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射精感が募り破滅への道を歩む彼に捧げ続けた彼女が行き着いた先は

山間の村の店舗への配送 島国の日本は山間部よりもむしろ海沿いに開け人口も産業も海辺に集中している。

 海沿いの担当地区を外され山間部に行けと言うことは産業が衰退し若者が殆んどがいなくなった、どちらかというと時代に取り残されたような廃村を回れと言っているようなものなのだ。

 この先に集落が果たしてあるのかと言うような山間の狭い道を走り数少ない店舗に直接商品を卸す。

 そこで暮らす人々が少ないから買い物客も当然少ない。

 売り上げが見込めないから支払いは滞る。

 営業とは売り上げに対するマージンがつくので桂子に支払われる賃金は当然減った。

 桂子が勤める会社は地元に工場を持っている。

 桂子が勤める会社が何故田舎に工場を持とうとしたかと言うと地産地消に目を付けたからに他ならない。

 だが農業従事者は農協が口を酸っぱくして営農指導を行っているにもかかわらずほぼ自己判断で作付けしてしまう。

 生産品の売り上げの一部を農協に貯蓄名目で吸い上げられるなどという言ってみれば管理下に置かれたくないからだ。

 そのため生産過剰になったり急激に減産してしまったり或いは品質が劣化したりと、生産工程がまるで浮雲のようになってしまうような状態が日常化していた。

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 借金は膨らみ投げやりになり皆が皆農業に見切りをつける。 桂子が務める工場もその農協の弱点を突いて工場を建てたばかりに安定した上質の原料確保が難しく苦戦を知られていたのだ。

 大企業であればあるほど工場の生産品を直接小売店に卸したりしない。

 そんなことをすれば支払いの関係 (ツケ払い) から収入が安定せず、したがって生産を安定させることができないからだ。

 だから彼らは安定して引き取ってくれる問屋にこれらを卸ろす。

 それに対し桂子が所属する工場の主力は地域の小売店を回って品物を卸すやり方を採った。

 だが桂子が所属する工場は名前こそ全国ブランドの名を借り有名然としているものの田舎の小さな工場で大企業と肩を並べるほどの技術力をそもそも備えていない。

 そのような状態にありながらも桂子が工場シェアの最有力地区の担当に当たらせられたということは彼女が問題さえ起こさなれば周囲の男どもに比べ極めて優秀な社員だったからだ。

 営業とは店舗に品物を卸すばかりが仕事ではない。 値段交渉こそがカギになるのだ。 その点桂子はある種オンナを匂わせるような独特の色気があり、巨大企業に肩を並べることができたのである。

 田舎とは悲しい。

 跡を継げと田舎住まいを幼くして半強要された長男、或いはそれに類似するものは小さい頃から家の手伝いに駆り出され勉強は二の次にされた。

 嫁いで外に出て行った女たちとの間に大きな差ができた。

 幼くして労苦を強いられたということは愚鈍ながら逆境に強いともいえる。

 だが逆に彼らは進歩発展の必要性をまるで感じ取ろうとしないのだ。

 古来から事なかれ主義の中で祖先が残してくれた財産で食いつなぎ生きようとしているし親もそれで良しとしているからだ。

 だから彼らに技術開発云々と語っても埒が明かないのだ。

 こういった状態であるからして大企業との差は開く一方だった。

 気落ちしたのは幹部クラスだ。

 彼らは地元に工場を建てるからと言われ大学や高専を卒業したにもかかわらず地元に残ったもの、或いは都会での職も地位も捨ててUターンした者たちだ。 今更後戻りはできない。 桂子の不祥事にはだからこそ焦った。

