残照

元来男とは前途洋々一国一城の主を夢見てそれに突き進む。 その完成形を第一のお宝とするならば第二のお宝は玉であろうか。
北里新三郎の場合その玉が沙織だった。
ところが沙織は己の居場所の不安定さから夫や家族に知られぬよう誰彼無しに助けを求めた。不幸にもその相手は未だ拝んだことのないほど気高い玉を求めていた。行難快癒と見せかけ沙織の奥底に、それと悟られぬよう教祖様直伝の玉を仕込んで放免したのである。
数日が空しく過ぎた。
---私は間違っていたんだろうか。もし結果が悪い方に出た場合沙織が去るようなことにでもなったら・・・。
男として不具者であるかの如く - 思い違いであったとしても - 追い詰められ妻である沙織の不貞の調査を依頼していた。今日まで貞淑な妻と一方的に思い込み棲み暮らしてきたが、東大卒の研究者としてのプライドにかけて望んだこととはいえ我が意に反し不貞を働いたかもしれないことをこの期に及んで責め、手元から去らねばならない結果を作ってしまったのかと思うと後悔の念が先に立った。
その反面、夢にまで妻に向かって誰と寝たのだと激しく追及する自分が、今現在でも己の心の底にいる。
誰にも渡したくないほど恋しい妻だからこそ、その不貞が許せない新三郎。 が、そうなると子供たち、殊に長女まで一緒に追い出すことになるような気がし怯えた。
罵倒し、崖っぷちまで追い詰めておきながらである。
しかしながら顔かたちが似ないまでも北里新三郎の胤だったとの結果が出て欲しい旨願う自分がそこにいる。
無音のまま10日が過ぎ、苛立ちから新三郎は研究所に向かった。研究所に強引に問い合わせ、それほどおっしゃるなら、今お話できるところまででよろしいなら説明しますと、こう言われたからだった。
「どうぞお掛け下さい」
「改めてもう一度お聞きしますが、最初に貴方がここで述べられた内容にそぐわないかもしれない結果であってもお聞きになりたいですか?」
「・・ええ、それは・・」
そこまで聞いただけで北里新三郎は目の前が暗くなった。聴き方によっては妻がしでかした過ちは言葉のあやかともとれるが 「内容にそぐわないかもしれない」 とは取りようによっては結果が尋常ではないことをも匂わせている。
「北里さんも研究者ならご存知とは思いますが、現代の医学技術ではDNA鑑定は絶対です。そこで血液のABO式、RH式、MN式についても検査しました。ABO、RHとも問題はありませんでしたが、MNではあなたがMで奥様がMNですが、残念ながらお子さんは双方ともN型です。絶対にありえません」
「そうですか・・・」
顔が青ざめ血の気が引くのが自分でもわかった。
もしも考えていたことが当たってるとしたら妻の沙織は貞淑さを装いながらも如何にも何事もなかったかのように夫婦生活を送り、その実抱かれたい男がほかにいて、夫婦間で充実した時を過ごした直後、2度ともその男の元へ走り胤を宿しそれを自分たち家族に養わせ知らん顔をして過ごしていることになる。
「連絡を差し上げなかったのは他でもありません。思い直して頂けたらと真摯に願ったからです。あなたが先に私共探偵に調べさせ納得なさった上で更に確証を得るため聴きに来られるようならと、 そう 何もなかった、 その上で平穏に済ませたい気持ちになられた。だから聞きに来られた。 私共としましてはそう望んだからです」
暗に男女間の性の問題と言っても、そこは冷静に考えれば胤の受け渡しの問題。研究者なら結果については行為がどの程度成就できたのかさえ分かれば、それ以降のことについては想像ができたはずで、ここに来られるのは心のうちの相談だけではなかったのかと問われているように聞こえた。
「父権は否定されたわけですから離婚調停を開かれても勝てると思いますが、そうなると婚姻中の不貞ですので相手方も つまりW不倫なら相手方の奥様に対し 同罪か奥様以上に賠償が必要になるわけですから血縁関係を遡って調べることにもなりますが・・・」
思いなおさないかと言ってくれているようだが一体何を説明されているのか北里新三郎には語尾が聞き取れなかった。
「お世話になりました。ありがとうございました」
やっとこれだけ言うと研究所を後にした。
周囲の音をかき消すように左の耳からキ~ンと耳鳴りが聞こえ悪寒がした。
真っすぐに歩もうとするのだが身体が右に斜傾し目標に向かって進めないでいた。
結婚以来妻を目にするたびに湧き起こる寝盗られ妄想が、ここに至って隣で安らかな寝息を立て安堵の表情を浮かべ寝入る妻を見る都度膨れ上がり治まらず苦悩に歪んだ日々を送り続けていたからだ。
