【知佳の美貌録】高原ホテル別版　艶本「知佳」知佳の美貌録「望まれなかった子」　彼女は両親の何たるかを知らずして育った。

知佳の美貌録「望まれなかった子」　彼女は両親の何たるかを知らずして育った。

ある日の午後、市内の産院で家族はおろか親戚であっても誰一人生まれてくることを望なかった子（・・と言われていた）が、見舞いも付き添いもない中ひっそりと生まれようとしていた。

ようやくこの街にも弥生の温かさが巡ってきた春の日の午前、近くのスーパーから自転車に　これでもかというほど荷物を積み込んで自宅に向かうOLスーツの女性がいた。

女衒の家系に生まれた久美である。

「急がなきゃ。時間が無い！」帰り着くと万年床の如く敷いてあった布団を押し入れに仕舞い掃除を始めた。

「先生は確か今日だと言ってた」

そんな躰で久美は保険外交を続けていて支店長に説得を頼まれたある家の訪問中から微かだが鈍痛が腹部を襲っていた。

今思えばそれが陣痛だった。

「出たいんだ・・・待っててね今片付け終えたら用意して向かうから」

勤務先の誰もが気づかないほど臨月と言っても体重は増ず、したがって腹部のふくらみも目立たなかったから支店長ですらそれほど大変な時期とは気づかなかったようなのだ。

だから食が細いとはいえまさか彼女が臨月を迎えていたとは思わなかったのであろう。

この件に関し、久美は至って暢気に構えていて出産予定日はとっくに過ぎていたのだ。

「先生は確か今日・・」は自己判断の得手勝手な考えから来たものなのだ。

それでもこうやって働いていたのは親戚、つまり旦那の郷から産むなと念を押されていたからで、それに逆らってまで産むからには、例えばあの牛飲馬食で放埓の旦那にしろ、腹の子のてんかんお姉ちゃんにしろ　どんなことがあっても食い扶持を何とかせねばならず「望まれない子」と言うからには誰にも助けを借りるわけにはいかなかった。

もし一日でも早く病院に入ったら入院費はそれだけ嵩む。ただでさえ家計は火の車なのにである。

家事全般はたとえ痛みや眩暈に這いずり回ってでも怠りなくやりこなした。

だが頭が少し足りない旦那は夜になると手を伸ばしてくる。溜まって悩乱する夫を横目に夫婦生活だけは断らざるを得なかった。

そのことが気に食わないらしく多忙を極める久美が早朝から稼ぎに出ると、これ幸いと旦那はまともに仕事をしなくなったようだった。

ようだったというのも、旦那 (三男) の実の兄 (次男) は会社を経営しているが頭の少し足りない旦那は共同経営に組してもらえず雇われの土工をさせられていたからだ。

その現場で他の従業員に一段下に見られ、何かにつけ罵倒されてきたからか、それとも生まれつきの発達性障害が影響するからか仕事を命じても一向に働こうとしないという。

久美が何故にこの男を旦那に選んだかは知らないが、結婚したとき勤めていた水産関係の会社でも同じような状態だったと聞かされている。

内情は家内工業ともなれば一方が働こうとしなければ上りは当然目減りする。それ故給与はあてにできなかった。

そこに飲んだくれの久美の実の父親が妻が他の男と手に手をと手駆け落ちしたものだから生活が更に荒れ、まるで業関係者の如く怒気をはらんだツラで酒臭い息を吐きながら金の工面に押しかける。

稼ぎの無いものから無理やり金の無心、それも頻繁に来た。

追い払ってくれるはずの旦那は思慮分別が世間一般の男と比べると決定的に欠けていて役に立ちそうにない。

にもかかわらず旦那はこのことを郷で実母に洗いざらい告げ口した。

朝早くから働いて帰ってきたものに向かて　やれ洗濯ものを干せだとかゴミを出してとか実に小うるさいという風にである。

これから数年後、この望まれない子はお姑さんと瓜二つになる。

美麗で良妻賢母風に見え、その実家事育児が苦手で何かと旦那を尻に敷く・・がだ。

「まぁよくも男に向かってそんなことを！」

顔を合わせれば出来損ないと小言を言われた。

「どっちが・・」と言ってやりたかったがグッと抑えその場から兎に角逃げた。

旦那の夜の伽もせず家事もろくろくしない飲んだくれの父を持つ久美に子を産む権利などあろうはずがない。

堕ろせと再三にわたって旦那の母から言い渡され、閨が過ぎるんだ薄汚い女と面罵されていた。

お腹の子はなにもコウノトリが運んできたわけでも他人棒に欲情し出来たわけでもない。

旦那はおつむが足りない分飲んで気持ちが昂揚するとただただ後先考えず夫婦生活をしたがる。

我が子の気配が二階から聞こえるようなときでも拒否されない限りのしかかったりする。

挙句孕んだから夫婦生活は短期間無しにするとか、ましてや臨月は避けるなどという気遣いはさらさらなく、更に子育てで優先順位が子供のことが先にとかなると、途端に拗ねたようなそぶりをみせた。