 こういった工場や大きな店舗にはトラックヤードがある。

 全国出荷に向けフルトレーーラーも入れば桂子がかつて使っていたような2トンの保冷車も入り、末は直に買い取りに来る軽トラの保冷車まで入る。

 工場の生産品だけでは食いつなげず彼女の勤める会社では弱小協賛各社の商品まで扱っていた。

 彼らには彼らなりの序列がある。 積み荷の大きさである。 つまりどれだけ高価な荷物を積んで走るかによってクラス分けされる。

 桂子が不祥事を犯すまで、彼女はフルトレーラーを除く序列第一位だったのだ。

 頭脳はもちろん、その働きぶりが良くなければこの位置に着けない。

 当然待機所でも桂子は幅を利かせた。

 男どもにとって目の上のたん瘤だったが憧れの女性でもあった。 それが不祥事によって一気に最下位に落ちたのだ。

旧態然の思想が幅を利かす土地柄

 桂子の夫は先にも述べたように土木作業員だ。

 それも最盛期 (昭和の末期) であっても正規従業員が10人にも満たないような弱小企業だった。

 いや〇▽組 (独り親方) と言った方が良い。

 彼らのような下請けは親会社が受ける官庁工事の有無によってその景気は大きく左右される。

 だから箱もの行政の時代が去ると一気に業績は悪化した。

 時代は進んで物価高になったというのに給料は下降線の一途をたどった。

 それなのに倫之はかつての栄光にしがみつき、生活形態を変えようとしなかったのだ。

 一家の稼ぎ頭が夫から妻に変わっても相変わらず亭主風をふかし暴力と酒を止めなかったのだ。

 営業とは売り上げによって給料は決まる。

 残業手当は出ないのに売り上げを伸ばすためサービス残業を繰り返す桂子。

 だが夫はこの桂子の苦労を顧みようとしなかった。

 家事・育児などすべてを彼女に丸投げし威張り散らしていたのだ。

 彼女は己の稼ぎが増すほどに家を出たいと思うようになっていったのである。

 思えばコトの始まりはガソリンスタンドでの同僚とのW不倫だった。

 ふたりの子を生していた極めて健全な躰を持つ、いや持て余す桂子にとって男の肉体は、肉塊は快楽地獄に堕とす凶器に近かった。

 ご無沙汰続きの人妻の胎内に暴力的に割入ってくれた男の肉塊によって桂子は一瞬にして一匹の牝へと開花した。

 しかも来る日も来る日も休むことなく求められ生活困窮者である身を忘れさせてくれた。

 世の中にこれほど自分を好いてくれる男がいるんだということを生まれて初めて知ったのである。

 彼に捨てられて後、ギャンブル喫茶の男どもによって輪姦され彼女は快楽の頂点に否応なしに駆け昇らされた。

 そのオーナーがお縄になり笑顔など無かったあの日の自分に再び戻らされた。

 そこに夢かと思えるような男が出現した。 そしてこの猟奇的な絶倫男の歯牙にかかり牝の部分が更に一層狂わされたのである。 

 ガソリンスタンドの同僚との場合、正常位か せいぜい通常のバックが関の山だった。 挿しこんで間もなしに勝手に果てるのである。

 それがギャンブル喫茶では寝バックになり騎乗位になり、覗き見乱交に発展し、しかも彼女が屈服しても許してもらえなかった。

 イカサレていった。

 だがそれでも母 佳乃や母の大の親友だった敦子に貞子らが媚薬によって狂わされ妻子ある男たちとまぐわわされたものに比べると大人しい部類だった。

 桂子が議員によって開発されたまぐわい法は母 佳乃の不貞に怒った夫の憲之が折檻をまじえた狂喜じみた仕込みを行ったがそれに近かったのである。

 公的仕事に従事する者の精神的な支えとして桂子はこれに母 佳乃が 「男が躍起になって挿し込みに来てくれるほど魅せてあげ・・・」 と語ってくれたように誠心誠意応えたのである。

 結婚や恋愛すらも序列によって左右される地域にあって彼らの鬱屈した気持ちは捌け口を求め心の内で暴れまわっていたのだろう。

 初めて恋した女を目上に奪われたなど力量不足ゆえ過去に苦渋を飲まされ続けていたからだ。

 丁度そこに生活苦ゆえか快楽地獄に堕とされ開花しまぐわいを求め出逢い系に酔いしれた、男にとってまことに都合の良い女が向こうから近寄って来たのだ。

 銘家に生まれ議員という身分を持ち、かつイケメン男ならではの幸運か 将来と言う餌を撒き誘き寄せようとしたところ、なんと自分から進んで犯してほしい旨お願いしてきたのである。

 身分を伏してか、はたまた自慢してか、幾多の人妻を胤付け目的で転がし破滅への道を突っ走っていた議員に願ってもない幸運が訪れたのだ。

 議員がなぜに人妻に固執するのか。

 それは堕とそうとした折に演技ではなく素で苦しみもがき挿し込んだモノが良いとも、不貞を強要するオトコが憎らしいともとれる目で結合部をねめつけ狂態を晒した末にそのモノで逝ってくれるからであった。

