奥歯にモノが挟まったような夫婦関係 ~留美 賞味期限が切れ 四面楚歌となる~
留美は徹底的に後者であるにもかかわらずアラサーになっても生き方を変えなかったのです。 彼女を取り囲む人々は彼女の首に鈴を付けられない、逆に褒めちゃうものだから自分だけは特別と思い込んでいたフシがあるんです。 突然その現実を突き付けられたのが34歳を直前に控えたある日発表された転勤命令でした。
「知佳の美貌集 高原ホテル」 でも書いた通り留美は入社して間もなくから会社の顔、つまり宣伝に使われていました。 それが左遷の辞令が降りたんです。 つまるところ熱心に尻を追いかけてくれていた重役から袖にされたというわけなんです。
本社は彼女をリーダーに据えたことで随分売り上げを伸ばしました。 しかし売り上げを伸ばしたからと言っても所詮売り子です。 御大層な技術があるわけではありません。 店でも女で売っていただけなんです。 彼女の決定的な欠点は賞味期限を知らなかったに尽きると思うんです。
自己顕示欲は強いものの自己を振り返れない彼女はこうなってもその行動を改めようとしませんでした。 若年層はその若さだけで人を惹き付けます。 しかしアラサーともなるといわゆるケバいを用いないことには所詮中身を作ることを忘れて・・いや無視して女の、しかもアソコだけで凌いできていますので光りません。
かつて自分が社内で上にのし上がろうとしたとき、邪魔な上司を蹴散らす為どのようなことをやってきてたのか、あまりにもとんとん拍子で駆け上がったものだから忘れてしまっていたのです。
そう、彼女は例えば社内で宴会が催された時など、必ずと言っていいほど部長の隣に座らせられ御酌役を仰せつかっていました。 周囲のみんなが上戸彩似ともてはやし部長に御守り役を押し付けるものだからすっかり部長もその気になってくれていたんです。
その力を利用して売り場のお局様を次々と左遷させていったのです。
「みんなで楽しもうって時に上司が隣にいたら言いたいことだって言えないしね」 が口癖で 「だから集まりたいとき、自分たちだけで声かけあって集まればいいじゃん」 こう言いつつ宴会なるものを自然と隅に追いやり、やがて無しにしていったのです。
自分が中心になり気に入った男の子を交えた飲み会を催し、自ら女王様のようにふるまったんです。
その反面、職場では仲間の休日から勤務割りまで全て計画し、特に臨雇やバイトの必要性の有無にまで口をはさみ必要ないとみれば解雇を上申するほどにまで権限を有するようになっていったのです。 邪魔と言われた女の子の中にはこうやって左遷され泣く泣く出て行った子もいたんです。 しかし彼女は一顧だにせず、むしろ残った優秀と思える子らに向かって自分の人徳と威張ってみせたんです。 部長とすれば邪魔でしようがなかったんだと思います。
転勤を言い渡され支社に回されるとそこにはかつて自分が追いやった子が先輩格として待ち受けています。 今度ばかりは勤務形態はおろか、箸の上げ下ろしまで指示される立場に立たされたんです。 出たくない勤務日に出される。 責任者手当は無しにされる、昇給はもちろん期待できないなど冷や飯を食わされることになったんです。
そこにはかつての上司が自慢げに囁いてくれた 『独身を通し、遊びたいときだけオトコを呼び寄せ・・』 は夢のまた夢となったのです。 色褪せた元女王など邪魔でしかないからです。
こうなると仕事に行き詰まったとしてももう誰にも相談できません。 反動としてそれがケバいなりをして街を闊歩するに至り、旦那を利用すると言いましょうか金銭を引き出し男を部屋に連れ込んで・・・となっていったのです。
悪いことは重なるとよく言います。
このようにして良くも悪くも男を惹き込むマンションを手に入れた留美でしたが、突然このマンションを出なければならない事態に陥りました。
旦那がランクルを止めるために借りていた駐車場の持ち主が高齢となったため某国の連中に土地ごと売却しちゃったんです。 店子に何の前触れもなく、断りも入れずに某月某日までで閉鎖しビルを建てる工事に入ると告げて来たんです。
旦那は車が無かったら通勤できません。 そこで一計を案じた留美は間男が最も通いやすい賃貸してたマンションのすぐ近くで入居者募集をかけていたお買い上げマンションを旦那の名義で買ってしまったんです。
賃貸マンションより月割りにすると安く上がり、しかも少し広いそうなんですが、今回は最上階ではなく地上に最も近い階だそう。 35ローンは全て旦那の稼ぎに任せ、抵当はどうやら旦那の実家の旦那の遺産相続分を充てたそうなんです。
これまでと違い背徳行為を追及されたりすればそのまま追い出しということになりますが、少なくともマンションの未払い分については責任を負わなくて済みそう。
したたかと言えば確かにこれ以上ないほどしたたかで悪妻ですが、おこちゃま体型と言っても彼女ももう間もなくアラフォー。 更に一層体型が崩れ男が離れていくと思います。 そうなったとき果たして現状が維持できるのか。 もしも劇的変化が見られたら、これをお読みになられた方は気になるでしょうから後編をお伝えすることにします。
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Shyrock様からの投稿を読んでつくづく思います。
官能小説は様々あれどほぼほぼ現実にそう文体であり感心させられます。
流れが良いんですよ。 目をつむっていても情景が浮かんでくるような気がするんです。
知佳のブログの中で「美貌録」だけアクセスが伸びず対策にブロ友をと探し回りましたが現実の世界とはまるでそぐわない文章の羅列、あれを見る限りこのような文を愛読する人たちって余程世の中に対し不平不満を抱いてると思えて仕方がありません。
しかもその手の小説の方が圧倒的に人気を博している当たり書く方としても考えさせられます。 一般小説を読む人と官能小説とでは計り知れないほど隔たりがあるんですね。
探す方面と探す手法を考え直します。