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爺様 和子に看取られ逝く

街と村との間には遥か昔から不文律の決まり事がある。棲み分けである。

たとえ街で長者と肩書きを張っても、村ではそれは通じない。なぜなら村では真っ正直に土に向かうものしか真っ当と見られないからだ。

賭け事のような商いを生業にする人間は長かそれに準ずる位にあるものでなければ相手をしない。

これを上手く取りまとめて歩いたのが商人で、彼らによってやっと不文律を超えて交易やら約束事がなされた。

しかるに村でも、男たちの慰み者になり孕ませだって期待できる和子は大いに歓待されたが、正一に対しては年下好きの婆様以外、どちらかというと冷ややかだった。

正一はよそ者、和子を連れてきた功績は認めたが、如何せん競合する。男たちにとってはただでさえ少ない女や女房を隠さねばならず招かれざるものだったからだ。

村人は博打様の富を求める場合、街へ向かわず、仲間内でも弱いものへ、未開のものへ向かって刃を向ける。

決してしたたかな人種が棲み暮らす町の習わしを受け入れようとはしない。

正一が突然村に現れ、美紀のことを聞いて回ったときも、村人は協力するようなふりだけはしていたものの、陰から冷ややかな視線を送っていた。

美紀というのが女の名前なら押さえつけて愉しもうと考えるものも無いではなかった。

しかし村では表面上は常に、このよそ者に向かっては団結して砦を築き、入り込めないように画策する。

この戒めを自ら破ったものがいた。

それが金玉が疼いてかなわない爺様だったのである。

爺様は女子と見れば誰彼かまわず抱きまくった。

和子もその例外ではなく、村内の者は避けて通るというに、爺様は一向にこれを介さず逆に近づき、廃村に通じるかつての街道から一歩野分道に入ったあたりで例によって例の如く犯していた。

この野分道は、実はこの村の人たちが没落していく、かつて近在を支配した豪農 足立寛治の領地内から盗み働きをするために急ごしらえで作った通った路、魔魅の抜け穴であった。

つまるところ、村人たるものこの道をあだやおろそかに街のものを案内してはならなかったのである。

在りし日の廃村には様々な珍しい産物が採れた。

薬研谷と呼ばれる場所などでは、特に貴重な薬草(ケシではなかろうから恐らく自生する大麻だと思われる)が採れ、それ故に足立寛治の祖先が入植してこれを見つけたときから、あっというまに近在を支配下に置くほど財を成し得たのである。

それを、不文律の元で次に控えていたこの爺様が暮らす村が、焼け野原と化したとされる廃村から、これらのお宝を掠め盗っていたのである。没落者からの搾取、掠奪である。


勤務の都合で市内に帰ってきた正一は、探し損ねた美紀のことについてイの一番に情報収集の拙さを考えた。

挨拶をすれば、にこやかに笑顔が帰ってくることは来たが どこか冷ややかな視線で見られているような気がしてならなかった。

「よそ者が村に入り込んで、何か探し物をしている」

そんな目つきをされたような気がしたのである。

正一はだから、廃村に向かうとき 村からずっと外れた場所まで昼間にヒッチハイクで向かって、その車が廃村とは違う方向の峠を越えるのを見届けて深夜、こっそり村に侵入し、あの路を辿ったのである。

田んぼの畦道脇を通る廃村に通じる街道に入り、爺様が和子を案内して登った通りにわき道にそれ情交のあった場所までの道程を、朝日が昇るまでに休まず歩き登り切った。

この場に立って、和子に永久の別れを言うつもりであった。

別れを決意したくなるほど和子の心は爺様に傾倒し、正一など爺様との挿し込みの刺激剤にしかならないと思われているふしがあった。

「そこまでして妻に娶ろうとは思わない」 これであった。

正一が朝日の昇る時刻に、この場所で行いたいことがもうひとつあった。

それこそが美紀を探すひとつの手がかりになるであろうその魔魅の抜け穴とやらを、いつか必ず探すこと。

あの快楽好きな美紀の失踪の秘密がここに隠されている。いつの頃からか、そう感じていた。

美紀は廃村へ向かうとき、きっと美紀を捜索に来た自分たちと同じように村人に何かしら問い合わせたんじゃなかろうかと思った。

もしも問い合わせていたなら、あの爺様が人妻とはいえうら若い女を放っておくはずはなかった。

気づいて、暗に止める村人を振り切ってこの場所に引き込み、ゆうゆうと犯しただろうと想像できた。和子の時と同じかそれ以上に爺様のふぐりに傾倒し絞り上げたのではなかろうかと思った。