 だが所詮は素人、そこに到達させるまでに彼としては恥も外聞もかなぐり捨てて必死になって彼女らに尽くさねばならなかったのである。

 時として己のことはさておき押さえ込んだ女の方を堕とすべく突き上げる射精感に耐え忍ばねばならなかったのだ。

 だがコトを済ませ女どもが離れようとしなくなる罪となると逝かせてもらえた方は役徳で逃げ果せいつも逝かせてやるため苦難に耐えた議員だけ糾弾されたのだ。

 如何に離れようとしなくても その己が挿し込ませてもらえる部分を彼は恨んですらいた。

 その点桂子は違った。

 議員が猟奇的まぐわいをやらかすといつのまにか女が主導権を握りその技の元彼はいつも負かされた。

 過去の人妻たちと絡み合ったのと違って残らずヌキおおせた。

 すっからかんにさせてもらい夫として、或いは父親としての平常心を取り戻していったのである。

天国から地獄に追い落とされた桂子

 女性ドライバーが僻地を走るとき一番困るのが配送中のトラブルだ。

 運転が上手いとは言ってもエンジン回りや足回りのトラブルの対処まで習っていない。

 格別な体躯と言っても、そこはか弱い女なのだ。

 僻地に回された当時は市内の配送センターからものの30分も走れば (桂子の場合ぶっ飛ばす癖があるから) たちまち携帯が圏外になった。

 西部方面に配っていた時は比較的大きな、しかも新しいトラックをあてがわれた。

 田舎とはいえ都市部に近かったため携帯の電波が圏外になることなど有り得なかった。

 しかし売り上げが伸びず、載せる商品数も少ない僻地を回るとなると廃車寸前のクラッチが半分滑るような塗装まで色あせた小型車しか与えてもらえない。

 地図で示された地区に行ってみてまず驚かされるのは本当にこの先登って行くと民家があるのかと言うような、対向車にでも出会えば交わすことなどできないほどの狭路といおうか場所を走らされることだ。

 ガードレールがまずなくなり、次いでハンドルを切りそこなえば崖下に転落するような道を駆け抜け、やっと目的地に到着できる。

 未舗装路を走ると必ずと言っていいほど砂利ではなくそこいらから出土した角張った石が敷かれておりパンクした。

 女だからと甘えていられない。

 配送時間に間に合わせるべく汗だくになってガソリンスタンドで同僚がやって見せてくれた要領でタイヤ交換した。

 かつての地区ならすれ違う男どもにほんの少し魅せてやればそれを好感と受け止め向こうが勝手に交換してくれたものをである。


 配送場所からしてそうだ。

 比較的大きなスーパーに荷を降ろし、ホッと一息ついて地図で次の店舗の位置を確認したところ再び市内近くに舞い戻り、別のルートを走らない限り辿り着けないような場所にあったのだ。

 桂子はこのドン臭いやり方を無視し山越えの狭路を選んだのである。

 そしてこのパンクをやらかすというヘマを繰り返すのだった。

 だが悪いことばかりではなかった。

 町から町へ配送するのに比べ村へ配送する その店主の人当たりの良さだ。

 若い女性が配送してくれるとあって売り上げがほぼ無いもののみんな来てくれることを楽しみに待ってくれていた。

 おまけに社内で変な噂が立ってたことからトラックヤードの連中は改めて女として気を使ってくれるようになったのだ。

 思えばあの田辺と深い関係になったのも配置転換されてからだ。
 ※ 憎しみあってた男のビ〇タで愛情が芽生え 参照

堕胎

 この頃武井家周辺にも変化の兆しが見え始めていた。

 時代の荒波は武井家のようなうらぶれた家族でも一種の裏長屋と言われる地区にに住まうことを受け入れられなくなっていたのだ。

 桂子の住まいは一軒家であるにもかかわらず家賃は3万足らずだった。

 1階はリビング・ダイニング6畳だが夫婦の寝室は隣室の3畳と狭い。

 2階は3畳2間に一部屋だけ押入れがついていて子供部屋として奥の押し入れ付きをお姉ちゃん用に、手前を弟用に与えていた。

 主婦の仕事場である台所にはハウジングランドに売ってあるようなシンクの脇にまな板を置けば他に何も置くことができないような簡易なミニキッチンと呼ばれるものが据え付けてあり、一口だけのコンロがこれもハウジングランドで購入したキャスター付きワゴンの上に据え付けてある。