男として夜の営みで妻を満足させてやり、その疲れから彼女が安堵して寝入っているなら納得もできようが、早朝から深夜に至るまで仕事し疲れ果てて帰り、食事もそこそこにベッドに倒れ込むようにして寝入ってしまった夫の脇で、貴方様と同じように働きましたとでも言いたげに安堵の表情を浮かべられても納得しようがなかった。
ましてや北里家において嫁姑の仲は沙織が一方的に付き従ってるからこそうまくいってはいるが、所詮養子である新三郎は穏やかな気持ちで日々過ごせるわけはなかった。 福の面の奥底に般若の顔を持つ母、そのことは養子にもらわれここで暮らさねばならなかった新三郎こそ良く分かっていた。
-- 妻を心の内で支えてくれる男が外にいる --
結果を聞き、それが妄想ではなく現実に妻は延々ほかの男に躰の芯まで慰められ安堵させられ帰され、家に帰れば何事もなかったかのように貞淑を装って自分とも肌を重ねていたと思うだけで腑が煮えくり返った。
事実男根ではなく財力と権力ではあるにせよ
これまで閨は威厳に満ちた男という形態で抑えこんだように思えた、それが全否定されたような気がした。
暗雲たる気持ちで家路についた北里新三郎を玄関で真っ先に出迎えてくれたのが妻の沙織だった。
「お帰りなさい。お疲れ様でした」
表情は常と変らず穏やかだったが新三郎は無言のまま居間や食卓ではなく書斎に向かった。
沙織が後に従った。
「もう一度聞くが、あのふたりの子供はいったい誰の子・・・」
確かにそう口にしたと思うのだが、問う声が震え、語尾などはボワンボワンと耳腔内で響き上手く発音できないでいた。
「あなた・・・」
だが、聞き入る沙織の顔が生気を失うのがわかった。
「うそをつけ!」 妻の言うのを待たずして怒鳴っていた。
相手が何を言ったのか確かめるゆとりすら失って、もはやそれはわめきに似た声だった。
「結婚以来これまで、貞淑を装いながら ずっとほかの男と関係を持ち2度も孕んで子を産み、それをこの家で育てさせてきた。普通の神経ではとても考えの及ばん度胸の据わった裏切りだ。化けの皮を剥がされることがなければこの先も同じことを繰り返していたんだろう!えっ そうだな!」
我慢に我慢を重ねた言葉が堰を切ったように口を突いて出た。
「何かの間違いでは・・・」
女というものほど恐ろしいものはないと、かつて何かの本で読んだことがある。
現に沙織は懸命にその場を取り繕おうと努め同じ言葉で聞き返してくる。
「この鞄に頂いてきた資料が入っている。それをよく読んでから言いたいことがあれば言え」
先ほど研究所から頂いた資料が入っているその鞄を沙織の前に投げて渡した。
こともあろうに床に落ちた資料を拾い上げると沙織は一心にそれを読むフリをしたのだ。
「ねつ造文書だというんじゃあるまいな」
沙織は文書から顔を上げなかった。
「言ってません、そんなことは一言も・・・」
「じゃあ聞くが、この文書にある男とはいったい誰のことなんだ?」
「何度も応えてきたじゃありませんか。もうこれ以上何も申し上げることはございません」
「この期に及んで、今度は黙秘権か?これほど証拠がそろっていながら裁判にでも持ち込もうというのか?」
「裁判は行いません。貴方の言い方ではわたしが子供を連れてこの家から出ていけば済むことなんでしょう?」
沙織は顔を上げ新三郎を見つめた。
「北里家のお考えはよくわかりました。ご迷惑をおかけしました」
この段になっても新三郎は己が知らずやったこととはいえ沙織をないがしろにしてきたことに気づかないでいた。
例えば沙織と付き合い始めた頃の新三郎はどうだったかというと、
許しを請うて太腿を割るのに、それはそれは難渋したものだ。
紙切れ一枚の差とはいえ、夜になるとそれが当たり前のように開いてくれ味わえた。
時が経つにつれそれは恒例の行事のようになると新三郎にとって新鮮味が薄れ、閨に入ってくる妻を疎ましくさえ思うようになった。
沙織はというと、その行為自体魅力はさほど感じなかったのであろうが、何と言ってもそのことで夫は益々出世し財を持って帰ってくるようになり、そのことが開いたことへの感謝・恩賞に思えるようになったのであろう。
つまるところ夫は時が経てば妻を飯炊きと思うようになり、妻は夫を夢をかなえてくれる利器と思うようなるに至り、肝心な部分は外へ求めるようになった。 新三郎に言わせればこういうことになる。
「勝手なことは許さん」
「ではどうしろと?」
