男に身を持ち崩した女たちの行く末

横山了氏にとって義母である淑子は住まいを追われて後は野に潜んで春をひさぎ、その娘であり元妻はAV女優に身を堕としても、元夫の巻坂氏と横山氏への組織の追及の手は弱まる気配はなかった。
巻坂氏は所詮裕福な出であるから取り巻き連はごまんといて行く先々で追ってから庇ってもらえる。
だが横山は貧困の出故に「ざまあ」と追い立てる者はいても庇ってくれるものなどどこにもいない。
屋敷から追い出された当初は地方の閑散とした村で空き家を借りて独り住まいをし追跡から逃れていたが、業界の人間というのはしぶとく、何処に行っても嗅ぎだされ取り立てにあった。
廃屋であってもそこを借りようとすれば住所録が必要で旧住所に移転届を提出しなければならない。
どこでどうやって嗅ぎつけるのか知らないが、彼らは新住所を嗅ぎつけ取り立てに来るのである。
女性ならこういう時こそ自治体が保護してくれ転居先を伏せて匿ってくれるのだが男性だとそうはいかなかった。
夜逃げに次ぐ夜逃げを重ね、とうとう宿なしになってしまっていた。
横山は全国各地を転々とした後、もうこれまでと ある河川敷でホームレスをやってみることにした。
仮設小屋 - とは言っても橋脚を利用した囲いみたいなものだが・・・ - の周りには半分死を思わせる風の腐敗物を置き、仲間でも出入りに顔をしかめるほどの汚さを装った。
もちろん生活用品一切合切を仲間から物々交換で手に入れ、どんなことがあっても買い出しに出かける、或いは街に物乞いに出かけるような真似はしなかった。
寒さ暑さ以上に食い物が無いことの辛さは身に染みた。
一流企業の優秀な戦士であった横山は河川敷で身を潜めている間にとにかく体を鍛えた。
身持ちの悪かった妻が雪乃からせっせと買わされていた強壮剤がこのような時に役に立った。
食品の代わりにこれを呑んで体力を保てたのである。
決して男根が立派になるような栄養補助食品ではなかったが、栄養バランスを保つ上では十分役に立ち、また、同じ境遇に身を堕としている女たちにはよい土産になったからだった。
冷静さを取り戻した横山の目にとまったもの、
男によって身を持ち崩した女たちの生活は悲惨さを極めた。
世間の金にあかせてデリを買う男たちは知らなかったであろうが、春をひさぐ女たちも何らかの形で身体を壊すなり年老いて堕ち行く先はこのようなところと決まっていて、生活苦から必要経費を捻出しようとすれば自然と食費を削るしかなく体力がなくなると肝心の商売道具である体調管理すら出来なくなる。
その点元妻の芙由美が金にモノを言わせ雪乃達グループによって愛飲させられていた強壮剤はよく効いた。
飢えをしのぐため糖分に頼り過ぎ内出血を起こし唇さえも切れて血を流していた女も、これを与えたことで回復の兆しを見せてくれた。
街頭に立ってウリしてる女たちは大変喜びし、お客が付いた日などはなけなしの稼ぎの中から食べ物を買いこっそり持ち込んでくれたりした。
恵まれすぎて薬や性に溺れる女たちはえてして堕ち行く先に虹の橋を選ぶが、苦労させられ育った女は たとえ落ちたとしても図太く生き抜く方を選ぶ。
普通の社会で生まれ育ち、働きに出た女たちが何かがきっかけで地獄に向かって堕ち行く。
そんな時、せめても一挙に堕ちないための最後の砦となるのが食べ物屋やそれらを生産する人との繋がりだ。
例えばコンビニの店員と繋がっていたとしよう、賞味期限の過ぎた食品は一般の人に渡らないよう厳重な管理の元処分する。
責任者は廃棄処分にするよう指示するが、従業員はこっそり値段を安くしたり処分と偽って隠して持ち帰ってくれる。
安い給料の穴埋めと、生かさず殺さずの精神にのっとり責任者は見て見ぬフリしてくれるからだ。
彼女らはこのような連中と親しくしておいて横流ししてもらうのである。
こうして横山は数回に一回の食事は彼女らの持ち帰る食べ物のお世話になり、ついでのことにシモのお世話になり動くことが出来なくて溜まりにたまった膿を抜かせてもらうことが出来たのである。
差し出すほうも女に恩を売ることが出来れば、受け取った彼女らも困っている連中に頂いた食べ物を配ってよい顔が出来る。
一挙両得でスラムに堕ちたと沈んだ気持ちも忘れることが出来、底辺でのつながりをより強くしていったのである。