 傍らには僅か270リットルの冷蔵庫。 一家が持つ世の中の最先端機器と言えば電子レンジが置いてある程度。

 こんなもので桂子は結婚以来延々今日まで家事をこなしてきた。

 自由になる空間と言えば4人掛けの食卓だけだった。

 おまけにトイレは和式のポットン便所。

 風呂はステンレス製で四角ながら五右衛門風呂の如く狭く入ろうとすると窓でも空いていれば大事なところが奥まで丸見えになるほど足を広げない限り入れないほど縁が床からは高くそして水深は極めて深い。

 浴室の床はタイル張りだが割れていて床下に水漏れしてた。

 風呂釜はもちろんガスバーナーではなく循環式とはいえ灯油バーナーだ。

 予約タイマーなど無い古いタイプで着火は雨が降ろうが矢が降ろうが外でやるしかない。

 しかも久美宅と同じように古さゆえ時々釜に穴が空き漏水し使えない時があった。

 それでも生まれ持った貧しさのせいでこれが普通だと、さして気にも留めないで家事をこなしていた。

 事情が変わったのは陽介を幼稚園に入れてからだった。

 相変わらず付き合いが下手で隅でこそこそしているところを留美を幼稚園に預けるために来た久美とここで初めて出会うことになる。

 幼稚園児にしては桁違いの図体をしていた陽介までもがオロオロしているのを見て久美が声をかけたのが付き合いの始まりだった。
 
 久美は当時既に不倫に走っていた。

 置き屋のある温泉街でもまれ やとな (臨時に雇う仲居 ー 延いては枕芸者) をやった経験もあり子供たちを連れて来るこの種の女どもをなんとも思わなくなっていた。

 だからオドオドする桂子の様子を歯がゆく思って見つめていたのだ。

 人のことを気にし始めるときりがない。

 久美と桂子は家も近いこともあり親しく口を利くようになり、化粧の仕方から衣服の選び方と何から何まで久美が先輩ぶって教えていった。

 そうするうちに技を覚えた桂子は見違えるようにきれいになっていった。

 表情はもちろんだが人付き合いも久美から見ても好ましくなっていった。

 女がきれいになると周囲の男はほっておかない。

 少なからず声をかけてくれる男たちが現れ始めた。

 それを見た同じ園に子供を預ける女どもの中に皮肉るものが出始めた。

 嫉妬である。

 そこで久美は桂子に彼女らが陰で何をやらかしているかを語って聞かせた。

 園に出入りする女どもの中に久美のように不倫に走る女がいることにまず桂子が気付き、しかも彼女らは桂子に何かと辛く当たっており、だから久美は桂子に向かい勇気を持たせるべく彼女らの素の行動を話して聞かせるに至ったのだ。

 言うなればそのものずばりの猥談である。 

 初めのころは何か汚いものでも見るように顔をゆがめつつ久美の話しに聞き入っていた桂子だったが、そのうちポツリポツリと生まれ育った環境のことを話し始めた。 

 聞かされてまず驚いたのは久美の方で、桂子の生きざまが久美のそれとあまりにも似通っていたからだ。

 久美が話し始めた内容が猥談だったからだろうか、父親の憲之と母親の佳乃が織りなして魅せた猟奇じみたまぐわいに始まり、佳乃とその親友が妻子ある男と番って(つがって)魅せた和姦・不貞の様子をも話して聴かせたのである。

 これがいわば桂子の心の叫びだった。

 そんな女の浅ましさを幼い自分に魅せつけるような母がいたからこそひたすら男を避けようとし不貞には否定的だったのだが・・・
 「あんなきれいな人が不倫だなんて・・・」 自宅近く、生活圏から離れた場所でここなら誰も見てないだろうと男の腕にすがりつくようにしながら買い物をする彼女らを見かけることがあると話してやり、その買い物とはお礼の意味が込められていることを教えてやった。 

