官能小説『筒抜け』 第3話

「こっちから誘わないと駄目かも。」
晴美がそう言いながら風呂に湯を入れ始めた。湯の栓を止めると隣からも水音が聞こえていた。美佳も風呂の準備をしているらしい。
「じゃ、お風呂に入りましょうか。」
弘信の耳元でそう囁いた晴美が服を脱ぎ始めた。
「え、入ってる振りするだけじゃ駄目ですか。」
驚いた弘信が目を丸くして晴美を見た。
「無理よ。私、そんな演技できないし。貴方は俊樹になりきって。」
確かにお湯の中での戯れを演出するには実際に入るしか無さそうだった。二人で湯船に浸かると晴美が戯れて来た。前を握られ当惑する弘信だったが、声を出したり抵抗すれば隣の美佳に気付かれてしまう。晴美が無言でウィンクした。ね、今みたいな状況だったのよ、と言ってるようだった。
湯船の外で晴美が弘信に尻を向けた。晴美の気持ちに確信が持てぬまま弘信が宛った。入れた瞬間、ダクトから美佳の声が響いてきた。パパ、と呼ばれて弘信の動きが止まった。
「凄い、パパ、凄い。」
確かに美佳のあられもない声だった。
弘信はかなり慌てていた。誘われるまま一つになってしまったのだが、このまま続けていいものか迷っていたのである。久しぶりに絡み付くの女の感触が頭の芯にズンズン響いてくる。すぐ隣に娘がいると言う意識も弘信の興奮に拍車を掛けていた。
動かない弘信に、晴美が焦れたように尻を何度も突き出した。本気になっていいものか、弘信はまだ半信半疑だったが、段々晴美のペースに引き込まれて腰の動きを強めて行った。
「パパ、イク・・・」
ダクトから美佳の切なそうな声が聞こえてきた。その瞬間、弘信の自制が外れた。堰を切った熱い流れが晴美を満たす。晴美が満足そうに呻き声を上げた。
「ね、聞いたでしょ。」
リビングに戻った晴美が弘信の目をジッと見詰めながら言った。
「聞いたよ。まさか美佳があんなこと。」
「悪い気はしないでしょ、あんな可愛い娘に、パパ、イクなんて言われたら。」
「しかし、美佳の奴、本気で言ってるのかなあ。」
「バイブの音、聞いたでしょ。父親を思い浮かべてオナニーしてるんだから、結構本気だと思うわ。でも、バイブ使ったの、今日が初めてなのよ。もっと前に聞いてればオナニーだって気が付いてたのになあ。」
「信じられないよ。美佳のような若い娘がこんなむさ苦しいオヤジに抱かれたがってるなんて。」
「あら、弘信さんってむさ苦しくなんかないわよ。魅力的だと思うわ。」
「一つ聞いていい。」
「何。」
「さっき、本気で感じてた。」
「その位、言われなくても分かるでしょ。私ね、本気で感じると中が動くらしいの。」
「うん、動いてた。凄く良かった。」
「今晩、どうする。」
「さあ、まだ決めてない。」
「私はまだ帰したくない。あれじゃ中途半端で切ないの。」
「俊樹くんの留守に、いいの。」
「私も少しは考えてるのよ。このまま息子とずるずるしてちゃまずいし。あなた方のことが勘違いだって分かった今は尚更だわ。」
「今度は俺が美佳のことで悩む番だな。」
「そうね。うまくやらないと。」
「俺たちのことか。」
「うん。下手なばれ方したら、私が恨まれちゃう。」
「それは俊樹くんも同じだろう。いや、寝ちゃってる分、そっちの方がよっぽど深刻だよ。」
「言えてるわ。スケベオヤジあしらう方がよっぽど簡単。若い子、それも息子じゃ後が怖いなあ。」
「事の起こりは美佳の奴だよ。あいつに責任取らせるか。」
「え、どうやって責任取らせるの。」
「俊樹くんを晴美さんから引き離させるのさ。」
「うーん、美佳ちゃんなら俊樹も満更じゃないみたいだけど。でも、その前に貴方の方も何とかしないとまずいんじゃない。」
「何を。」
「美佳ちゃんはあなたに抱かれることを想像してあんなことしてるのよ。それに、美佳ちゃんには私たち親子のこと筒抜けだし。」
「何が言いたいんだ。」
「分かってるくせに。」
「俺が美佳と、ってこと。」
「うん。そうなればお互い五分五分になれる。」
「美佳となあ。」
「嫌じゃないでしょ。さっき美佳ちゃんが、パパ、イクって言った途端にイッちゃったじゃない。」
「分かった。」
「当たり前よ。男って内も外も単純だから。俊樹が修学旅行から戻ったら実行しましょう。私たちがこっちで始めるから、頃合いを見てあなたが美佳ちゃんのところに行けばいいのよ。声出せないから、きっと上手く行くわよ。」
「無理矢理する気は無いよ。」
「大丈夫。私たちのこと盗み聞きしながらオナニーしてる現場に踏み込めば言い訳なんか出来ないし、さっきみたいに、パパ、パパって言ってれば余計よ。あなたもこっちにいて、美佳ちゃんが始めたの確認してから行けば間違いないでしょ。」
「それだと俊樹くんが問題だよ。」
「あ、それもそうね。うーん。じゃ、携帯繋ぎっぱなしにして、こっちの様子があなたに聞こえるようにしておけば。」
「それならいいかも。」
「ところで、あなた、さっき平気で中に出しちゃったけど、もしかして。」
「うん。カットしてある。カットしたら随分強くなったよ。」
「あら、じゃあまだまだ出来るわね。」
「あと三回はね。」
「ひゃあ、壊れそう。」
そう言いながらも晴美が弘信の手を取って嬉しそうに立ち上がった。
「ベッドで、ね。」
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