それだからこそ自分という男が和子の付き添いとして一緒に来ているにもかかわらず、美紀と繰り広げたまぐわいが忘れられず山中に意気揚々と和子を引き込んで確信を持って犯したのではなかろうかと思った。

そう考えれば、すべてつじつまが合った。

正一はその場所を、和子が犯された場所の もう少し上の方ではないかと考えた。

遠目が効く村人に、女子を犯すところを見られては、あとあと難儀するとでも思ったのだろう。

和子の場合は、必死で探し回る男を、前戯で逝かせ始めた女に見せつけることで不貞・寝取られの欲情を昂ぶらせてやろうとしたし、美紀を犯した場所まで己も女も挿し込みたさが募り待てなかったこともあったのだろうと感じた。



用心に用心を重ね、正一はほんのわずかの痕跡でも見つけ出してやろうと、まるで地面を這いずりまわるかのごとく這いつくばって探し、先に進んだ。

路の脇の落ち葉や笹が、ほんの僅かでも人が寝ころぶに都合がよく見えたり、笹などが押し倒されたりしている場所については、特に入念に探し回った。

痕跡はあっ気なく見つかった。

それを見つけたとき、改めて爺様の非道さに怒りがこみ上げた。

美紀の服が勝利の証として、情交を交わしたとみられる落ち葉の降り積もった脇に立つ大木の枝に、これ見よがしにぶら下げてあった。

周囲には男女が争ったんだろう落ち葉を蹴散らしたような痕が生々しく残っていた。

美紀が押さえ込まれたであろうその場所の落ち葉は、まるで男女の重さに耐えかねたかのように、女の背の型にしっかり窪んでいた。

爺様は全体重をかけて美紀を貫いていたことが、その窪みの深さで伺われた。

痕跡はそれだけではなかった。

引き裂かれたパンティーは、それから数メートル離れた村が見下ろせる高台の上で陰唇の触れる部分に己の精液をたっぷりふりかけでもしたんだろう、糊が黄ばんで変色したようなものが付着し、投げ捨てられていた。