 「汚らしい! アソコを使わせてあげたお礼に旦那さんや子供さんの食料や衣服まで奢らせるなんて!」 ネトラレの様子を旦那に魅せつけ煽り立てるようなものだと桂子はなじった。

 桂子が非難がましいことを口にするのに対し久美は、
「きれいに見えるからこそ寝取ったらさぞ気持ちいいいだろうと男が寄って集って誘うのよ」
本音を言えば彼女こそ男が欲しくてたまらない、

 「若かりし頃結婚したかった彼女を年上の男に寝取られた。 その仕返しに彼女を誘ってアソコを開いて診たら既に開発され形や色艶まで変わってて・・・ 興奮したんだと思うよ」

 ホントのことを言えば旦那と結婚したのは資産目当て、
「旦那に抱かれながら頭では見た目カッコイイ男に抱かれてみたいと常日頃思ってたんじゃない?」

 その気持ちを汲んでお茶に誘うんだと説明してやり、「あの女、あんな顔して温泉街にあるラブホの常連組よ。

 それも時々彼じゃない男と別のラブホに入るの見たのよ」

 郊外にある割と有名なホテルに入ってたっぷり3時間も楽しんだみたいと、

 「ドライブに行きがけに入っていくの見たの。 私たち行きたかったところを一周して帰りかけたら彼女たちホテルから出た瞬間鉢合わせになっちゃって」

 何事もなかったような顔して車で颯爽と去ろうとしていた時に見つけ指さすと、

「慌てて助手席を倒し隠れたけど、もう遅いわよね。 お互い相手がどんな男だったか見てしまったんだもん」

 今時誰でも気軽に不倫してることを、彼女たちでさえ婚外恋愛の味を知ったら忘れられなくなるのだということをコンコンと教えた。

 自分独り耐え忍ぶことのバカらしさを思い知らされたのである。

 それでも不倫は別世界のたわごとだと信じ込んでいたようで目立つ動きは随分長い期間見せなかった。

 「もうあんな昔のこと、忘れたんだわ」 こうつぶやく久美だったが彼女は忘れていなかった。

 悶々としてその誘われる時を待っていたようなのだ。

 ガソリンスタンドで同僚に誘われるまで・・・

 最初に悪戯を仕掛けた主は久美ではなかった。

 後々聞かされた話しによると、ある日見知らぬナンバーから電話がかかってきたのである。

 番号を確認することなく電話を繋いでしまった桂子。

 知らぬ者同士とはいえ桂子は世間一般の受け応えをし、その日は電話を切った。

 しかし数日後に桂子の電話にまた同一人物から今度は留守電が入っていた。

 どこで桂子の番号を知ったのか見知らぬ男が夜のお誘いを桂子に願い出たのである。

 桂子は桂子で丁度その時月のお客様が来始めていて男に興味深々になっていた。

 「あの・・・ 伝言聞いたんですけど・・・」

 折り返しの電話は桂子からかけた。

 「じゃっ 出逢ってくれるんですね?」 イヤも応もない。

 その男によって桂子は生まれて初めて不貞に走った。

 同年代の人妻のマコトの姿を教えられ・・・ではなくまず鑑賞させられたのだ。

 見せてくれた写真は今目の前にいる男との情交中の様子を自撮りしたものだった。

 母の佳乃が初めて不貞に走ったというようなおぞましい光景ではないにしろ人妻は、今魅せてくれている男にヌキつササレつされ堕とされつつあり狂おしい顔を撮られまいとのけぞるも完全に番わされむしろ女の方が肉塊をより深く呑み込もうと押し付けているようにも見えたのである。

 画像を見せたことにより固まってしまった女を男は執拗に触って来た。

 暗闇の中で情熱に火がついた男女の狂おしい時間が過ぎていった。

 男が焦ったのかはたまた桂子が焦らせたのか幸いなことにこの日は衣服を汚されただけで済ますことができた。

 桂子にして所詮人妻とはこの程度のものと言う認識が芽生えた。

 お互い我慢し溜めすぎるとどうなるかを思い知らされたのである。

 想えば議員との場合がそうだった。

 桂子と出逢う前は近くの人妻相手だったものが、出逢えてからは桂子一途になってくれていた。
 
 逢いたくて相手の立場を考えず頻繁に送りつけるメール、鳴らす電話。

 仕事場や自宅近くをうろつく。

 最初の関係からして あの父と母が追いつ追われつの狂態を繰り広げたのち憲之の肉塊によって身動きできないよう組み伏せられ貫かれ和姦に見せかけた時のように強引に押し倒され欲情と怒りに任せて行われたようなものだったからである。