呆れたことに自分のことを構ってくれないと母親に泣きつくのである。

母親にそれほどひどいことを言い付けておきながらどんなにお金が無かろうと当たり前のように小遣いを要求し、休日は朝から晩までパチンコ三昧で、だから出産のことなど意にも介してもくれなかったのだ。

久美とは話が合わないものだから手持無沙汰になったら兎に角たばこに手が出、テーブルには常に並々と注がれた酒のコップが乗っていて、ほっとけば昼間からでも飽くことなく一升瓶から酒を注ぎ飲んで　部屋が煙って視界が悪くなるほどタバコをふかし殊更に気難しい顔をした。

「自分が悪いんだから・・・仕方ないよね」

周囲から逆ナンと後ろ指さされながらも、こんな男を口説き結婚に持ち込んだ世間知らずだった久美。

己の愚かさを今更ながら呪った。

そんな旦那と付き合い始めて間もなく、久美は結婚を前提に付き合う人が出来たとの報告に友人と出会う機会を得たが、この男は彼女　つまり久美の同窓生を見た瞬間たちまちその友人の虜になったのである。

臨月に入り、時々疲れからか動けない日があり、そんな時は長女のこともあり彼女の助けを借りざるを得なかった。

自宅に立ち寄ってくれる美麗でバツイチの同窓生。彼女もどちらかと言うとアプローチされたら断れないタイプと知ってか知らずか旦那は益々彼女への思慕を深め久美の目の前で彼女の躰に嘗め回すような視線を送る。

彼女も妖艶な笑みを返す。

こうなってしまっては旦那に、どんな用事を言いつけても恐らく耳に届かないだろうことは久美にはわかっていた。

少し・・？いや、相当足りないオトコ。

仕事を終えて呼び止める母を振り切り郷から真一文字に車を走らせて帰る、筈であったが・・　その郷は味噌汁の冷めない距離にあるのに何時まで待っても帰ってこない。

美麗な友人宅の周囲を車でグルグル駆け回っていることは聞かなくてもわかっていた。

自分だけ郷で食事も風呂も済ませ、その食事に合わせてと十分注いでもらったはずなのに足りなくて、自販機で買って一杯ひっかけ上機嫌で車を走らせていることもだ。

こんなだからたとえ短期間入院したとしても上の子の面倒をみてくれるはずもなく、ひたすら家族の生活が気になる。

上の子が帰ってきても旦那は食べるものを見つけるが早いか酒のつまみに早変わりする。

それが朝であってもだ。

それでも気持ちの上からも無いと困るからご飯を用意し、それが終わると入院の支度をして自転車にそれら全てを積み込んで産院に向かった。

両手に目いっぱいの荷物を抱え玄関先に現れた久美を見て看護師たちが慌てて走ってきた。

臨月に至っても休まず働いてきた久美は平素の体重より５キロ増えただけの至って普通の２０代女性。それに向かって慌てふためく看護師を周囲の患者はさぞ不思議そうに見たことだろう。

だが久美は一向に気にならなかった。
借金取り立てに追われる日々を送っていた頃、どんなに苦しくても家族どころか親戚一同誰も久美を助けてなどくれなかった。
そんな状態がふたりめの子供を身籠った今も続いていただけなのである。

上の子を産むとき、丁度院長がゴルフで不在でアルバイトの若先生を呼んだが間に合わず、産婆が取り上げたことがある。
その時もこれと全く同じようにして久美は病院の玄関先に現れたものだ。

