逃避行の女 第四話 タイヤ交換のお礼

美紀さんもその例に洩れませんでした。鼻歌でも聞こえはすまいかと言うほどルンルン調子で玄関を入って来たんです。
洩れなかっただの見ただけでだのとはこの場合ちょっと違うような気がしたのは利用者さんや知佳だけではないと思います。そう、入るや否や埒もない告りが始まったんです。
恋がかなった。そのことをこちらから聞きもしないのに既に事務所の同僚はおろか、利用者さんである知佳の知り合いにも自慢げに吹聴して回ったのです。 そのことが如何にレスの彼女のアソコをキュンキュンさせたか測り知れました(笑)
利用者さんは週3回、朝・夕それぞれ1時間半の介護が市の福祉課より割り振られていて、それを6名が順繰りこなしていくんです。
ある日の朝、例によって例の如く美紀さんは利用者さん宅に少し遅れて来たんですが、悪びれるどころか満面の笑みを浮かべ入って来て開口一番・・・なんです。
「〇●さんのアドバイスのお陰でとうとう彼と会うことが出来ました」 と、玄関を入った直後にまずそのことについて報告を入れてきました。どうやらそれが今日の遅刻の理由のようでした。

そうしたら出るわ出るわ(笑) 下手に止めたりしなかったらどんなふうにエッチを楽しんでいるかまで話し出しそうな雰囲気でした。
「お礼ぐらいさせるものよ! でも、面と向かって礼ぐらいと売り言葉に買い言葉風に言い出したら相手は気分害するかもしれないから・・・」
そっと 「ベル番教えなさい」 は効いたようでした。
彼女は 「〇●さんにアドバイスされたように自分のだけ一方的にベル番教えちゃいました」 と、こうです。
その時の美紀さんときたら
「ベル番教えたら変な子とされませんか?」 おずおず聞いてくる彼女に
「それは大丈夫!だって美紀さんは相手の男の人の会社に出向き関係者にこれこれこうだと名乗ったんでしょ?」 「いくら彼が疎いからってストーカーするほど馬鹿じゃないと思うよ」 こういうと安心しきってその日はよく働いてくれたそうです。
この時はそんなにイタシタイなら相手から電話させたらいいじゃないという意味を込めアドバイスしたはずでした。
それを美紀さんはこれもコトのついでのご奉仕ととったようなのです。
案の定、その日の介護は全く介護にならなかったそうです。ルンルンは良い事に違いないんですが、恋したがゆえ男の肌や臭いに気もそぞろなんです。
そこで、これも禁止されてるコーヒーを淹れてやり気持ちを落ち着かせてから
「それで? 朝早くから何処に行ってたの?」 この質問は的を射ていたようでした。
「えっ それって何ですか?」 一瞬キョトンとした後に表情が変わっていく彼女へ
「だって、この前変な方向に向かっててパンク見つけちゃったんでしょ? なら今回もそのクチじゃない?って」
「別に変なことしてませんよ!! 彼にお弁当届けたついでに少しお話してただけだもん」 ヘンな人じゃなくれっきとした恋人と早朝デートを楽しんでたと言い張りました。
「んもう・・・朝からイチャイチャして来たの?そんなんで仕事になる?」
「大丈夫ですって・・・朝はお弁当渡すだけだから・・・」 第一通勤の時間帯に変なコトしてたら遅刻するじゃないと言い張る美紀さん。
そのお相手が・・・
聞けばベル番を教えてひと月近く連絡が入らなかったようなのですが、しつこくパンク修理した辺りを車で徘徊したら根負けしたのかあの場所である日待っててくれて、・・・ ついうれしくなって
「あれからどうなったのか、気になって気になって」 と開口一番弟想いの姉御のような言い回しでここに来たことを告げると
「あぁ・・・あのことか。 やっぱり修理できないって言われて・・・」 半ばふてくされた言い方してきた。
他のタイヤはしっかりアルミのホイルで決め込んでるのに、パンクしたタイヤだけオレンジの幅の如何にも狭い鉄わっぱ付けたままになっていたんです。
「それで片方のタイヤがスペアのままなんだ~」 呆れたがこれもご奉仕と思い・・・
ぐずる相手を宥め彼女が付き添って修理屋さんに車を持ち込み正規のタイヤを彼女が自腹で買ってあげたと言います。つまり埋火を消すべく付き合ってもらうための先行投資したようなんです。