「これは研究所からも進められたことだが探偵を雇う。彼らにすべて調べさせ、寝取って胤を仕込んだやつに慰謝料を請求してやる」
もう何を言っても無駄だと知った沙織は深夜、寝ていたふたりの子供を起こし事情も告げずひっそりと家を後にした。子供たちは子供たちで前回家を出たときの様子がただ事じゃなかったと子供心にも感じていたらしく素直にこれに従った。
終の暇を告げたかったが逆上した夫は書斎にこもって計画を練っており、下手に声をかければ火に油を注ぐ結果にもなりかねない。そうなると子供にまで手をあげかねない。義父母には悪いことをしたと心で詫びたが遅かれ早かれこうなることは感ずいていたと思い、すでに休んでおられるのを無下に起こすのは止めた。したがって沙織たちが家を抜け出したことに老夫婦は気付かなかったのであろうと思われた。
沙織はひたすら悲しかった。
本当の理由を告げれば、それはそれで傷がもっと深くなるかもしれないと思った。それならいっそのこと自分一人で罪をかぶれば済むことだと以前は考えていたが、まさか育ててきた子供にまで憎しみに歪んだ牙を向けられようとは思わなかった。
だからこそ前回家出した折にこうなることを予測して実家に子供を連れ帰り子供たちを里の親に預け、沙織だけある場所に出向こうと前もって極秘裏に下準備はしてきたつもりだった。
沙織の頭にあったのは子供たちの安全確保だった。
自分の子として認めようとしない夫は、深夜に脱出した子供たちを見つけた場合、沙織と同等かそれ以上の仕打ちをするであろう。安全を考えてくれるほど甘くはないことはその眼を見、言葉を聞いていればおおよそ見当がついた。
何も知らない子供たちと無事に暮らしていけたらと、一縷の望みをこれから向かう場所で出逢うことになるであろう相手に託した。
幸いなことに家を出た日も含め行程中は天候に恵まれ寒い中ではあるものの野宿しながら徒歩で向かうに命の危険が伴うほどでもなかったと、気づかぬうちに逆上してしまっていた沙織は今更ながら安堵したが後になってこれが命取りの行脚になってしまうのである。
一行は追跡を避けるため裏道を抜け目的地に向かった。幸いなことに子供たちはこれを遠足とでも思ったのか途中歌を歌うなど和やかに進むことができた。
長男の健太は終始健気に自分で歩いてくれた。奈緒は疲れたころを見計らい何度も沙織が背負って歩いた。着の身着のまま逃避行しているとはいえ、そこは前回の轍を踏んで用意周到 防寒用の衣服もあれば食用も水もあるのだ。しかし今回は完全な家出なので荷物は相当量になった。その上に5歳の子供を背負って歩くのはさすがに女には苦痛を伴った。
新三郎はすっかり妄想に取りつかれ、もはや人とは思えないほど冷徹になりきれていた。一晩のうちに妄想は胤の違うであろう子供にまで及ぶかもしれないほど凝り固まっていった。自身も不貞を暴こうとすれば別れる羽目になりえるであろうし苦悩するであろうことなどすっかり頭から消え失せ、ひたすら妻を寝取った男どもへ断罪を下す優越に酔いしれていたからだ。
男どもにしてみれば高々新三郎ごとき養子にもらわれてきて艱難辛苦を味わい、やっとエリートコースに乗れたことなど大した問題ではなく、いまは男としての優劣が全てと見下されあしざまに見捨てられることになった。と、こう考えていたのだ。
貸し出した妻が他人棒に苦悶する姿を観て奮い立たせ、行為を終えた妻をその場で甚振るなどという寝取られ願望・凌辱の夢より法的に不貞を働いた断罪を衆目の元下すのがもっと快感につながるであろうなどと勝手に思い込んでいた。
朝になり沙織と子供たちが消えたことを確認すると益々怒りが募った。あれほど我慢に我慢を重ね家に住まわせ気を使ってやったのに泥棒猫のごとく用が無くなればだまってさっさと立ち去る。それが余計に許せなかった。この怒りが新三郎をしてある計画を実行に移させた。
家を出て行ったということは裁判に勝つ何かがあるからだと勘ぐった。このうえまだ自分が努力して築き上げた財産を横取りし胤をつけた男に貢ぎたいのかと怒りが募った。それならその前に確証を掴まなければと暁暗であるにもかかわらず先走った。
両親が聞けば絶対反対したかもしれない探偵屋を使っての調査をと、独断でイの一番に連絡を取ったところからして異常だった。
名家であるならそれなりの弁護士にお願いし、問題の解決に当たるのが筋のところを不貞・不倫という屈辱的な部分だけで頭に血が上り思い知らせてやろうという歪んだ考えの揚句 餅は餅屋 不倫に似合いの探偵屋に決めたのだ。
