【知佳の美貌録】高原ホテル別版　艶本「知佳」

　ここが最も大事な部分なんですが、　意味ありげな風を装って近づいて来なければ男だってこれまで通り地味に暮らしていけるものを近づいて来られるからそこに何かあるんじゃないかとついつい勘繰った挙句叶わぬ恋をしてしまうんです。

　何故に叶わぬかといえば彼女らが近づいてきた目的は金品と労力目的で結婚とか、ましてやセックス目的ではないからです。

　嘆かわしいことに彼女らには既に履いて捨てるほど男がまとわりついていてセックスさせてもらおうにも空きが無い状態だからです。

　これは本来なら「高原ホテル」の題材なんですが

　同棲を経て結婚した留美は結婚の条件にマンション住まいをあげました。

　売り子で稼ぐささやかな収入も、出逢った男から貢がせたそれらもすべてきれいになるために費やしてきた留美だからこそ高貴に魅せる為マンションに住まうのが最低条件だと結婚に際し言い出したようなんです。

　相手の男も留美の見た目からも過去に相当数の男がいたことはうすうす感ずいていたにも関わらず可愛い子と結婚しセックスしたくこれを呑んだんです。

　しかもそのマンション、今年の春が更新日に当たっていて更に旦那の遠距離通勤のため借り受けた駐車場がある条件により廃止するとの通告を受け、それならと新築マンションを購入しようと留美が言い出し、とうとう旦那名義でお金を借り35年ローンで購入したそうなんです。

　抵当は旦那の実家の兄妹の遺産分与を当て込み借りたそうなんです。

　これってもしもですよ、留美が今のように派手に遊び歩いたにしましょう。　今はまだ怪しげな証拠写真が出てきても旦那は認めないでしょう。　しかし老いて先、いつまで潔癖に褒め称えられるかです。

　離婚となったら財産分与しなければならず、しかもマンション購入の負債はすべて旦那の肩にのしかかります。

　高校卒業と同時に結婚した留美の同窓生は子供が二十歳になるのを待って今ひそかに付き合ってる人も元に行くべく離婚を計画中です。

　蝶よ花よと迎え入れられ、子育てから家事まですべて旦那の両親がこなしてきたのに女として脂が乗り切ったこの時になって外の男のもとに走る。

　これを留美が真似ない筈はありません。　生まれも育ちもそうですし、今の生活だってそっくりなんです。

　なぜなら付き合ってきた男の数が、現在進行形の男の絶対数がはるかに多いしその同窓に比べ彼らと出逢う回数が比較にならないほど多いからです。

　よく言います。　あんな可愛い子が！　だからこそ売れるときに売りまくるんです。

　生活に困窮する母を看ようとはせず、ましてや独居老人で痴呆が入り始め明日をも知れない祖母など振り返ろうともしないんで浪費しまくるんです。
　
　お酒は飲ませてもらえずタバコも吸わせてもらえずたまにケーキの余ったのを食べさせてもらいベッドの脇の床に適当なマットを敷いてごろ寝してるような状態なんですから。

　おそらく留美の旦那は知佳の番組ご愛読の方々と違いエロ動画を観てヌクとか留美に強引に迫って中に出すとかは全くできないタイプだと思うんです。

　耐えている間に忘れてしまい、ひたすら言いつけを守って家事に仕事に駆け回り留美のためにお金を手渡すような生活を送ってるんだと思います。

　孤独死を目前に控えた女衒の家に生まれた薄幸な女。　留美もいつかはこうなると思います。

　三十路を過ぎたような女が今更信念を曲げるはずありません。　

　稼いだお金や貯めた体力は自分のために使ってほしいものです。

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