知佳の美貌録「発達性障害」 結婚相手に選んだ男は生まれつき人の感情が理解できなかった

人の感情、ましてや家計のことなど理解しようもない夫は、連日現場に出かけてもうつろな目を宙に泳がせ、働こうともしない日々が続いた。
そうなってくると、いくら一人親方 兄に使われている身とはいえ給料は周囲と同様に払ってもらえない。
その、足らずまいを妊婦である久美が何とかする毎日が続いた。
「切迫流産寸前」と言われた。
「一体こんなになるまで、何をやってたんだ?」と医師に聞かれ、
「自転車に乗って駆けずり回っていた」と応えた。
即刻入院になった。
電話でそのことを夫に告げると、「ああ...」と一言。
病院に顔を出してくれたものの手ぶらで、しかも病院の雰囲気が意に染まなかったのか手持無沙汰がイヤだったのか ものの数分後には病院から姿を消していた。
翌日からせっせと見まいに来てくれたのは夫の友人の男性だった。
彼は3週間の入院中、休むことなく来てくれた。
その間、夫は一度として顔を出してくれたことはない。
「今日も来られてたんですね。久美さんは、本当に幸せ者ね」
出会うたびに看護婦さんから、にこやかにこう告げられる。
(なんでこの人、毎日来るんだろう )
久美の、偽らざる想いだった。
退院の日、夫に電話で「家に帰る」と告げると、
いつものごとく「ああ..」と気のない返事
病院側からまだ退院する時期ではないと引き留められつつ家計が気になりいつ来てくれるんだろうと、やきもきしながら玄関で待っていた。
もう諦めかけた頃になって玄関で見送りをしてくれる病院関係者の前に、夫がノソリと現れた。
相変わらずの時間感覚のなさだった。
姿は現したもののまるで他人行儀で久美や病院関係者に近寄ろうともしない。
久美が急かすと仕方なさそうに、手荷物を持ってくれる夫。
待たされた看護師さんから思いもかけないような声がかかった。
「久美ちゃん、大変だったわね。ところで今日はご主人来られないの?」と、
今更言い訳もしようがない。
「この人が主人で、いつも来てくれてたのは夫の友人です」と伝えた。
(言ってはまずいこと、口走った ) 病院関係者は固まってしまった。
恥さらしなコト なのに、夫は全くもって意に介さない。
その子が大きくなって、
友達の家によく遊びに行くようになった。
珍しい苗字でもあり、遊びに行く家のご主人が、たまたま夫と現場が一緒になったこともあって、自宅にあいさつに来てくれた。
玄関で、出産に関するあれやこれやの説明の間中、隣の部屋にいるにもかかわらず、夫は顔を出そうともしなかった。
「現場で一緒だという〇〇さんが来られてるよ」と告げても、
「ああ...」というだけで、一向に玄関に出て来ようともしない夫。
バツが悪かったらしく「時にはみなさんで遊びに来てください」と言い残し、その同業者の男性は帰っていった。
数日後、今度はその彼の方から電話で「遊びに来て」と言ってくれた。
子供は行く気満々だったため、送ってくれるよう夫に頼むと、
例のごとく「ああ...」と言うだけでいつ腰を上げ送ってくれるのか見当もつかない。
諦めかけた頃になって一応連れて行ってはくれた。
けど、帰ってきた子供の説明から往復の時間を除けば、
訪問先の玄関で数分過ごしただけで逃げるように帰ったことが分かった。
その時の、妙な対応に心配し、手土産持参で来てくれる子供の友達の、
夫の現場仲間である男性。
対応は、相変わらず久美が行い、
夫は隣の部屋にいるにはいても、声をかけることも、顔を出すこともしなかった。
恐らく病院や、玄関先で久美が他の男性と楽しそうに話し込んでいることを、快く思っていなかったと思うが、
顔や表情には全くといっていいほど出してはくれなかった。
妻の意思はもちろんのこと、子供の意思も、ましてや周囲の人々の意思すら伝わらない夫。
このころから久美の中に、夫に対する諦めらしきものが生じ始めていた。
動いてくれるのを待っていたら生活が成り立たないからである。
ましてや酒・たばこにパチンコ代まで要求してくるにつけ、家計は火の車だったからである。
子供に食べさせるお金もないのに夜の性活は当然という風に要求して来る。
そこには野生の本能だけがかろうじて生きる「低知能発達性障害」の世界があることを久美は、
ずっと後になって知ることになる。
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