横山が分けてもらい食した食べ物や飲み物の類は、最初の頃こそ食あたりでひどい目にあったが、いつしか臭いで見分けることが出来るようになり、腸内バイオもこれによく反応してくれ、熱を通して食べる習慣もでき、一旦慣れてしまえば十分栄養源として通用したのだ。
しかも常に目立たないよう食っちゃ寝 食っちゃ寝する必要がある。
寝て半畳の狭い空間の中で暇つぶしの筋力トレーニングの後はひたすら食べて寝るの生活は、まるで相撲道のようで、贅沢な話し瞬く間に柔道をやっていた頃の身体に戻っていった。
一番有難かったのは鍛え上げたことで、身体と心が安定し始めたこと、社会に出たい欲望が顔をもたげたことだった。
暗闇で死を覚悟したころの鬱がとんと影を潜めたことだった。
その独り立ちを、女たちは河原の草で自分たちが育ててきた競走馬が有馬記念や日本ダービーのようなG1に出るようだと面白がって手伝ってくれたのである。
横山を世に送り出せば己らもいづれは救い上げてもらえるなどという下種な考えではない。
信じる者こそ救われると思いたいがためである。
簡単に手伝うなどというが、要は自分たちのような末の社会に巣くう女たちの上前を撥ねる上部団体が見張っている中でのスパイ活動を命を賭けてするようなものである。
素性を知ってかくまったり逃がしたことが表ざたになればただでは済まない。
女たちが横山を世に送り出すため最初に手掛けたのが新人の警察関係者を色で釣ることにあった。
警察官や教師などの公務員と名のつくものは格式ばったところもあれば色事にもめっぽう弱い。
彼女らはその弱点を突いた。
とかく酒を飲んでは威張り散らす彼らの帰りを待ち伏せ闇に紛れ集団で襲った。
女のほうが襲われ脱がされた状況だけでは如何にも物足りない。
男の方も襲ったそのままの状況を表すべく上手に誘い下半身を露出させ、女にのしかかっているところを付近に伏せて待っていた仲間が通りかかった風を装い 如何にもわざとらしく悲鳴を上げたのである。
一方の女は警察官に襲われた役、他方の女は襲われたところを見つけ騒ぎ立てる役。
その肝心な状態に至ったところを捕り押さえ複数の女で確認がてら警察官よろしく詰問した。
親子そろっての警察官の家系であった愚者は、家系大事で簡単に軍門に下ってしまった。
関係を持ってしまってから彼が詰める派出所に出向き、上層部に訴えられたくなくばと横山の周辺をそれとなく巡回するように仕向けたのである。
業界は悲しいかな こんな体たらくの官憲でも一応その目を一番気にする。
市内を歩き回り始めた横山を四六時中巡査がつけて回ればなおさらである。
触らぬ神に祟りなしとでも思ったのだろう、幹部の圧力で下っ端はあっさりと手を引いてくれた。
色事で釣られた警察官は女たちに言われるままにある会社を紹介した。
多分に行ってること自体後ろめたい会社だったが、人事責任者は警察の圧力と筋肉の鎧を着たような横山の風貌・体格に押され前科者かもしれないと危ぶんだが断わりきれなかったのである。
紹介した警察官も警察官なら女たちもまた食わせ物で、横山の体躯や言動を見るにつけ、一部の会社員が業界も恐れる筋肉の鎧を着たような猛者の集まりと知って これなら似合うのではなかろうかと紹介していた。
ろくでもない商品を扱う業者。その最たるものが有閑マダムのAV動画と寝取り・寝取られ倶楽部。
女を転がす商売故、下半身を日々鍛えていたし濁流も有り余っていてヌキに一苦労していた。
淑子や芙由美などのようなヤワな手合いでは持たないのである。
女たちの上客というのが長瀬とそのグループの男どもで、富豪の妻たち、つまり淑子や芙由美のような有閑マダムを河原の女どもを使って鍛え上げた男根と風貌で騙して誘い出し、まぐわい、ハメ撮りし脅すのであって、河原の女たちは猥談好きの集まりと称し有閑マダムを誘い出す役、いよいよ男根が欲しくてとなると長瀬たちの手に委ねる、いわば鍛える穴でもあれば囮役にもなっていた。
自分の妻も同じような手段で寝盗られ住処を追われたが結局のところ、それが長瀬や新藤冴との出会いに、スキモノの女たちを寄せ集め好き放題ハメ合うことが出来るシェアハウスを作ることに繋がったのである。
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