 ラブホを利用する園で一緒だった人妻のように、ただ単に互いの湿り気と肉塊を娶わせするようなものではなく憲之と佳乃のようになりたくて、どんな時でも相手に事情があるにしてもまず野や林の中で暴漢に襲われるが如く防備なしでひたすらその場限りの狂乱にふけりたかったのだ。

 そしてそれに近いと思われる形で成就できたのである。

 一度彼女との狂態じみ番う味を知ると、彼はより強い射精感を求め頻繁に佳子を誘い出し湿ったアソコを使ってくれた。

 佳子にとって夢のような性活が続いた。

 生ならではの微熱を感じ取ることができるし渾身の射出感が味わえる。

 危険とわかるからこそ注がれた時の突き抜けるような刺激は この瞬間彼を独り占めにできるんだと優越感さえ芽生えさせた。

 周囲の応援者たちや彼の妻がひたすら邪魔立てするからだろう。

 それが逆効果となって仕事はもちろん、会議さえも無視して逢瀬を繰り返してくれていた。

 彼は彼女が望んでくれさえすれば、出逢い系の男らとの逢瀬の様子を看たがり、

「こんなにされたの・・・ よく診てよ!」

などと責任上迫られると 日に幾度も挿し込み他の男たちの排せつ物を掻き出そうとしてくれ 果ては中に出してくれる。

 それほど性欲は旺盛だった。

 あらゆるところで番うことで男は体力を浪費し弱るが女はその良さゆえ躰に磨きがかり艶やかになる。

 議員が困惑するほど桂子の性欲は底なしに増していった。

 ガソリン代や時に使ったラブホ代・食事代までも彼女持ちでこの間援助は一切受けていない。

 生活費は底をつきそれでも貢ぐため佳子はまともな生活をしてこなかった。

 僅かに賞味期限切れの商品を社員価格で買わされ、それを口にしただけだ。

 体調不良を絵に描いたような生活を繰り返してきた。

 だから月のお客様が来た辺りで野放図な行為を繰り返してもこの時は幸いにして妊娠しなかった。

 まさにセックスをするときは都合の良い女。

 射精が終われば煩わしい女。

 それを、会社の上司から幾度も警告を受けながら、それでも繰り返した。

 感の良い桂子にはわかっていた。

 性欲旺盛ゆえ議員として破滅への道を突き進む彼の、その精液の受け止め役をやってあげなければもっと早くに自滅していたであろうことをである。

 もしも彼が約束通り妾にでもしてくれたなら家を出ることができ誰もがうらやむ幸せ者になれる。

 そんな夢を描き自ら、ともすれば死にたくなる気持ちを転じさせ湿り気も交え貢ぎ続けた。

 佳子いわく、将来のその先で議員の席を失った彼を妻と別れさせ将来一緒に暮すつもりと。

 その間にも、彼が求めてくれる飽くなき刺激のため出逢い系は時々使ってあげた。

 彼と出逢っても抱こうとしてくれない日が続くと出逢い系を使って男らと番う様子を自撮りしておいた湿り気を帯びたソレを、こうなってるんだと画像もナマも同時に開き魅せつけ焚き付けてやった。

 それでも彼が抱いてくれなくなり、淋しくなると出逢い系の男たちに半ば強引に湿ったアソコを慰めさせた。

 とにかく議員の為アソコが熱い状態を維持することに努めてあげたのである。

 先にも述べたがナマなるがゆえ熟し切った躰は自然微熱を受け取ろうとし開こうとし疼き上がる。

湿り気は入り口ばかりか奥襞まで及んだが彼に夢中で、体調不良にこじつけ腹部の膨満感や嘔吐までもさして気にせず番いまくったのである。

 自滅行為だった。

 そして妊娠発覚。

 その時になって議員と逢えなくなり、かと言って家でその姿のまま暮らすこともままならず久美に泣きついてきたのである。

 彼女の言い分は、もちろん腹の子は彼の子供。

 だが、久美にしてみればそれは眉唾だと思った。

 入れ代わり立ち代わり湿り気どころか奥深くに男を生で迎え入れていて、この頃は月のお客様の日がいつなのかさえ不明になっていてしかも、交渉を持った日や時間・場所さえも定かでなく相手を特定できるはずがなかったのだ。

