官能小説『ただいま』 第12話 恋歌様作

づつ大きくしていくかのような燃え上がりかたに、わずかなうめきだけで耐える。感
じているのは事実だとしても、どこでもない背中を舐められているだけでこうなった
とは、兄に知られるのがたまらなかく悔しい――或いは恥かしかった。
(ど、どこでこんな技を――さっきの仕返しね…でも、あたし、このままでいってし
まうかもしれない…それは…それだけは…)
「さあ、次はお尻だ。それから腿から脚の先まで」
兄は妹の腰の辺りに吹きつけるように囁いた。背中一杯に広がった痺れあがる快感
に浸っていた妹の脳裏にわずかな理性が走る。
(それはつまり、まだ続くという事であり――まだ“しない”ってことで…)
「あ、あのね。お兄ちゃん…」
ようやく単語を口にした妹に兄は“ん?”と顔を上げた。あどけない顔である。し
てやったりと笑っているようには見えない。
「どした?加奈」
「あ、あの…もう、もういいから…」
「ええーーーっ!」
わざとらしい兄の声が妹には心底憎らしかった。
「まだ、いっぱい残っているのに!下も、それから仰向けにして前も!キスもおっぱ
いもお蜜さんも!――それなのにもういいっていうのかい?」
妹は自分でもびっくりするくらいの大声を出した。
「そんなことより――お願い」
「やれやれ。あせっちゃってもう――はしたないなあ、加奈は」
絶対、許さない!と妹が誓った台詞と共に兄は身体を上げ、うつ伏せの妹の腰を両
手で抱えた。そのまま腰だけを持ち上げる。牝犬のようなポーズを取らされた妹で
あったが、今更、抗議などできなかった。
「あああ。もうびちょびちょだ」
あくまで余裕をもって兄は後ろから、こちらもすでに十分に固くなっている肉棒を
恥かしい姿勢の妹の肉襞にあてがう。
「こんなはしたない妹に育てたつもりはないのにねえ」
「いいから!早く!」
「はいはい。ご命令とあれば」
“ずぶり”と兄の肉棒が突き刺さった。ほとんど抵抗がないくらいあっさりと。同
時に妹が悲鳴をあげる。それだけで今度の“勝負”は決まったようなものであった。
「あー―い、い、いいっ…も、もうお兄ちゃんの…かたくて――いっぱいで…」
さんざんじらされた火が一気に爆発した妹の裸体は、自分でも恥ずかしいことを叫
びながら、後ろからの兄の攻撃に荒れ狂った。自分の身体を満足に支える事すら出来
ずに顔をベットにこすりつけながらも、妹の腰は兄を求めて高く差し上げられている
のである。兄の攻撃がどんどん加速していったのも無理はない。
「あ…ああああああ――――っ!」
今度の絶頂も妹が先だった。再度の爆発に大きく痙攣すら走る。数秒遅れて、妹の
痴態に満足した兄も爆発した。
(もう――やっぱり…)
汗だくの裸体でベットに崩れながら妹は心の中だけで呟いた。
(―――お兄ちゃんにはかなわないわ…)
六○五号室――
「ただいま」
ドアを開けながら聖一は首をかしげた。鍵は開いているのに、部屋の中が真っ暗
だったからである。
「姉さん。帰っているの?どしたの?――あ、いた」
明かりをつけながら中へ入る聖一は、リビングのソファにうずくまる姉の恭子を発
見した。
「どしたのよ。姉さん」
見れば朝、大学に行った時のままの服である。膝を抱えるポーズからも姉がぐれて
いるのは判るが、いつもの“だだ”とは少しちがうようでもあった。
「ねえ。どうしたの?姉さん」
「せいちゃーーん…」
優しい言葉に恭子は夢中で弟に抱きついた。流れからも構えてはいた弟がしっかり
受けとめる。十六才の弟に二十才の姉の身体は決して軽いものではなかったが、聖一
は男の義務はしっかりと果たしたのであった。
「うんうん。大丈夫。僕がついている」
「せいちゃん…お姉ちゃんね――あのね、あのね――」
母は海外赴任で滅多に帰ってこない。よっていつも二人きりの姉弟で仲はとても良
い。ただ、精神年齢はほぼ逆転していた――清楚な美人の恭子は頭が悪いわけではな
いのだが、ちょっとぼけていて…
「どうしたの?何かあったの?いいから全部言ってご覧」
だから、あやすような弟もあやされる姉も二人にはちっともおかしな光景ではな
かった。
「今日ね。クラブの先輩がお茶しようっていうからね―――」
そして、姉は暖かい弟の胸の中でとんでもない訴えをはじめたのであった。
「――で、暗いお店に連れていかれてね。二人きりになったところで先輩がばさっ!
と――」
「な、なにーー!」
長い話をまとめると、恭子は大学の先輩にだまされていかがわしい喫茶店につれこ
まれたらしい。その先輩はそこで二人にきりになったとたんに下を脱いでいかがわし
いものを取りだし“舐めろ”と強制したというのだ。
「そ、そ、それで姉さん、どうした!」
「怖くなったから力一杯暴れて逃げてきたの」
「ああ、良かった」
あせって顔色を変えた弟はちょっと安心したが、怒りそのものは収まらなかった。
まったくとんでもない話だ。僕の大事な姉にいかがわしい真似をする奴がいようとは
!
「もう信じられない!学校じゃ優しい人だったのに!あんなことするなんて!」
「そうだよ。外は悪い奴ばっかりだからね。僕以外の男には近づいちゃいけないんだ
よ」
「―――うん。そうするわ。せいちゃん以外はもう絶対信じないことにする!」
「そうそう、男なんてのはみんな下心だけで動いているんだから」
世間知らずの姉に都合のいい教育をする弟ではあったが、同時にこの時、重大な一
つの決心をした。もう限界だ。このままではいずれこの穢れない姉が世の男共の毒牙
にかかり汚されてしまう。
だから、その前に僕の手で―――
「え?いやあ…何故服を脱がなきゃなんないの?」
実の弟に言葉巧みに寝室のベットに連れこまれた恭子は、そこでようやく弟の意図
が良く判らないままにも抵抗をした。
「姉さんが、今日みたいな目に会わないようにするためだよ」
「それは良いんだけど――だから何故、あたしが服を脱がなきゃなんないの?それに
せいちゃんまでなんで脱いじゃうの?」
「だから!今日のことも含めて姉さんが狙われるのは、男共が下心で…姉さんにいや
らしいことをしたいからなんだよ!」
「う…うん。せいちゃんがいつもそう言っているよね」
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