恐らくお金がモノを言ったのであろう。依頼を受けた翌日から探偵は動いてくれた。
事件の内容が不貞捜査であることからして探偵事務所はいつも行う不倫調査のつもりと軽く受け流しノウハウ通りしらみつぶしに男女が不倫の際良く使うホテルに目星をつけ嗅ぎまわった。
それと同時に、写真を元に似顔絵を作らせて聞き込みして回ったが、なぜか空振りに終わった。そこでこれまでに手掛けた失踪事件でよく行う、婦人の足取りを日常の行動範囲と思われる各所から洗う折に使う防犯カメラの映像で追ってみたものの、これも全く手がかりがなかった。
どの聞き込みも判で押したように沙織は同じ店に立ち寄り、ひとりで買い物を済ませるとそのまま家路に向かっていて、北里家の周囲に取り付けてある防犯カメラにもその出入りの際の姿が正確無比に映っており疑う余地は皆無に思えたのである。
このことから普通に言うところの欲情にまみれた不倫の男女関係の線は消えた。もしも男女が不倫の関係にあったとしたならば欲情から頻繁に連絡を取り合って出逢いを繰り返すであろうはずで、その姿は誰かが必ず目にしているものだが、今回の事件に関して言えばそれは一切なかった。
同窓生などにも聞きまわったが学生のころから沙織には浮いた噂のひとつもなかったのである。
深窓の君というにふさわしいほどに結婚を機に外部との付き合いはプツリと途絶え皮肉なことに貞淑というにふさわしい生活をただただ淡々と繰り返していたことがこれで証明された。
その世間を知らないはずの女が幼子ふたりを連れて家を出たということは外部に必ず協力者がいるであろうと思って街道沿いでの割り出しに全力を挙げたがどこで聴いても誰に聞いても足取りはつかめなかったし協力者も見つからなかった。
それよりなにより、深夜に忽然と消えた親子の行先(方向)がまず思い当らなかった。前回飛び出した時には実家にまっすぐ向かっている。そう思って幾日も実家の周囲を取り囲んで人の出入りを監視してはみたが、ついぞ見つかることはなかったし、実家の様子にしても平日と何ら変わらないように見えたのである。
深夜に自宅を出たといっても実家に帰るならバスとかタクシーを使っているはずなのに、その手の会社を訪問しても答えは黒だった。ここで実家に向かうという線は消えた。
知り合いを呼び寄せるとしたら電話をかけたはずだから記録の残っていそうなものなのにそれもなかった。
「所長、この件は本当に不貞調査で本人と子供は家出したんでしょうね?」
問われた所長の水島真一も応えに詰まった。
「それじゃ村上さんよ、お前さんまさか依頼主が殺して遺棄し、それをわざと探させて時間稼ぎしてるとでもいうんじゃあるまいな?」
「これだけ探して何一つ見つからない不倫調査なんて見たことも聞いたこともない。そうでしょう?見張ってたら相手は我慢できなくなってひょっこり顔を出す。それを報告するんですからうまい仕事、それが間違って殺人事件にでも発展したら事務所はいったいどうなるんです?殺人・遺棄の教唆ですよ。そうでしょ?」
「そうですよ、事件が解決しなかったら報酬ももらえない。このままじゃ事務所は潰れてしまいます。何かアイデアはないんですか?」
終いに事務員までこんな発言をする始末だった。
確かに今は証拠もない、しかしこのまま姿をくらまし続けられるとは思えない。生きていたら必ず顔を出すか、死んでいたとしたら・・・
「俺はとんでもない事件に首を突っ込んだかもしれない」
水島真一は身震いした。
捜査は暗礁に乗り上げたように思えたが、逆に不貞のきっかけがご主人側にあるとしたらと、村上という事務員の思わぬ発言で捜査は逆に依頼者を疑うことに事務所内の気持ちが傾き始めていた。
捜査が始まってすぐに気づいたことに、老夫婦と新三郎とのあまりにも似ない面構えが関係者に疑問を投げかけた。そこで、物は試しと新三郎の過去をまず洗い始めた。
北里家の縁者を辿って老夫婦に子供は生まれたことがあるのか聞き歩いた。そこで聞きつけたのが老夫婦には子がなく新三郎はどうやらもらい子のようだという噂を耳にした。養子になる前の新三郎はどんな生活をしていたのか、その調査が始まった。
そしてとうとう行き着いたのが新三郎が孤児だったという事実で、苦労はしたもののかつて拾われた病院名をも探し出すことができた。
当時そこに勤めていた医師や看護師から事情を聴こうと思って聞きまわったが、秘密保持の観点から聞き出せないでいた。
