官能小説『ただいま』 第11話 恋歌様作

問を感じないまでもなかったが、まあ、考えてみれば誰でも全裸になる場所である。
“仲の良い”兄妹にとっては“うふふ”の空間であろう。まして、さっきから全裸の
妹がかいがいしくも兄の身体を洗ってあげようと言うのだから…
結局、兄はこの下心に負けたのであった。
「ぜーーんぶ洗ってあげるからね。お兄ちゃん」
そう言って兄の身体を洗い出した妹は、両手を一生懸命動かしながらも、意識して
裸体を摺り寄せる。泡一杯のボディタオルの刺激以上に、妹の木目細かく――熱くぬ
める肌の感触に兄は陶然となった。
「背中に前に足に…これで、全部終わりね。じゃあ――」
そして、ほとんど泡だらけになった兄に妹は優しく囁いた。思わず唾を飲む兄の喉
である。実はまだ唯一残っているところがあるのだ。それは兄のこ…
「ここは―――大事だから…加奈のお口でして上げる…」
言うなり、妹は兄の前に跪き、頭を下ろす――そのまま股間に顔を寄せ、その
可愛い口で、兄の――さきほど妹を半狂乱にさせた――肉棒をぱくっと咥えた。
「は…うっ!」
意外に可愛い声を上げる兄であった。
やってくれなかったのだ。兄には“今日はそれなのに…”という感動が入っているの
である。
(フ…グ!フモ…グ!)
感動の分、急に大きくなった肉棒に妹は目を白黒させたが、何とか我慢した。その
事にさらに感動する兄であったが、実は妹の事情は少し違う。
(見てなさいよ)
その決意に燃える表情を見れば何か企んでいることは明白である。だが、肉棒を大
きく口に咥えた姿勢では兄からは見れない。
「い…いいぞ…研究したな…そう――吸いながら舌を上手く動かして…先っぽを刺激
したら、次はボールのほう…」
気持ち良さに打ち震える兄に対しての妹の口淫は執拗に執拗に続けられた。いつも
ならすぐ“いや!”と言い出すところだが、今日は口が疲れようと顎がだるくなろう
と歯を食いしばって――いや、本当にこの状態でそうしたらたいへんだが――耐え
る。
そして―――
「あ…」
一度出したせいもあって粘った兄であったが、妹の努力と妹がしているといういや
らしさに、ついに爆発した。ビシャリ!と言う音ともに兄のミルクが妹の口中に叩き
つけられ、その濃厚な匂いが鼻孔から咽喉まで充満する。妹はそれら全てを一息に飲
みこんだ。
「全部飲んでくれたんだね…」
感極まって兄が囁く。とても本気で嬉しいらしい。その股間では妹が兄の肉棒をさ
らに舌で綺麗にし、ミルクの残りを吸い取っていた。
「加奈…お兄ちゃんは嬉しいよ。こんなことまでしてくれるなんて…毎日開発に努め
た甲斐があったというもの―――」
兄は妹を抱き起こした。抱きしめてキスをしようと言うのだ。しかし、そこで急に
股間から顔を上げて立ちあがった妹はその兄の手を払いのけた。
「なーーに、勝手なこと言っているのよ!中二の妹の処女を奪ってから毎日毎日ケダ
モノ三昧だったのを美化しないで!それより判っている?」
「え?え?ちょっと、加奈…」
「あたしが今度は“勝った!”ってことよ!お兄ちゃんだけが一方的にいっちゃった
んだからね!」
妹の突如の変貌ぶりに唖然とする兄であったが、ようするに妹は謀ったのである。
今までの“可愛くいやらしい妹”も艶技であり、“あまあま”で奉仕するふりをして
一方的な口淫に持ちこむ作戦だったのだ。
「そ、そんな…加奈。お兄ちゃんを心をこめて奉仕してくれたんじゃ…」
「よくもぬけぬけと!―――あ、でもそれ良いわ。今度のあたしの命令権はそれに決
まりね」
寝室のベットに戻った裸の妹は、同じく全裸のまま、まだどこか傷心の兄にサディ
スティックに宣言した。
「じゃ、舐めて!」
ベットに偉そうに腰掛けて足を組んだ妹である。兄はまだ良く理解していない。
「舐めるのよ。あたしがいつもやらされているみたいに、いやらしいところを犬のよ
うに!もちろん、あたしが良いというまでよ!
文句ないわよね?お兄ちゃんがいつもさせていることなんだし!」
呆然としたまま頭を下げ、兄はのっそりと妹に接近した。観念したらしい。いつも
自分がさせていることをするのだ。自分が気持ち良いわけではなく、許してくれるま
でどれだけ時間がかかるかわからない苦行を。
だが、まだ甘かった――妹は。
「駄目!キスはなしよ!いつもどおり身体の端から!上手かったらご褒美にさせても
いいけど」
「…はーーい」
兄は陰気に応え――突然、妹の身体を押し倒した!
「きゃああーーーっ!何するのよ!」
もちろん、妹はびっくりして悲鳴を上げる。ばたばた抵抗しようとするが、上を取
られてしかも抱きしめられているから思うようにはいかない。
「先にいったら言う事を聞くのは大事な“約束”でしょ!守ってよ、馬鹿ぁっ!」
「もちろん、約束は守るさ」
兄の唇が妹の耳元で囁いた。ふっ、と息がかかる。ぞくりとして一瞬抗議の止まっ
た妹に次の感触は予想外であった。
「い?な、なに…」
「身体の端からだろ?」
そう囁いた兄の舌は妹の耳たぶをゆっくりと舐めた。熱い粘液が薄い皮膚に塗られ
るように染み込む。初めての感触だった。
「う……う…」
予想した舐め技とはまったく場所が違う。“反則よ!”と叫ぼうとした妹であった
が、奇妙なくすぐったさと――ひょっとしたら“気持ち良さ”で声を飲む。こんなと
ころが性感帯になるとは思わなかったのに…
「あ…」
耳をたっぷりと舐め尽くした兄は、ほのかな快感に浸っている妹を確認してから
“にやり”と笑い右手に力を込めた。ほとんど脱力状態にある妹の裸身が簡単に裏返
る。
「え…?」
急にうつぶせにされた妹であったが、いやとは兄は言わせない。そのままその白い
うなじに口を寄せ、ゆっくりと舐めはじめたのである。
「ぉぉ……」
それだけでぞくぞくっ!と電流が妹の背筋から脳天まで走る。重要な場所以外への
こういう丁寧な愛撫は初めてだったが、じっくりと味わうそれは、まるで別種の、し
かし確かな“快感”であった。
「くぅ…っ!」
兄の舌は妹のうなじを唾液でたっぷりと濡らすとそのまま下がり、背中へ踏み入れ
た。そしてことさらにゆっくりと動き始める。まずは背骨から肩甲骨沿いに――次は
背中の筋肉の一つ一つを丹念に執拗に――そして愛情を込めて…
「…………」
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