知佳の美貌録 「ママチャリ就活」 摩訶不思議な面接

ひとつめ、それははなっから正社員になれるなどと期待を抱かないこと。
ふたつめ、それは時間給の低さに苦情を言わないこと。
みっつめ、それは複数の仕事を掛け持ちで行うこと。
寝る時間さえも惜しんでふたつみっつと仕事を掛け持ちできれば時間給が安くても結果的に1日分の稼ぎに大差ないのだそう。
従って愚鈍な経営者にわざわざ頭を下げ高給な仕事にありつくなどということはプライドにかけてやらなかったんです。
雇い主とタイマンで話し、相手が逆に才能を認め頼み込んで来るなら仕事してあげても良いというのが久美流のやり方でした。
条件ばかり矢鱈付けるくせに中身がさっぱりだからです。
久美のやり方は募集記事に沿って片っ端から直接電話をかけまくり、面接してくれると答えた会社にソッコー自転車に乗って面接に押しかけるんです。
「もしもし、〇〇有限会社ですか? 人事募集見たんですけど」
「ハイそうです。 職安さんの紹介ですか? えっ 違う? 直接? わかりました。 直ぐに来られますか? じゃお待ちしています」
メインとして久美が見つけてきたのは給与+家計の足しになる総菜屋さんでした。
しかも募集要項を見ると、かつて仕事したことのあるデパート内での売り子だったんです。
売り場もさることながら売ってるものも売り方も、そして先輩方も良く知った上での面接申し込みでした。
「ごめん下さい。 先ほど電話したものです」 有限というからどんな会社かと思ったら何のことはない小さな町工場って雰囲気のところで、事務所ったってふたり入るのがやっとという広さ。
「あなたが〇〇さんね? 早速ですが履歴書拝見しましょうか」 小さいとはいえ応対してくれた女性はそれなりに久美を扱ってくれました。
「ところであなた、スーパーかデパートに勤めたことは?」
「はい、ここに書かれてるデパートの食品売り場のレジを臨時でやってました」
「レジって!? あの1階にある? それならウチの店良く知ってるわね」 知ってるも何も、かつては久美の方が立場上上役だったので よく今いる売り子さんに態度が云々と食って掛かってたんです。
「はい、大体のことは・・・」
「それなら話しが早いわ、向こうにはここから電話しとくから。 で、何時から出て来れるの?」 即決でした。
「はい、この後簡単な用事を済ませ・・・ 明日朝からなら」 デパートが引けた後、残った時間を別会社で稼ぎたかったんです。
「よく知ってんならだけど、ウチって制服無いの。 その代わりと言っちゃなんだけど・・・」
「わかってます。 エプロン持参すればいいんですね」 食品の、特に惣菜を小さな容器に分ける際、煮汁が気づかない程度飛び散るからでした。
メインの勤め先は思った通り県が定めた最低賃金に毛の生えた程度しか出せなかったんです。
そうと決まれば孝志さんに出逢ってサラ金に手を出した時から心に決めていたもう一社の面接を受けなきゃならなかったんです。
その仕事というのがパチンコ店の閉店作業でした。
深夜帯に約1時間仕事させてもらって千円というのが条件です。 他に比べれば破格には違いないんですが、一番のネックは年中無休なんです。 下手に休み続ければ他の人が入ってチョン。
やってしまったことを今更くよくよ考えてもしょうがないから取り敢えず自転車で面接に向かいました。
人事募集に書かれていた場所に飛び込みで出向いてみると、そこは雰囲気から言ってかなり妖しい造りでした。
「あの~ 人事募集を見て来ました」 ドアをノックし出てきた人に訪うと
「ふ~ん、まあ入ってよ」 小さな部屋に通されました。
覚悟は決めてきたものの、通された部屋の雰囲気からするとまるで素人奥様初撮りドキリなんです。
総菜屋さんの面接と違って履歴書なんて見ようともしないで椅子に腰かけさせジロジロ躰を見回すんです。
「で、何時から出て来れるの?」 唐突にそう聞かれあっけにとられていると
「仕事欲しいんでしょ?」 何時OKなのか返答を急いでくれと言わんばかりに畳みかけるんです。
雰囲気に圧倒され勘違いした久美は素人初撮りそのままに眼光に押されおずおずと股を広げました。
惣菜の面接を終えた後、闇業界に属するパチンコ店が控えていたので念のため着替えて来てたんです。
「解ってくれたんだね~ そうか、君にはひょっとしたら責任者になってもらうかもしれないからね~」 舌なめずりしながら近づいてきたんです。
覚悟を決めてきた以上、ある程度参考になるよう開いて魅せてあげました。
丁度その時隣室に通じるドアがノックされたので慌てて身づくろいし
「はい、今日からお願いしたいんですけど」 そう応え退室するのがやっとでした。
「向こうには何も言わなくていいから。 そうそう店舗は知ってるね。 あの店21時には閉店だから閉店5分前には集合ね」 送迎は無いから自分の足で向かえと背中に向かって言われ面接は終わったんです。
ひとつめの勤め口もそうですが、ふたつめもキッチリ相手が才能を認め頼み込んできたんです。
パチンコ店の閉店作業というからパチンコ店そのものが人を雇ってるかと思いきや、今回募集がかかってる店舗というのがさっき出会った人、つまりアタマをひとり雇い、久美たちはパチンコ店から支払われ上前をアタマがハネ、残りを面接してくれたそのアタマから直接受け取る仕組みだったんです。
道理でかつてサラ金関係でモメ、弁護士さんの御厄介になった時やり取りしたヤー公に似てると思ったら・・・そう、彼は近隣のパチンコ店の閉店作業の元締めだったんです。
総菜屋さんは朝の9時からの仕事ですから、それまでの時間もうひとつ仕事を入れておきたくて自転車で方々駆け巡たんですが、先ほどアタマに仕込まれ雰囲気が抜けないまま面接に向かっていたため読まれたんでしょう、とうとう雇ってもらえませんでした。
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