ところがひょんなことから聞き込みが進展した。しつこく病院に出入りし関係者に付きまとううちに警備がこれを嗅ぎつけ邪魔をするようになった。当初面倒なやつらだと嫌悪したが、考えてみれば彼らが一番病院内の変化に気を回す職業だということに気が付いた。
病院職員は口が堅かったが警備員はあっさりと当時のことを話してくれた。
話は実にまとまりがよく、こちらが気をまわして質問せずとも相手から勝手に事細かに話をしてくれた。怪訝に思ってきくと過去に美しい女性から同じことを聞かれ今回と同じように応えたところ大層喜ばれたから、多分あなた方も同じだろうと、こういう。
それを捜査員は沙織と見た。沙織も事情があって戸籍を調べるうちに養子の件に疑問を持ち警備員に行き着いたのではなかろうかと思ったのだ。
そう思った時、自然と回答が出た。
今回の事件の依頼者は確かに研究者として優秀な男だ。
しかし妻の沙織はその上を行く聡明な女だったのではなかろうかと思った。そして何かを嗅ぎつけ、それが不貞を行う原因ともなったのだと仮説を立ててみると、後は簡単に答えが出た。何らかの理由で新三郎には胤がない、この一言だった。取っ付きの捜査はこの一点に絞られた。
警備員の話によると2歳になる男の子は助けられた当時極寒の中に長時間放置され、しかも重篤な栄養失調のため肺炎を起こしており高熱をだしICUに入れられ完治までに相当な期日を要し、完治後も度々容体が悪化したので病院で長期間に渡って預かりとなった。
逆に小さな布団にくるまれていた次男は容体が安定しており健やかに育って早々に養護施設に移されたという。
寒風吹きすさぶ中、幼いとはいえ長兄は弟を温めようと身を盾にして守ったからであった。
そこで妻の沙織が通っていたレディースクリニックでこの事件のことを含め院長に追及したところ、あっさりと新三郎には胤がないことを認め、それでも子供が欲しいと奥さんから相談されていたと語ってくれた。
真実を追求したとはいえいかにも口の軽い院長だった。
こうなってくると真実はひとつだった。
子種が欲しく、しかも極秘裏に妊娠したく人工授精ではなく誰かと定期的にナマで情交を持ったとしか思えなかったのである。
その沙織が子種を欲しがっているという情報を男はどこで手に入れ沙織を誘ったのか、それが問題だった。
こればかりは前回の発言をきっかけに院長を脅してみても回答が得られるはずもなかった。
こうして時間だけが過ぎて行った。
沙織たちは深夜自宅を抜け出し、沙織の記憶に中にある場所に向かって歩き続けていた。
タクシーに乗ったりバスに乗ったりすれば必ず足がつく。その場所だけは探偵や夫に知られたくなかったからだ。
それ以上に、家出する際 子供たちが後々北里家から受ける遺産相続問題のことを考えて金品は何も持ち出さなかった。
これから親子3人が生き延びていくために必要な持ち合わせのお金を少しでも残そうと思うと歩くしかなかった。
野宿をしながら行き着いた先に地獄が待っていた。
そこは人里から随分離れた山中に作られたある教団の集落だった。
集落と言っても一山丸ごと教団の敷地であり個々の家は叫んでも聞こえないほど離れており、万一一般の人たちが紛れ込んでもすぐには教団敷地とわからないように偽装がなされていた。
その中の一軒に沙織は子供たちを誘った。
一戸建てとは言ってもそこは持ち主たちにとって隠れ家として使う小さな小さなバンガローだ。
沙織はこのバンガローに誘い込まれ健太と奈緒の胤を計算しつくしたうえで仕込まれたのだ。
出生の秘密を知っているのは、だから関係を持ったその男しかいない。
もしも逃げなければならない時が来たら、迷わずここに来るしかないと沙織は常々考えていた。
だから最初に子供を連れて家を出た際、このバンガローに当面の非常食を秘かに担ぎこんでおいた。
逃げ込んでから3日後になって持ち主がひょっこり現れた。
「しばらくだな、この子たちか?あの時の子は」
「違います。この子たちはちゃんとした・・・」
「へえ~ そりゃそうだよな。間違ったことをやっちゃ お屋敷の奥様の面目丸つぶれだからな~」
沙織はドキリとした。平身低頭し、苦労の末ようやく太股を割ってもらったくせに男にはあの時の約束を守る気持ちなどまるでないとわかった。
健太と奈緒の孕ませ行為のときのやさしかった態度とは一変し、軽蔑の念が見て取れ、その欲情に滾った眼が入ってきたときから沙織の胸や足に絡みつくように向けられる。
思わず後ずさりした沙織の手首に男の太い手が絡まり強引に引っ張っり隅のベッドに放り投げた。
「やめてください」
