官能小説『ただいま』 第9話 恋歌様作

た長い爪の指で、肉棒と下の双玉を無茶苦茶に握り締める――これはたまらない。男
ならわかる。
「痛い痛い!ごめんなさい!許して!姉さんが触るもんだから……」
「だからって、こんな事をして良い言い訳にはならないわよ!こんな…こんな…」
(もったいない!)
指の跡が残るほどのお仕置きであったが、被害者はともかく加害者にとっては意外
に早く終わった。涙目で股間をかばう弟は気がつかなかったが、この時、弟のミルク
を顔中に飛び散らせた姉の目の色が変わっていた――そうぬめった熱い朱鷺色に。
(いやだわ…あたし、こんなことでまた興奮している。顔にかけられるなんて、ひど
い話なのに…)
頭のどこかでそう思わないでもなかったのだが、欲情も二度目となるともう我慢で
きない。許せない思いをこの際、我慢してでも―――
「まったく、しょうがないわね。いつもいつもたまっているからそんな恥かしいこと
になるのよ!」
姉の主張には無理がある。ほぼ毎日こういうプレイをやって、最後には必ず弟は姉
の裸体の中へ存分に発射しているのだ。
「だから、外の汚らしい女までもいやらしく欲しがるんだわ。
顔中に飛び散った弟のミルクを指で丹念になぞりながら、姉は宣言した。
「ただし、甘やかしてるんじゃないからね。さっきの無礼の分のお仕置きはするわ
よ」
そう言って姉が命じたお仕置きは単純なものであった。もう一度勃起しろというの
だ。まあ、これからの二人には当然必要なことでもある。ただし―――
「手を使っちゃ駄目!」
今、たっぷり出した身としてはいささか辛い条件であった。
「それも今から“あたしが服を全部脱ぐ”までの間によ!いい!」
(ね、姉さん…)
ありがたいお言葉に弟は思わず涙が出そうになった。そこまで僕のことを気遣って
――感動する弟の前で、姉はシャツのボタンを外し、スカートのホックを取る。その
動きは奇妙に緩慢で――むしろ、たった一人の観客を煽るかのように淫靡ですらあっ
た。
姉は弟の目の前で短いストリップを演じてみせたのだ。
(姉さん――綺麗だよ…)
「ふん――」
シャツとスカートに続いてブラジャーが外れて短いショーは終わった。最後に現れ
た姉の双房は、意外なほど――言うと本人が本気でおこるほど――小ぶりであった
が、形はそう悪くはない。第一、たった一人の観客にそんな欠点など視野に入ってい
なかった。
「姉さん…」
「どうやら、間に合ったみたいね」
可愛いくらい感激する弟の股間には、もう十分なまでに――さっき以上に大きく固
くなった肉棒があった。それを見る姉の目が朱鷺色にぬめる。
「じゃあ、約束だからやってあげるわ。そこに横におなり」
弟は急いで命令通りになった。
「ふふん」
姉は素直に横になった弟の均整の取れた裸身をひとまずまたいで立った。その姿勢
のまま見下ろすと懇願するような目と抱きつきがいのある身体、そして最大限に硬直
し姉の慈悲を乞うように不安定に揺れている肉棒が一度に見える。素晴らしい光景で
あった。
(あたしの可愛いけんちゃん…)
しかし、姉も余裕を持っていられる状況ではない。またいだ股間の秘肉から、先ほ
どからだらだらと垂れていた愛液が、ちょうど弟の肉棒へとろりと大きな滴を落とし
たのだ。
(いつまでも可愛がってあげるからね…ずっと、あたしだけのものよ…)
「ね、ねえ…」
出来るだけあせらないように腰を落とし、弟の股間に座る。揺れるその肉棒を右手
で掴むとそのまま自分の秘肉にあてがい――するりと咥えこんだ。
「姉さん!」
「あ……」
そのぞろりとした感触が意外に大きく、思わず腿の力が抜けたのが姉の不覚だっ
た。自然に落ちた腰のせいで、一気に弟の肉棒は姉のとろとろの肉壺へ全部突き刺
さってしまったのである。
「あああ――――っ!」
今度上げた絶叫はまごう事無き本気のものだった。もちろん“お姉様”らしくはな
いが、散々じらしたあとだから、もはやプライドも精神力も姉の欲情した女体を止め
られない。弟がびっくりするような大きなあえぎを上げながら、壊れそうになるくら
いに腰を振る。
(い、い…いいっ!けんちゃん、いいっ!)
「…姉さん…気持ちいいよぉ…」
「あんたは動いちゃ駄目ぇっ!」
姉の“中”のあまりの気持ち良さに陶然とする弟に、厳しく命じて姉は腰を振り続
けた。自分が気持ち良いように動いているのだから、よけいなことをされては迷惑な
のはもちろんだが、それ以上に――この期に及んでも“姉の立場”というものがある
のだ。
そう、弟に“させてやっている”のであって、姉が“いかされる”わけにはいかな
いという事情が。
「どう?気持ちいい?」
「うん…最高だ…ずっとこうしていたい…気持ち良くて…もう――」
「い、いいのよ――健一。いっても…はやくいきなさい…」
「ん…でも、大丈夫。もう少しは耐えられる…」
(はやくいけっていってるでしょう!じゃないとあたしのほうが先にいっちゃうじゃ
ない!)
心の中の姉の絶叫は、弟には決して聞かせてはならない。かくして姉は自分の快感
と戦う最高の拷問を受けることになったのだった。
(は、は、はやく!もう、いって!いってよ!)
どれだけ時間がかかったか、夢中の姉弟にわかるはずもない。ただ、さっき思いっ
きり一度出した弟の方が条件的に有利であって、早く搾り出そうとする姉が必死で腰
をふるほど自分の肉壺の中の快感があふれんばかりにどんどんたまっていくのであっ
た。
「ねえ…気持ち良い?」
「うん…姉さんの中って熱くてきつくて…」
(そんな感想はいいから、早く!)
「我慢しちゃ…駄目ぇ…身体に悪いわ…」
「でも、なかなかすぐには姉さんのここには入れないんだし…」
「―――大丈夫…今日はサービスしてあげるから…」
「本当?じゃ、せめて姉さんも気持ち良くなるよう僕も頑張るよ!」
逆効果であった。
「い、いや…いやーーっ!あたしが、先に、い、いっちゃう…」
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