二階の病棟で見回りの看護師に陣痛時間を問われ「５分毎だったかな～・・・よくわかんない」と笑ってみせ大騒ぎになった。

慌てて助産師を呼んで調べてみると赤子の頭がもう既に会陰から覗き始めていた。

今いる病棟は二階で分娩室は一階にある。

手が足りないから看護師がベッドのまま搬送することなどできない、もちろんエレベータなど無いから階段を自分の力で歩いて降りるしかない。

久美がようやく分娩台に辿り着いた時には破水が始まってしまっていた。

こんな状態なのに医院には誰一人として付き添って来ようとする人は久美の関係者にはいなかった。

せめてもと看護師が旦那に電話を入れる「ああ・・」とそっけない返事が返ってきただけで電話を切られ、しかも実際来なかった。

「あの久美ちゃんだもん。覚えてるに決まってる。また今回も一人で来たの？」

今回も前回同様、付き添いの人と間違われそうな華奢な体型の小さなお腹から３キロの立派な女の子が生まれた。久美は自分で我が子に瑠美と名付けた。

忌まわしい生い立ちだからこそ”美”の文字をつけたかったのだ。

上の子など末尾に”美”の文字を付け役所に届けるよう依頼したら、義母の横やりで全部ひらがなにしろと言われたからと旦那が持たせたはずの書類を届けもせず持ち帰って来て、思わず激怒したことがある。

「５キロ増えただけのお腹から３キロの赤ちゃん。羨ましい～わぁ～」

そのように言われたものの無理をし続け最小限のエネルギーで育てた我が子は成長しても如何にも小さかった。

母体も産める状態を保ちかねているが故に子宮口は狭く、頭が出ようとすると裂けてしまうから出産直後に裂けた部位を縫合される。

小さな産科に専門の麻酔科などないから半ば生身で縫うことになる。

気が遠くなるほど痛かったという。

３日後の午後、久美は強引にタクシーを呼んでもらって自宅に帰った。

「院長先生に叱られるわよ！そんな身体で帰っても。誰も家で待ってくれてる人なんていないでしょうに・・・」

職員全員退院という言葉を口にできないでいた。

「上の子を預かってもらってる保育園から引き取って帰って家事しなきゃいけないの」

入院期間中預けっぱなしで放置してあるに決まっていた。

自分勝手に家を空けて出ていたんだから帰ってきたらその分上の子の面倒を見るのは当たり前。
きっとそう思ってるんだろうと帰ってみると正にその通りだった。

子供の送り迎えはもちろん、旦那が汚して帰ってきた作業服の洗濯や食べた後の片づけ、それら一切を産後間もない躰で久美はやった。

ほっておけば旦那はまたぞろ実家の母に告げ口し旦那の親から聞くに堪えない嫌味を言われる。

「うちのひとを郷に置いとけない」

入院直前までパートで働きためたお金もきっと、入院してる間に全部持ち出して郷に渡したんだわ・・・

あればあるだけ兄弟で競馬に通うし、兄嫁は得体のしれない宗教団体に寄付してしまう。

だから一日も早く退院し、旦那を見張りつつ子供の世話をし託児所に預けパートに出て稼がなきゃならなかった。

病院から連れ帰った我が子を見ても旦那は自分の世話を先にしてくれないものだから喜ぶ風はなかった。

逆上する気持ちだけが疲れ弱った躰を突き動かしてくれた。

旦那に対する言葉や態度にはさすがに気を着けてはいるものの、何かが起こった時の子供に対する目つきは依然にもまして険しくなった。

それが余計に家族をぎくしゃくさせた。

案の定　２番目の女の子瑠美は実の父からも親戚から疎まれながら育った。

お姉ちゃんには猫可愛がりする父親だが次女の、それも母からきつく堕ろさせるようにと命じられてきた瑠美に対してはとにかく疎んじた。

親の言いつけの中身が何であるか思考できる能力など生まれ持って彼には無い。

それ故に目倉滅法母の言いつけを守ろうとする旦那。

同じ屋根の下にいながら食事の時でさえ瑠美と視線を合わそうともしなかった。

生まれくる経緯もそうなら育った環境もそうで、親子の会話すら成り立たない父と娘。

成長するにつけ瑠美は自分の立場を守るため、ある種冷ややかな面を持つ子供に育った。

皮肉なもので幼い頃から男の子のようにキリッとした凛々しい男の子のような可愛さとこの冷ややかな物腰が瑠美のウリとなった。

田舎のことゆえこの時点では内に向いてであったが・・・

成長し学校に通うようになると似ても似つかない姉妹を、殊に妹に似ず不細工な姉を学友は冷やかした。

普通なら真逆なのだが・・姉は別として妹の方はだから意地になって突っ張った。

長じて、表に向かってそれに態度が加わった。
母久美のように意に染まないことがあると途端に容姿とは似ても似つかない啖呵を切りメンチを飛ばすようになっていったからだ。