沙織が抵抗すればするほど男は欲情した目をギラつかせ躍起になって押さえつけにかかった。
「今更きれいごとを言うんじゃねえよ。ほ~れ、あの時のようによがり声あげてのけぞってみな、ちゃんと可愛がってもらいたいんだろう?だからここに来たんじゃねえのか?」
連日の夫の責めと休みなく歩き続け疲れ切った細身の身体で鍛え抜かれた体躯の男に抵抗できるはずもなかった。
まるで調理される鶏のごとく足首を持たれ逆さ釣りにされたような格好で下着を剥ぎ取られ下腹部を子供たちの前で剥き出しにされた。
パンティーを剥ぎ取っておいて両足首をもって高々と上に吊り上げ剥き出しの下腹部に顔を突っ込んできて花弁を舌で弄りまわし始めたのだ。
抵抗すればするほど責めは熾烈を極め、経産婦ならではの男女の行為に反応し始めた下腹部の羞恥に顔が歪んだ。
せめて性器だけは子供たちの前で晒してほしくないと蚊の鳴くような声で懇願しつつ男の要望通り僅かに自由がきく右手を男の股間に伸ばし捻り上げるように擦った。かつて胤を貰い受けた時、こうしてあげたことで男はいきり立たせてくれたからだ。
それが沙織からすれば男根を欲しがる合図とみたのか男は沙織の足首から手を放しズボンを脱ぐとすっかり興奮し切った男を濡れ始めた沙織の膣に勝ち誇ったような顔つきで突き入れた。
男と女の迎合など研究者の夫に仕えるため忘れていたはずなのに醜いほど身体は男を求め忘れていた膣の感覚が男根を狂喜して迎え入れている。怯える子供たちの前でひとつがいの牡と牝が織りなす獣のような交合が覗き見られつつ始まってしまっていた。
沙織も子供を産み相変わらず細身ではあるけれどその身体はすっかり熟成した大人の女になりきっていたことを今更に健常で屈強な男根を受け入れたことで思い知らされていたのである。
最初に健太を宿した時も、そのあと奈緒を宿した時もセーブしないまま女になりきればよいという安心感から男に組み敷かれ燃え尽きるまで快楽を楽しめた。それだけ沙織の躰は若く、男も猛り狂ってくれていて互いに性を貪り合えたのだ。
女の躰とは不思議なもので、こうやって快楽にふけり神経が男根にのみ集中してしまうと外敵からの防御がまるで無くなる。沙織は貞淑な嫁でも女性でもなくなり一匹の牝になって膣を開発され尽くしてしまっていたのだ。
それが今度は我が子の前で、あの時とまるで違う凌辱であり愛とは違うと思っても悲しいことに交合が始まれば依然と同様、いやそれ以上に遮二無二男根がめり込み膣内を掻き回し始めたことをヨガッたのだ。世間の噂通りやはり成熟した女として頭とは別に身体が、下半身が勝手に男根に反応してしまったのである。
沙織はそれが呪わしかった。
沙織は身動きできないほど弄ばれ不貞であるという後ろめたい気持ちと、それとは真逆の快楽に半狂乱になった挙句半ば気を失ってしまっていた。男は欲情をすべて吐き出すと親子が期待していた食べ物については無視し続け何も置かずにバンガローを立ち去った。
沙織たち親子は、殊に沙織は犯されはしたが、最初に開かせようと苦悩してくれた時と同様に求める女のために何か持ってきてくれていると期待していただけにがっかりした。
それでも次に来るときには何か持ってきてくれるのではないかと、淡い期待も寄せた。
持ち込んだ食料がここに辿り着くころには尽きかけていたからだった。
だが、男はその後も幾度か来ては沙織を子供たちの前で襲った。
男との行為が始まる予感がすると沙織は子供たちに外に出て遠く離れているようきつく言い放った。その目や口のききようはもはや母ではなく男根に飢えた一匹の牝となっていた。
男に抱かれている間に意図せずして発する淫欲な声や痴態を子供たちに見聞きさせたくなかった。ましてや男と欲情をむき出しにまぐわい、快楽を通り越し淫汁を滴らせる女性器が男性器に絡みつき濁流欲しさに媚態まで魅せつけ絞り上げる様子など見せたくはなかった。
沙織は考えた。
男を、牝として欲情の限りを尽くして魅せ受け入れれば、乱れきり発情した女性器を他の男どもに渡す前に幾度も征服したくて何か運んできてくれるかもしれないと。
そして正にそのとおり、次に来たときにはなにがしかの食料を持ち込んでくれた。これに悲しいかな沙織は狂喜した。女としてひとりの男の心までも征服することができたと勘違いした。実際には飢えながらにして生きることの苦痛を、この裏切り女には与えたら面白かろうとわざと加減して食用を運んでいただけだったのだ。
沙織はもうひとつ重大な計算ミスを犯した。