女を、散々弄んだ挙句 最初に奪った下着に、村人に余程見せつけたかったんだろうこの場所で、残りの精液を全て吐きだし勇者であることを誇示して捨てたものとみられた。

正一は狂ったように落ち葉をかき分け、美紀の姿を、陽が完全に沈むまで山中で探した。

欲望を満たしきった爺様が、用のなくなった女を処分していはすまいかと必死で探した。

僅かでも窪地を見つければ、持参したスコップで地面を掘り返して探してみたし、付近の谷間はすべて見て回った。

疲れ果てた末の結論に、美紀は情交が終わった際、和子の時と同じように爺様に異変が起き、その隙をついて逃げたのではなかろうかと、良い方にとることにした。

その夜は山中でビバークした。

翌朝早く、正一は美紀の服やパンティーを回収しザックに詰めると廃村に向け出発した。



和子が看病を続ける爺様の体調は一進一退を続けた。

毎週決まった日に、和子は婆様を伴って病院に向かうのだが、医師の処方は、そのたびごとに増えて行った。

それはそうである。

医師は、普通に生活しておれば何事もない血圧になるだろうと降下剤を処方する。

ところが和子は、躍起になって爺様の血圧を高めようと努力する。

然るに、医師が測るたびに血圧は、処方の効果なく上昇している。これでは危ないと医師は更に薬量を増やす。

爺様は薬が沢山盛られるたびに日中でもウトウトが増していった。

和子が盛んに誘うから、夜毎忍んできてワレメに舌を這わすには這わすが、途中で寝入ってしまうことさえあった。

和子は一計を案じ、病院の帰り道 こっそりある種の店で特効薬を仕入れ、これを爺様の飲み物に密かに混入させてみたりもした。

毎度立ち寄っては次第に効き目が強く、しかも高い商品を買っていく和子に店主は、よほど好きものの女と見たのだろう、マムシ酒を勧めてきた。

和子は仰天して見せた。そうでもしなければ心を読まれたようで、もうこの店に来れないと思った。

和子は婆様にはひた隠しに隠して持ち帰り、これを忍んできた爺様に丸ごと一本与えた。

高血圧に精力剤、ましてや深酒は禁物である。

普段の食事に、医師が止めていた塩辛い食べ物を婆様に隠れて付け足すことも忘れなかったことが功を奏した。

かくしてその夜は、和子が長い間待ち望んだ爺様の棹が復活し、情交となった。

酒の勢いも手伝って、常より入念に爺様はワレメに奉仕している。

だが一向に棹は皺袋の中から顔を出さない。

「マムシ、偽物だったみたいね。好きものだってあのおやじ言ったのよ。失礼でしょ?」

和子は大きな欠伸をした。

・・・ワレメを毎夜同じ格好で役に立たなくなった爺に舐められているんだもん、刺激もなにもあったもんじゃないわ・・・

和子は心の中でつぶやいた。

それでも懸命に爺様は奉仕を続けている。

和子は爺様を早く寝かしつけたくて、初体験の時の出来事をポツリポツリと話し始めていた。

「わたしね、これでも学年では結構奥手だったの」

それは高校3年の夏休みを前にした時のことだった。

「初潮が始まる前からちょっとだけ身体っていうか、気持ち?変だなって思うようになって・・・」

仲良し3人組のひとりが、ある日の午後、学校に裏で猥談を始めた。

話の中身は、寝静まった隣の部屋から親の絡みの、母親が逝きそうになって悶える声が漏れてきてというものだった。

「それでどうしたの?」

勢い込んで聞く和子に「嫌ね~和子は、餓えてる」笑って続きを教える代わりに、当時噂のあった彼を呼び出して河原で初体験を済ませた話をしてくれた。

「その時ね、もう一人の友達に聞いたら、もうとっくに中学2年の時に隣のおじさんに誘われて済ませたと聞かされたの。そりゃ~焦ったわよ」

「それでね、わたしも当時気持ちを寄せていた彼の家に遊びに行って、彼の部屋でさんざん変な格好して見せて誘ったのよ」

「彼のベッドに寝転んだり、畳の上をごろごろ転がりまわり、あおむけに寝て大きく胸を突き出しながら、足を開いて見たりして・・」

それでも彼は手を出そうとしてくれなかった。

「だからわたしね。とうとう我慢できなくなって、もうひとり気持ちを寄せてくれていた彼を、つまり好きな彼の友人ね」

お寺の裏に学校の帰りに呼び出して、目の前でショーツを脱ぎ、スカートを捲って頭を突っ込ませ、アソコを舐めさせたと言った。

「彼ったら、夢中になって舐めはじめて、恥ずかしさのあまり次第にアソコが変になって・・・」

どんどん足を広げて奥へ奥へと誘い込んでいるうちに、とうとう片足を彼の背中に乗せ、大きく割れたソレを舐めてもらって腰が抜けそうになった時、まじまじと見入る彼がそこに立っていたと和子は話した。

