に下半身に、堕とそうと出し入れしてくれた怒張が焼き付き、眠れないほど狂おしかったのである。 家に充満する若い男の芳香が尚、人妻をして狂わせていたのである。

魅せつけてきた、焦がれ続けた巨根

 座敷に通され、心ばかりのお礼と差し出した煮つけを、素直に受け取り脇に置いた男は、欲情に我を忘れ駆け付けた人妻の目の前で、これ見よがしに着流しのまま胡坐をかいた。 朝食の支度をしようと前かがみになった人妻の眼前に、ふんどしの奥の男の、いきり勃つ逸物が露わになった。

鳶の節くれだった指が入り口を求め彷徨う 好子は、正座の姿勢を崩し 視線をソレから逸らす風にしたが、時間がないにもかかわらず今朝はどうしてもお情けが頂きたく息せき切って駆け付けていたのもだから素が出た。 足のつま先が男のそれに真っすぐに向き意思を伝えていた。

 意を介した男は人妻の後ろに回り、肩口をほんのちょいと引いてやった。 ぐずぐずと人妻の躰は男の膝の上に崩れ落ち、男の手で乳房を着物の上から鷲掴みにされ抱かれ身を揉んで悶え始めた。

 今しがた魅せられた怒張が欲しく内心狂いまわっていたからである。
 「美味しそうなものを頂いたんだ、お礼をな」「ありあわせで悪いんですが……」
 語尾はよく聞き取れないほどに好子は乱れた。

 それというのも、向上を述べ始めた好子の腰あたりを男のいきり勃ったものが先ほどからしきりに突き上げてき始めたからである。  鳶の毛むくじゃらの大腿部に人妻のしなやかな手が置かれたからであろう、男の手は素早く着物の襟をつかみ肩から引きはがし、乳房を剥き出しにし黒ずんだ乳首に唇を這わせ始めた。

 「アッ、アアアッ…玄関に鍵を掛けたの…誰か入ってきたら……」
今度こそ最後の一滴までも中に出してほしくてこんなことを口にしていた。
「丁度いいじゃねえか、見せつけてやろうぜ」
「もし、こんなことしてるのウチのひとに見つかったら…お願い……」

 寝間で男の逸物を思い出し自慰を繰り返しているのを知っていて、その男のもとに走ろうとする妻を放置する。 
「今度こそ、しっかり挿し込んでよがっているところをあんたの亭主に見せつけ、お前を寝取ってやる」
男は好子に対し、そう口にしただけで余計に分身が硬く、雄々しく好子の腰を持ち上げるのがわかった。

 待たされても萎えなくなったばかりか益々張り詰めてきたのである。 その分身は、先ほどから着物の尻の部分を捲りあげ、太腿を割ろうと二つの丘のはざまでもがいている。

 「あぁ…はぁ……、ふっふっ……」 
好子は男の膝に片手をかけ腰を浮かし、その分身が尻の孔を通り過ぎ、濡れている部分にあてがってくれるくれるように臀部をずらしたりしていた。

 男は好子の右足を、太股が開いてくれるよう懸命に掴んで引き上げに掛かっているが、好子は好子で玄関の鍵が気になって、一向に割ってくれない。 それでいて着物の裾で隠しつつ、しっかりとカリ首を尻のワレメで捉えしごきにかかっている。

 男はついに好子の足を手放し、直接下の繁みに手を伸ばし、濡れた襞の入り口に指を挿し込んで親指でクリをこねまわすようにしてやった。 人妻はせり上がるようにしながら鳶にベロチューを求めた。

 「アッ、ダメ、結合部を観られてしまうから…お願い……」 
淫語を耳元で囁く人妻。

 指を九の字に曲げ探ってやるとビクンビクンと身体を震わせ悶えながらも抗った。 人妻の襞を弄ぶ屈強な鳶の腕に血が滲むほど爪を立て一時でも速い情交を訴え続けた。

 先だっては初めて見つけたブツブツを刺激すれば一発だったものを、今回は容易に太股を割ろうとしない。 最後の手段と、男は好子を畳におろし、上から覆いかぶさり膝で強引に太股を割ってやった。

 「ほうれみろ、こうやればお前のマ○コに儂のを挿し込んでも玄関からは見えまい」 
女は抵抗する余裕を失い襞から大量の愛液を滴らせ、割り込む男の待ち焦がれた切っ先を濡らし、ようやく開いてくれていた。 難儀して男が女の太股を割ったときには、男のカリ首から先だけが人妻がヨガって擦り付けた愛液でベットリ濡れワレメにあてがえばスルリと飲み込まれる状態にまでなっていた。