 男どもの浅ましさには久美でさえ辟易した。

 昨日桂子と番って今日もと約束まで交わしたのに、違う男といるところを見かけたと久美にヒトトキの男があからさまな嫌味を言ってきたのだ。

 不貞とは夫婦と婚外恋愛の区別すらつかなくなる。

 桂子の湿り気はこの期に及んでのことであり、オトコも 「コレが無ければアイツが困ることに」 と実に堂々としたものだった。

 議員が孕んでいることに気付き手を引いたというのに男どもは遠慮なく中に出せるとむしろ集って来始めていたのだ。

 男に責任を擦り付けることも金を搾り取ることも無理だと思った。

 久美が採った手段は旦那の子として認めさせての堕胎だった。

 産院は並み居る看護師の手前診察に及んでこの方法なら堕胎を認めてあげると言ってくれたのだ。

 酔った勢いでと言われ旦那は半ば不倫を疑いながらも確証がつかめず、しぶしぶサインした。

 当然のことながら議員は腹の子は自身の子と認めず援助を一切しないと言い切ったまま完全に縁を切られた。

 堕胎は出産と違い同じように分娩台の乗らされても立ち合いを認めないままに行われた。

 桂子の場合経産婦で当時複数の男性から日ごと夜ごと交接射精を繰り返えされており子宮も常に興奮状態にあり着床しやすかったためか着床は卵管のより子宮頸部に近い位置で見つかった。

 クスコを差し入れ膣口を大きく開く医師。

 だが悲しいことに麻酔下で行われなかったためか桂子の湿り気はクスコを男の肉塊と勘違いし出迎えようとGスポットや肉球までも蠢き始めたのである。

 子宮頸部から盛んに呼び出しのサインである白いツユが流れ出していた。

 看護師ふたりがOPの様子を看ているにもかかわらず医師はクスコで開かれた奥の様子まで彼女らにはわかるまいとゴム手を付けクスコを抜き代わって手を挿しこんで蠢きを研究目的もあり診た。

 驚いたことに肉塊を奥に誘うべく指先に肉球が吸い付いてきたのである。

 (あやつらめ!ここまで使い込みやがって!)
 心の中で唸るしかなかった。

 避妊の何たるかを知っていて敢えてナマ・・・ こういった理由での堕胎は滅多にない。

 看護師さえ席を外してくれていたなら己の怒りをブチ込んで中をさんざっぱら抉って診たいとさえ思うほど蠢いてくれたのだった。

 怒りが込み上げてきたが諦め、手を引き抜き改めてクスコを差し込み広げ診てファイバーを入れ先にある取っ手で摘まんでレーザーで着床部を焼き切った。

 堕胎は一瞬の痛みの後に終わった。

 久美は敢えて議員へ堕胎の報告はしなかった。

 だが己の身を案じた議員から連絡が入った。

 手を切りたい議員の気持ちは痛いほどわかった。

 ひとつは奥さんのとの関係を元に戻したいため、もうひとつは議員としての地方の銘家の跡取りとしての立場を守るためだった。

 かなり前に射精したく番いつつも佳子の腹部の膨らみで妊娠に気付いた議員は距離を置くようになり、それとなく知った奥さんからの提案がそれ以前にパイプカットをして番に臨んでいたと応えろというものだったのだ。

 こういったプライバシーの件ではカルテは開示されない。

 桂子と議員の妻の頭脳の差だった。

 事後ではあるが彼は立場を守るためそれを飲んだ。

 桂子と手を切らせたにしても溜まると再び近隣の人妻に手を出しかねず、それを不安視した奥さんから証拠を掴まれないようにと釘を刺されたのだ。

 幾多の他人妻をして堕胎させたのちも卓越した持ち物を求められ追い回される。

 そんな夫の持ち物を、まさかに議員を辞めることになった折には家柄云々をも忘れ自分の専用物として楽しんでも良いんじゃないかと妻は思い始めたからだった。

 議員の妻の名は小夜といい実家は近隣の半農半漁であったが大学を卒業し家を出るまでこれらを手伝った記憶すらない。

 ところが良家に嫁げるからと議員の妻になったもののほんの一晩まぐわわされただけで胤を付けられ、おまけに息子がでかしたからと彼の代わりに農魚業の手伝いに駆り出されるものだから顔や手足が真っ黒になるほど日焼けした。

