【知佳の美貌録】高原ホテル別版　艶本「知佳」服従より放浪を選ぶ

服従より放浪を選ぶ

　力関係は勿論、能力においても完全に負けてしまう女。　かといって漢や親、上司に従順に従う気にもなれない。　右はもちろんのこと左へも拒否の姿勢を貫き煙たがられたから自分の好きなように生きることにした。

　実に格好良い話しのように思えてただひとつ抜けているところがある。　それが努力無くして稼げるわけない無しの理屈。

　頑張れという言葉に従えなくなったから自分の好きなように生きることにしたとはいうものの生活してみて気が付いたのは同じ年代の漢に比べそのままの生活を続けようとしたならどうしても負ける。

　同じ格好…　いやむしろ昨日よりも今日、今日よりもその漢に比べ明日はもっと素敵な格好をと願った時、決定的に費用がかさむことに気づかされた。　親元を離れ…　いや、親を嫌って家出して御恵みペコリをやってみて初めてこのままじゃ生きてゆけないことに気づかされた。

　これではいけないと思いつつもプライドが邪魔して・・ではない。　知恵遅れが災いして引き返すことの必要性すら見いだせない。　が、しかし生活費は倍々に増す方向に、これまた知恵遅れが邪魔して自然と持っていく。

　そこで思いついたのが周囲の誰もがやっているパパ活。

　この不景気に信頼度も何もないどころか手が後ろに回りかねない、病気をうつしかねない、信頼性に欠ける女を誰が買う？

　誰にも極貧と気づかれずして質素に暮らすイコール食費を削るは生きる最低限まで削ってみたが性病は悪化すれどお金は貯まらず写メで釣っても脱いだ時のギャップが酷過ぎて今度は本当の意味において汚いものを観るような目つきをされた。

　こうして何時お呼びがかかるとも知れない名前が知れていない風俗へと追いやられた。　気ままには違いない・・と思いきや、意外と屁理屈が多い。

　結局言い争った後数日を経ずしてクビになった。　お客様は神様なんて行動はどうしても性に合わない。　誰の胤かもわからない子を育てるとなると尚煩わしいし下手なことをやれば今度こそ手が後ろに回る。

　下り列車に飛び乗るのは慣れっこだが昇る方法は考えてもみなかっただろうし昇る努力もしたがらない。　残るは公金頼み。

　政府は困ったら申し出なさいとは言うものの申し出た大半が門前払いされる。　国は吉原遊郭は廃止したからこういった女性を引き受け赤字国債を発行という訳にはいかない。

　だが世界にはこういった輩でも買う気になってくれる国もある。　平和裏に使って頂けるなら公金を払うより売ってしまうべきとの意見まで出始めた。

　先進国と呼ばれる中にあってとりわけ信頼性が失墜した今、パパ活で服従するより海外に向かって躰を張った放浪を選ぶべきではなかろうか。

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