夫の目の前で他人棒に狂喜する妻

 「あとはお前が腰を使って儂をワレメで咥え込む番だ」 
亀頭の先端をGスポットで遊ばせながら鳶はほくそ笑む。 
「そんな…早く…お願いだからっ」

 好子はなんとしても、一時でも濁流を早く迎え入れたかった。 学生たちの朝餉を作って送り出さなければならない。 それなのに、勢いが良すぎる男の逸物は浅く入れ入り口を嬲っているものだから好子が腰を浮かせた隙に抜け、愛液で滑ってカリ首がワレメに沿ってクリに向かってしまう。

 腰を後ろに引こうにも、両膝でがっちり太股を押さえ込まれ身動きできないでいて、僅かにワレメで裏筋を擦りあげてあげることだけができるだけ。

 だがそれは、好子が自分自身を苦しめることになった。 
「アッ…もう、もう……」 
首を横に振って苦しみを訴えるが、男は先ほどから舌先で乳首を弄び好子が全身を硬直させ震わせ入れてほしくて苦しむ様子を見て楽しんでいる。

我が妻に射出される瞬間を視ようとするする夫

 男の、十分勃起した逸物の下にある袋ごと入るがごとく人妻のワレメを鳶は押し開き始めていて 両者が中に挿入を繰り返せるほど欲情した壺は開ききっていた。 ピンクを通りこしドドメ色になりつつあった。 抱きかかえ、指で触れた尻の孔の菊門さえ愛液でしとどに濡れ、窄みが開いたり閉じたりしながら腹部とともにわなないていた。

 そうまでしても、好子は男の逸物を自分の指で摘まんで壺に導こうとしなかった。 玄関の外、人の気配を感じたからである。 互いのふくらみがぴったりと逢わさる瞬間を診せたくなかった。 男は、寝取るには好子をそこまで追い込まなければ、この女はすぐにほかの男に寝返ると踏んでいた。

 「ワッ、ワッ……」 
打ち寄せる快感に男の背に爪を立て、太股をバタつかせ首筋に血管を浮き立たせながらも、自分が先に逝かされるものかと好子は踏ん張った。

 恥部を他人様に診せつけ喜ぶような男に堕とされてなるものかと、先に男を屈服させ放出させてやると抵抗を繰り返していた。 言うことを聞かないオトコに玄関に鍵すら掛けないオトコに愛想をつかし始め、鉄火になり始めていた。

路頭に迷う父

 幸吉は夕方近くになるころにはしたたかに酔い、足取りもおぼつかなくなってまで知り合い宅から知り合い宅へと彷徨っていた。

 それでも家に帰ると言い張る幸吉に、引き留めるのもなんだからと 「気を付けて」 帰るように言い含め送り出した。

 元々幸吉は酒は一滴も飲めないでいたことは前に話したと思う。 僅かチョコ一杯で顔どころか体中真っ赤にし、それ以上飲ますと気分悪がって吐いたものだ。 それが今では浴びるように呑む、が、決して強くなったわけではない。 酒が好きになったのは確かだが、相変わらず弱かった。

 普段、三度三度ちゃんと食事もしていない幸吉は、この年齢になると安酒は足に来た。 朦朧とする意識の中、家までたどり着く体力は残っていず、路上で気を失って寝ることが度々あった。 その都度、知り合いという人たちから連絡が入り好子は近所の男衆に頼んで家まで負ぶって帰ってもらっていた。

 その幸吉は、とうとうその日の夜は家に帰りつかなかった。 朦朧とした意識の中、幸吉はある家を目指していた。

 その家とは… 今 時間を忘れて情交を繰り広げているであろう妻が不貞を働きつつある鳶の男の家である。 窓の下から中の様子を聞き耳を立てて伺い、我が女房が まさに寝取られる様子に打ちのめされているであろう家である。

 大事な用事があるにもかかわらず妻は家に帰らなかった。 いや、鳶の怒張が食い込み続け、帰るに帰れなかったのである。

 学生恋しさに溜まった熟女の欲情、人妻堕としたさに溜まった濁流、ひょんなことで出逢ったふたつの名器は、互いをぶつけあうことで延々快楽を貪り合っていた。

 幾度情交を繰り返したのか、もはや見当もつかなかったが、その時も男はしっかりと女の土手に己の腰を、濁流を射出すべく押し付け、亀頭で肉球や子宮入り口を嬲りまわしていた。 が、時満ちたのか期待に腹部をヒクつかせる人妻に、おそらく愛液だろう、泡にまみれた金玉をヒクヒクと委縮させ顔を真っ赤にし絞り出すようにして中に打ち込み始めてしまっていた。

 妻の好子が気持ち良さに、その危うさに獣のような咆哮を放ち、幾度目なのか逝ってしまったあの瞬間の声を聞き届け、看届け、幸吉は家を離れた。 あてどもなく彷徨い続け、路地裏で気を失って朝を迎えたのである。

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