 もっと悲しかったのは小夜はこれまでふたりのオトコしか知らなかったことだ。

 そのひとりと言うのが嫁いで後の義父だった。

 息子の胤で孕みナマでヤッテも安心と分かったためかその日仕事に駆り出しておいて あの葦の茂みに惹きづり込み乱暴を働いたのだ。

 風呂に入った折に 「湯加減が・・・」 と声をかけたっぷりと陰嚢 (ふぐり) を魅せつけておいての姦通だった。

 誰も見ていないことを良いことに着衣を押し分け嬲り潤おわせ豪胆なモノで湿ったところを割り挿し込んできた。

 小夜が湿りばかりか子宮奥から滲み出る白濁液を肉塊にたっぷりと擦り付けてあげ屈服し開き切り腰砕けになっても義父は 「一家の長にまず味見をさせなんだ」 と許してくれず引き抜こうとしなかったのである。

 海辺ゆえ波の音や風の音に掻き消され野獣の唸り声のような咆哮をこだましつつまぐわうに至ったが誰も彼女を助けに現れてくれなかったのである。

 引き抜いてくれたのは 「・・・凄い! ああ・・・ 熱い!変になりそう・・・」 と縋り付かせての後だった。

 奥にたっぷりと微熱を吐き出した後だった。

 それで終わりかと思いきやその場においてまだ黒ずんでもいない乳を入念に揉み、乳首を痛いほど吸うのである。

 日頃弱々しく見えた義父のどこにそんな力がと思わずにはいられなかった。

 このような番いは夫と閨を持った翌日は必ずと言って良いほど行われた。

 充血した目で下腹部を見つめられ、挙句誘われ臨月に至るまでまぐわわされた。

 だから必要以上にまぐわうことに警戒感を持った。

 出産を終え子育てが始まるといよいよ義父の小夜に向ける目に力がこもり我が子に与えなければならない乳を我先に吸い尽くすのである。

 「乳腺炎にでもなれば痛くて、発熱して眠れんようになるから」 用心のため吸ってやると強引に胸を開けさせ乳首を躰を抱き寄せつつ口に含むのである。

 しかも出ないとみるや下腹部を刺激し子供が乳を含み母体が興奮するがごとく湿り気に舌を這わせ興奮するまで誘うのである。

 これにより興奮したのはむしろ義父の方だったが断り切れず結局乳首を吸われつつ肉塊を湿りにハメてもらい出をよくするしかなかったのである。

 実家に泣きついてみたが、「仕方ないじゃないか。 銘家に嫁いだんだ。 跡取りが大きくなるまでの辛抱だよ。 男衆に可愛がられるのが一番! 義父が可愛がってくれても孕まされる心配のない日にそうしてまぐわってくれるんだろう? 有難いことじゃ」 こう母親に聡され追い返された。

 「オンナとしての喜びを教え旦那との閨のやり方まで仕込んでくれるんだ。 今時そんな気の利いたテテゴはなかなかおらんよ。 でもなぁ・・・ 義父さん、卒中にだけは気を付けてあげてな」 逆に応援の言葉までかけてくれる始末だった。

 「お義父に湿ったところを良いように扱われたけど・・・ あの人だってきっと・・・」 今更に期待してしまっていた。

 桂子の場合は悲嘆にくれた。

 やりきれない気持ちになった旦那は糖尿であるにもかかわらず浴びるように酒を飲み軽い梗塞を引き起こし職場を解雇された。

 時を同じくし、佳子も人員削減で解雇された。

 この状況下あの共〇党員が割って入った。

 生活保護受給者だった佳子の母 佳乃が手引きしていた。

 借家周辺が近代化の波にのまれ、孤立させられ風よけを失った古い家を按じた家主から出て行ってほしいと金を積み頼まれ旦那は家を出て、籍は夫婦のままだが生活破綻者として別居となり生活保護に入った。

 佳子は独りその家に残り今アルバイトを転々としながら食いつないでいる。


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