【知佳の美貌録】高原ホテル別版　艶本「知佳」どちらの漢を選ぶべきか捨てた娘に意見を乞う母

どちらの漢を選ぶべきか捨てた娘に意見を乞う母

　夜逃げ (駆け落ちではない) をした母が漢選びに悩んだ挙句捨てた娘に問うてきた。　応える娘も娘だがこの女、夜逃げというからには正式に離婚届を出していない。　つまり不倫だ。

　選ぼうとしている一方の漢には妻子がある。　それなりの地位も名誉もある漢でお妾さんにどうかと問われていてオトコの機能にも惚れたが何と言ってもお手当てに惚れたというべきか。

　他方の漢は正式には離婚していないが自分の女になってくれたら離婚しても良いと言ってくれたらしい。　つまり籍を入れてくれるかくれないかは別として扱いは正妻に近い。

　女は夜逃げして以降何度漢を替えたか知れない。　その理由がつまり夫を捨てて漢の元に走った、ソレだ。

　そこで娘はこう応えた。　「優しい人の方が良いんじゃない」と

　女はお妾さんの方を推して欲しかったらしい。　女としての喜びをこちらの方が理解していてその方面のお誘いだからだ。

　娘がこう応えたのはもしも夫を捨てて漢の元に走った、それと同じことをこの漢に仕出かせば女はもちろんだが夫も腹に子供もいる自分もただでは済まないと思ったからだ。

　妻と離婚してが条件の漢なら多少のことは許してもらえると踏んでのことだ。

　どんなに言い聞かせても不特定多数を相手のいかがわしい行為を止めようとしない女を母に持つ娘。

　もう幾人「今度のヒトはどう？」と会いたくもないのに遠方に呼び出され会わされたか知れない。

　それも会うヒトごとに ”とてもまともとは思えない” 漢ばかりなのだ。　それもそのはずで、漢等は全て躰の関係で繋がってるだけなのだ。

　都会で独りで暮らさなければならないから躰も心も淋しいのはよくわかる。　だからといってその日その日漢を取っ替え引っ替えし娘に値踏みを要求するのもどうかと思う。

　それも反論したりすればけんもほろろに追い返されるが相槌でも打とうものなら小出し小出しながら自慢話に花が咲く。

　ある日こんな話をした。
「あんたは自分で原因を作っておきながら都合が悪くなると家族を捨てて逃げた。　残されたウチらがどんだけ苦労させられたかわかってるの？」
高利貸しから借りまくったうえに子供を保証人に仕立てるってどういう了見かと問うたが
「被害を被ったのはこちらであんたに迷惑かけた覚えはない。　悪いのはあの人」
呑んだくれの亭主が悪いんだと、こうなって尚言い切ったのだ。

　これについて散々言い争っておいて
「そっちがその気なら漢に合わせるなんて言わないことだね。　卑怯者が」
こう言い返すと
「誰があんたなんかに！　もう頼まん！」
ガチャっと電話が切れた。

　翌日登録していない番号から電話がかかって来たのでまさかと思って出ると案の定漢からだった。
「〇〇ちゃんかい？　知ってるだろうがあんたのお母さんにこちらは相当渡してんだ。　今更逃げるなんて…」
脅し賺して来た。

　肉欲に溺れ場の雰囲気だけで躰の関係を持ったが終わってみると思った以上に要求してきた。　それも今別の漢からアプローチされているからどちらにしようか迷ってる風な言い方をして金銭を要求してきたというのだ。

　しかも連絡が取れないと思ったらどうやらその漢と出逢ってしっぽり濡れているようだというではないか。　約束が守れないなら渡したものを返せと何の関係もないはずの娘に連絡してきた。

　何かあったらこの番号にと深い関係になりたくて、相手を信用させたくて漢に事前に教えていたからだ。
「あの女は勝手に家を出て行ったんだ。　もう縁もゆかりも無い。　もう一度電話を掛けたりしたら警察と弁護士に通報するからね」
弁護士の名前まで告げやっと諦めさせた。

　もうこれっきりではなかろうかと思ったのは早計で、何度忠告されても平気の平左で同じことを繰り返す。

　お金を工面してくれた漢が用意した部屋に棲み暮らしていたはずなのに連絡が途絶えた間どうしたんだろうと心配になって聞いみると、その時知り合った別の漢の元で今は暮らしてると平気でのたまう。

　雰囲気さえ良ければ簡単に漢を受け入れてしまうようなのだ。　漢は相手を便利な女と思っただろうが女から言わせれば漢とこそ便利な存在だったのだ。

　路線を外れ一度堕ちてしまった女程始末が悪いものは無い。　働かずして漢の血を啜るダニ。　恥ずかしいなどという言葉はそこには存在すらしないようなのだ。
　

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