男が運び込んでくる食料は親子が食べるに十分でなかったにもかかわらず、組み伏せられた快楽の余韻から冷め切れず、困惑する子供の前で逆に男を虜にしたと有頂天になってしまって男には少ない食料を大盤振る舞いしてしまっていた。聡明な女であるにもかかわらず男根の前には直前に己や子供の死が迫っていることにすら気が付かなかった。
沙織は食べないようにして子どもたちに分け与えたが、それでも徐々に子供たちの体力は奪われ飢えが始まっていた。
沙織は近隣の家々を回り食用を分けてくれるよう頼んで回ってみたが、そこは密教のような教団が居座る地である。どの家も門戸を閉ざし、まるで死人の村のようにみえ早々に諦めた。
飢えの症状は体力が一番弱い奈緒に真っ先に現れた。最初の数日起こったことは沙織が男に襲われたときのショックのうわごと・寝言かと思われたが、奈緒の呻き声が飢えの幻覚からきていることを知ってバンガローを後にし、一般集落目指して彷徨い出た。
このごろになると道端にある食べられると思えるものは何でも口にした。
目的地に向かって子供たちに懸命に声をかけ歩ませようとするが、奈緒は時折道端でくるくる同じところを回るような行動をとりはじめていた。それだけ歩みはのろいものとなっていった。歩き続けていると河原からなんともよい香りがした。
ヤミで捕まえた稚アユを焼いて食べているところに出くわし、ついフラフラと歩み寄った。
近寄ってくる得体のしれない人物に男たちは最初物珍しげに見ていたが、それがまるで死人が歩いているように見え慌てて手荷物を抱え逃げ出した。
残されていたのは火の中で串刺しにされた数匹の焼きかけの稚アユだった。
奪い合うように火の中に手を差し込んでそれを取りだしてやると、余程飢えていたのであろう、子供たちは貪り食った。気絶するほど燃え盛る炎の中に手を突っ込んだというのに、久しぶりに口にする食べ物に心を奪われ沙織は自身の手が焼けていることすら気づかなかったのである。
数日なにも口にしなかった胃の腑に一気に食べ物が供給された。
それがふたりの死を早めた。
目の前の炎に吸い寄せられるようにふたりは倒れ込んだ。
勢いよく枯れたような躰に燃えていた炎につつまれふたりは息絶えた。
それを見た沙織は狂乱した。
ふたりを救い出そうと自らも炎に飛び込み子供を掻き抱いたが思考はそこで尽きた。そのなかで肉の焼ける心地よい香りにあれほど我を苦しめた空腹も治まり香りの元となる我が子を愛おしそうに掻き抱いたまま息絶えた。
沙織を身籠らせた男の捜索は原点に立ち返っていた。
研究所で調べられたすべての書類を再調査し、その胤がある種新三郎と似ていることに気づいた。
そこで養護施設を調べ、離れ離れになった弟が今も生きていることを突き止め、現住所に走って果たして同一人物か周辺の聞き込みから調査が始まった。
結果、男は施設を出てから職業を何度も変え、いつごろからかわからないがある種の宗教団体に出入りしていることを突き止めた。
男と教団、それがなぜ沙織を狙わなければならなかったか、捜査員の一方はそれを探し出すため北里家に昼夜を問わず張りついた。
ある日の明け方近く、張り込みに疲れつい脇にあった電柱に向かって村上は用足しを始めた。
出しきって身震いしながらふと見上げた電柱の中ほど、妙な高さに広告が貼り付けてあるのに気付いた。
広告を張りつけるなら普通は路上を歩く人の目の高さか、それより少し高いところに貼る。 が、それがこの広告に限って明らかに邸内にある植え込みの さらに上から覗き見ないと気づかない場所に貼り付けてある。
見張り用の双眼鏡を取り出してその広告を遠間から見た。
沙織が通っていた病院名と不妊治療・秘密厳守という文字が飛び込んできた。
このふたつを合わせて考えれば不妊に困っていた沙織の鼻先に胤の話をちらつかせ病院に向かわせる目的で広告を張り付けたことになる。
通常なら不妊治療は夫婦そろって病院を訪問し、検査を受けた結果によって双方の同意をもって誰彼の冷凍保存の精子を妻の体内に植え付ける。
その夫の精査を進めるに当たって胤がないことを本人に告げられるということを沙織は隠したかった。
だがそれでは北里家の待っている子宝はいつまで経っても得られない。
恩返しのつもりで自分だけ犠牲になればと沙織は単独で病院に向かった。
ところが清純な沙織にこの病院は健常な精子提供者と偽って、今ちょうどその提供者がみえていると、この男との行為を勧めたのではなかろうかという疑問が湧いた。