現金なもので これで俄然彼の態度が変わったと言います。
この後彼女は彼に自分のことをバツイチでふたりの子供がいる独身と正直の告り、彼も告り返してくれたんですが、彼女が見込んだ通り彼は8っつ年下だったようでした。
この告りに彼女は心も躰も完全に火がついてその後何をやってたか覚えていないほどだったと語ってくれました。
彼女のリードで自然お茶に発展し、彼女の車でデートとなり・・・
それからそれから男やもめに蛆がわくの話しに発展・・・、それならウチ介護だし子供やウチのお弁当作るからついでにお弁当を毎日作ってきてあげようかと言うことになり、今朝も出勤前にそのお弁当を待ち合わせの場所まで持って行き手渡してきたと教えてくれました。
ある利用者さん宅を訪問する場合など、まるで逆方向なのにです。
アサイチに訪問する利用者さん宅は別として、彼女は必ずと言って良いほど必要もない事務所に立ち寄り、朝の服装から介護服に着替え、次の利用者さん宅に向かい、帰りはまたもや事務所に立ち寄り、艶やかな服に着替えどこかに出かけていたと他の介護者さんから教えていただいたんですが・・・その美紀さん
子供たちに 「最近急にお弁当の中身が立派になったけど何故? それにさ~ そのお弁当誰の?」 と聞かれたが、「頼まれたから」 と悠然と応えたそうです。独身なんだから誰と何処でどんなふうに関係持とうが自由でしょと言わんばかりに。
夕刻になると帰り路の何処かでその年下くんと待ち合わせ、空のお弁当箱を受け取るんだと。
だから介護だというのに介護職とは到底思えないような派手な服装着て来たんだなと。
それが本当なら良い話しだと思いましたが、一向にその先進展が無いように見受けられ、彼女が待ち望んでいる肝心のアレはどうなるんだと心配になったと言います。
本当にこんなことで彼女に春は来るんだろうかと一抹の不安を覚えたそうなんですが・・・
ある日彼女はまたまた介護だというのに、明らかに目立つネックレスをしてきたんです。
介護職は装飾品を身に付けてはならない決まりがあります。
この時利用者さんはピンときて 「今月誕生日なんだ。彼からのプレゼント?」 敢えてそれが5千円もしない安物だと言わず、いかにも似合う風褒め出所を聞いたそうです。
美紀さん応えて曰く 「彼が買って首に付けてくれたんです」 ときた。
一緒に買いに行ったら安物のイミテーションだとバレるから敢えて箱から先に出しておいて車の中かどこかでキスなどし、雰囲気を盛り上げたついでに首に付けてやったんだと感じ・・・
「ちゃんとお礼はしたんでしょうね」 と聞くと
「うん、したよ」 寒くなったから彼にはニットのセーターをプレゼントしと応えたが、その後は濁し・・・
「そんなものプレゼントして、他に彼女いたら捨てられるんじゃない?」 と聞くと
「出逢うときは何時も身に付けててくれるから、ウチはそれで十分」
またもや10倍近いプレゼントを手渡し気を惹いたようで、そのお返しがどうやらどこかの誰かに極秘裏に深夜の車の中で行われるようになったみたいで
「上手くやってるみたいじゃない」 年下くん相手に手ほどきしつつカーセ〇クスの入り口に差し掛かれたことを称賛してあげると
「うん、彼って意外と・・・上手いから・・・」 ほんのりと頬を染め
「これも〇●さんのおかげです」 介護に来て、それとはまったく関係ない大人の関係のアドバイスが良かったんだとおずおずとお礼を言われたそうです。
- 関連記事
-
-
逃避行の女 第五話 婚活弁当 2022/09/06
-
逃避行の女 第四話 タイヤ交換のお礼 2022/09/05
-
逃避行の女 第三話 相当のお人よしだった美紀さん 2022/09/04
-
テーマ : NTR 他人棒に欲情する女
ジャンル : アダルト
その他連絡事項
- 官能小説『知佳の美貌録「お泊まりデート」 彼のマンションから朝帰りする久美の次女瑠美』
- 小説『残照 序章』
- 小説『残照』
- 官能小説『ひそかに心を寄せる茶店の女店主』
- 官能小説『父親の面影を追い求め』
- 掘割の畔に棲む女

- 残照
- 老いらくの恋
- ヒトツバタゴの咲く島で