更にずっと後のことであるが、時としてその怒りを抑えるため自らの躰を相手かまわず投げ出すのである。

母の久美をしてこんな出来事があった。
同窓ばかり寄り集まって（偶然集まっただけだが）飲み会をした時、男は未婚者ばかりだったが女はバツイチばかり。

その席でこの地区では比較的有名な交通量の多い交差点を自転車の前後に子供を乗せあらん限りの荷物を積んで勢いよく走り抜ける久美の話が出た。

ただしこの時点で自転車をこいでいたのが久美だと知られていなかった。

状況説明から久美はすぐのそれが自分のことだと分ったが・・

そんな女がもし同窓生に居たら・・とかなんとか話しが進み始め・・

途端に男連中に向かって得意のメンチが飛んだ。

この集まりは女たちが計画した。

同窓の女たちの目的はワンナイトで良いからとの逆ナンだったが話の流れから女をバカにした発言とわかり全員がキレたことは言うまでもない。

「あんたたちさ、誰に向かってそのクッソ生意気な口きいてると思ってんだよ！エッ」

「ふん、ろくな稼ぎもないくせに！いっちょまえにオンナを抱こうなんて了見起こすんじゃないよ！」

男どもは黙ってしまったがバツイチで子育てしようとすればそれぐらいやってのけなきゃ生きてゆけないというのが彼女らの持論だったのだ。

「文句あんなら〇〇呼んでやろうか？」
スジの名前だった。

彼女らはそろいもそろって久美と同様まともな家庭に育ったわけじゃなかった。

見栄えだけは良かったが、男選びの何たるかはもちろんのこと、自分と言うものを守り育ててくれる家庭の温かみというものを知らなかった。

尽くすだけ尽くせばいいと思って男の言いなりになって結婚した挙句、子供が出来たら途端に冷たくされ家から追い出された口だった。

独身時代は確かに好き放題とっかえひっかえし男遊びが出来た。

今日呼んだ連中はその折におこぼれにあずかれなかったシケた連中なのだ。

自分たちがコレと選んだ男たちなのだが、噂に聞くところの妊娠というものが怖く気を入れて行為にのめりこめなかった。

その点籍を入れるとそんな心配などどこ吹く風で、浮気にしろ旦那相手の閨にしろ芯から楽しめた。

恋い焦がれた相手と結婚したわけではなかったが、自分の身体も男根を求めていたこともあって一様に逞しすぎる男の躰に溺れた。

そして孕んで・・・ものの見事捨てられた。

捨てられないまでもいいように扱われ久美同様　日々生活苦に追われていた。

初めて初潮を迎えたその日、瑠美は姉と共に母の久美に呼ばれキッチンでゴムを手渡され、こう告げられた。

「いい、遊ぶのはいくら遊んでもいいけど子供だけは絶対作っちゃダメ！」

結婚しても決して子供は作らないようにとしつこいほどくぎを刺された。

望まれないで生まれてきた子の惨めさと、子育ての苦労を久美は我が子に向かってコツコツと説いたはずであった。

はっきりと言葉にして伝えなかったものの男を迎え入れてしまったら女の躰はどれほど性欲に対し弱いものかを教えようとした。

５歳年上のお姉ちゃんはこの時すでにある男の妾のようになって弄ばれていたからだ。

だがはたして、メンチを切ってしまった瑠美はその最初に面罵した男をなぜか迎え入れてしまった時、母の忠告を守ることなどできなかったことを悔やんだ。

自分だけ気持ち良くしてほしかったのに、突っ込まれたチ〇ポにいいようにあしらわれたからである。

お姉ちゃんは確かにお妾さんでAV動画を観ながらエッチに、ちゃんとした旦那がいるにもかかわらず、旦那が留守にすると耽る。

だが、それでも過去歴はせいぜいヒトケタだ。

それに比べ留美は見た目と実際は大違いで、丁度その日に当たると数本の棹を渡り歩いたりもするようなのだ。

普通の家庭では父親が果たしてくれる女の子に対する男の子の存在意義。

男が女を守るんだという認識は決定的に欠けていた。

平穏な家庭なら垣間見ることが出来る両親の牝を狩るとき牡がどのようなものに変容するのかという感覚をも欠落していた。

猫喫茶は好きだが、では日々愛おしんで世話をするかと思いきや、決してそれは出来ないのだ。

イケメンに入り口を手入れしてもらい、その気になり始めたらその後は巨根を次々とぶち込んでもらうような野獣の淫行的セックスが好きなのだ。

美貌と秀逸を併せ持つくせに信じられないほどのメンヘラ、男癖の悪さは望まれて生まれなかった子の代償に思えた。

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