そこで病院の院長の身元を洗うと、病院は医療事故で経営が破たんし院長は教団から多額の借金があることを突き止めた。
警察の取り調べに対し院長はあっさりと行ってはならない男女の直接的な行為を斡旋したことを自白した。
教団幹部のその男の脅しに屈し、不妊治療など行ったこともないのに いかにもできるような口ぶりで診察に当たり、その場で優秀な精液提供者として男を紹介したことも吐いた。
もっと驚いたことに、男は病院からそのまま男が所有するバンガローに沙織を連れ出し、そこで人工授精と称しナマナカで犯していたのだった。
件の男はどうしていたかというと、教団の村には資金集めが必要であると称し幹部以外の男はほとんど不在にしていた。
教祖や幹部の生活全般に渡って仕えるのは資金集めに全国を飛び回る男たちの妻が当てがわれた。
幹部はその妻たちに教祖様直々の修行と称し快楽を施し境地に至ると性行為を行って後 妻たちに向かって修行成れりと都合よく説いていた。
一旦関係を持つとその女たちは快楽はすなわち修行であり出世であると勘違いし先を争って修行を求め男の元に押しかけて来るようになった。
修行に名を借りた酒池肉林だったがそれを見るにつけ、いつしか男の目には女は不浄の生き物として映ってしまっていたのだ。
貞淑を装いながら胤を仕込んで欲しいと願う沙織にもいつしか嫌悪感を抱くようになっていった。終いには疎ましい故殺してしまおうとさえ思うようになっていった。
院長の自白によって教団の村では一種異様なことが行われていることを知った。警察は直ちに捜査令状を取り教団敷地内に立ち入った。
そしてその悲惨な状況を目にした。あの焼身自殺と判断された駐在所の巡査が焼け死んだ親子は酷い栄養失調だったとの報告と合わせその死に方を不審に思い調査に加わることを願い出てくれていた。
こうして沙織とその子供たちが暮らしていたバンガローに北里家の命を受けた探偵社の村上が警察の殊に駐在所の巡査を携え押し入ったのだ。
運が良かったことは飢餓で焼身自殺と思えた遺体の中から稚アユが検出されたことで、これが密漁で捕獲されたものである可能性が否めないことから主に密漁者の割り出しに全力が注がれた。
その捜査線上に上がったのがこの教団の幹部で今回胤に絡んでいるとみられるバンガローの所有者の男だった。
教団の資金を得るため禁漁期間であっても大がかりな立て網を仕掛けアユを追いこんで大量に捕獲してしまうという方法で最盛期には月に7ケタを超える稼ぎを叩きだし教団に貢いでいた。
別件で任意同行を求められた男は教団全体の責任と脅すとあっさりと教唆殺人について口を割った。
バンガローに親子を留め置き母親を辱め、その子供を餓えさせることで憂さ晴らしするつもりだったものが気が付けば栄養失調の極に達していて、誰の目にももはや救いようがなかったのだと語った。
しかもそれが人妻をだまし孕ませた我が子とあって尚のこと罪に問われると思い、いっそ殺してしまえばとこの計画を思いついたと語ったのだ。
餓えた親子がおそらく自殺した日に教えたとおりの道を辿ってこの河原を通りかかるであろうことを予測し、餓えた人間に一気に食べ物を与えると死と直結することをもものの本で読み、その日にあの場所で獲れ立ての稚アユを焼いて食うと美味いだろうからやってみろと闇漁仲間を誘ってやらせていたのだ。
裁判と認否のため採取されたDNA資料から、この男が紛れもなく新三郎の生き別れとなった実の弟で、兄が裕福な家庭にもらわれていったことを嫉んで美人妻の沙織を弄って家庭を壊してやろうと仕組んだことだったとわかり自白もしていた。
殺人に至ったことについては道義的に餓えさせ殺したとなれば教団から追われるかもしれないので、誰にも知られることのないよう始末したかったとも語った。
男は幼○虐待・婦女暴行と殺人ほう助の罪で起訴された。
病院も役所も当人たちの戸籍抹消に冷酷な法の網を掛けたが、兄が命を懸けて弟を守り通し、その影響で身体に重篤な障害が残ったことは義務であるはずなのに都合が悪いからと孤児を養子として引き取ってくれた北里家には告げなかったのである。
裁判の関係上、施設から提出された男の幼い頃の写真をみせられた新三郎の目に映ったのは、長い年月忘れることのできなかった吹雪の病院の玄関先で寒さに震えながら必死に見守った可愛い弟の顔だった。
あの秋の夕暮に、不審に満ちた気持ちでみた奈緒の横顔とうりふたつの男の子の顔だったのだ。
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