話しが終わった直後だった。

爺様の足が和子の尻をしたたかに蹴っていた。

「このあばずれめが~~」

和子は部屋の隅まで蹴飛ばされていた。

「なにすんだよ!このくそ爺が~」

云い終るか終らないかのうちに爺様の太い手が和子の首を締めにかかっていた。

和子は逃れようと必死にもがいた。もがきながら、何かグニャリとするものを何度も蹴っていた。

爺様の棹だった。

先ほどまで、たとえワレメに奉仕する段階に至っても爺様の血色はどす黒かった。

それが、首を締めにかかっていた爺様の顔は充血色に変わり、頭に脂汗を浮かべ、国筋の血管はウネウネと浮き出て目は真っ赤になっていた。

「いうてみー、どこを舐めさせたかいうてみー。このあばずれが~」

和子は空恐ろしくなって、もう一度最初から事細かく説明し始めていた。

ねめつける爺様は、ワレメに奉仕どころか、利き手の日本の指をかぎ状に曲げ、ワレメの芯を弄り、もう一方の手で乳を握りつぶそうと息んでいた。

棹は完全に復活していた。

指の刺激でワレメが十分に潤うと、爺様は雄々しくなった亀頭を深部にあてがって一息つくと切っ先で肉を割った。

歯を剥き出しにして肩を、首筋を噛まれた。

「このバイタめが!このバイタめが!」

それはもう拷問に近かった。

もしもこの時、婆様が薬さえ飲んでいなければ、血相を変えて止めに入ったであろう。

それほどに罵声と怒号の飛び交う情交だった。

肉は十分に割られ、抉られる苦しさに樹液が溢れかえり、返りシルで幹をしとどに湿らせていた。

和子は久しぶりに肉球で亀頭冠を弄ることができ、全身を打ち振って燃えていた。

少しでもいいから、待ちに待った精液を子宮奥に注ぎ込んでほしかった。

「でも、肝心の彼は友達にさいなまされているのに助けようとしなかったの」

その時ワレメやクリがどうなってたのか、爺様に事細かに報告し、涙を流して爺様に許しを請うていた。

勃起しないから、溜まってなどいそうにもないと思われた精液は、和子の稚拙な思考に反して密度も高く膿のようにたっぷり溜まっていた。

よせばいいのに爺様は、和子の亀頭冠への嬲りと組み敷く女に痴態に、その処女を奪われた話に欲情し、それを一気に和子の中に吐き出そうと腹上で力んだ。

「おおおうっ、むんむん。くく・・」

爺様の顔が急激に浮腫んだ。額に青筋が浮き出ている。

亀頭冠の充血が膣の奥深くで感じられ、棹の脈打ちも伝わってきていた。

「ああ・・・久しぶり・・・凄くすてき。早く頂戴」

爺様の腰が和子の土手をしたたかにパンパンと突き上げたその瞬間だった。

「うっ、う~~~ん」

爺様はまたしても和子の腹の上で唸ると転がり落ちた。

和子は今度も爺様が心臓の発作を起こして卒倒したのかと、以前に正一に教わった口移しの呼吸を試みた。

「爺様、大丈夫。ちゃんと和子の気持ちを吹き込んであげる」

潤んだまなざして爺様の唇を捉えると、静かに、しかも精一杯吹き込んだ。

時間をおかず、次から次へと、棹まで届けと吹き込んだ。

だが、所詮この方法も正一が教えてくれたものであっても、あの時も今回も、情交の一番燃え上がったときに起こっていたから、次に何をすべきかなど知り得なかった。

理性をつかさどる部位の脳は欲情をつかさどるソレに負け、麻痺していたのである。

何度か試みるが、爺様の唇からは愛が伝わってこなかった。

それどころか、唇は次第に冷たくなっていった。

情熱が伝わらないことに、和子は焦れた。

「わたしの気持ち、わかってくれないんだ」 和子は吐き捨てるように言った。

微かに爺様は、鼾をかいた風に 和子の目には寝たように見えたのである。

「呆れたわ、出す直前にまた寝てしまった。こんなに愛を吹き込んであげてるのに。役立たず!」

火照りが治まらないワレメからは未だシルが滴り落ちて太腿を伝っている。

「これ、どうしてくれるのよ・・・もう!!」

和子はついにキレた。

萎えた棹をつま先で思いっきり弾くと、さっさと布団をかぶり寝てしまった。



翌朝になって和子は、婆様に揺り起こされ初めて事態の深刻さを知った。

爺様は脳卒中のため、和子の腹の上で逝っていた。

丁度正一が美紀の衣服を回収し、ザックに納め、念のため情交のあった場所に向かって手を合わせた。まさにその時であった。
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