プレゼントが処分品に代わるとき
治夫から見ても如何にも安物、つまりイミテーションを大事に仕舞い恐らくデートであろう時は必ず身に着け出かけた母がこの日はどういう訳か終活のような片づけ方をし始めた。
一部は何時の時代のものなのか訳が分からない、しかし高級な服を惜しげもなくゴミ袋に詰めていて、よく見るとその中に漢からプレゼントされたであろう例のイミテーションの数々をも忍ばせ封をしていた。
どうせ一時的なヒステリー、気まぐれであろうと見て見ぬフリし部屋に戻ったが、よくよく考えてみれば恐らく古いなりに高級な服は全て父からのプレゼントであろうしそうでないもの、例えばバッグなどは今回と同じように外で出逢った漢からの貢ぎ物であろう。 どういった理由かは知らないが過去を全て捨て去るつもりで処分に講じている? この際漢なんか・・風に思えた。 …となるとそうと知らないまま働き生活費を持ち帰る父は如何にも哀れである。
だが、路上で蹲った時駆け付けてくれた初老の漢にとって絶好の機会とも見て取れた。 処分した理由は恐らく過去を忘れ新たな恋に走ろうと思った… からではなかろうか風に思えたからだ。
きれいさっぱり女を捨て去った訳ではなさそうだ。 何故なら見るからにすべての行動が怒りに満ちていたからだ。 漢の言う 「君だけ特別」 は嘘でどうやら幾多の女に同じやり方で近づき持ってるものを全て吐き出させてきたようだ。
(…だよなあ、独り暮らしなんて貢がせるための嘘っぱちで実はちゃんと家族がいたんだ)
治夫は母が何だか訳の分からない凝った料理を作り家族に提供するのではなく持って出る姿に以前から疑問を呈していた。
(親爺相手に夜な夜な頑張ってたのは漢に貢ぎたかったソレが澱のように溜まり苛立ってたからなんだ)
疲れ切った躰に鞭打ち母を諫めようとする父との行為を治夫は何か恐ろしいっものでも見るように覗き見していたが、母が瘧のように全身を震わせ逝き始めると存在を悟られぬよう足音を忍ばせ自室に戻りセンズリに没頭したが…
今にして思えばあれが学生の頃想い描いていた同窓女生徒の真の姿。 彼女らは漢に弄ばれた母のように丁度その時オンナを自己の中に閉じ込めることが出来ず諸先輩方に、今母が親爺に向かってやらかしているように阿っていただったんだと気づかされた。
(それじゃあ何のため俺は大枚を叩いて風俗に通ったんだ!)
母と同じかそれ以上の怒りが込み上げてくるのが自分でも分かった。 遠回しに告るなんてことは金輪際やるまい。 やりたいときは直球勝負だと言いかけて止めた。
(…そうだよなあ~ あんな汚れ切ったアソコに俺のモノ挿し込んだら病気になるぜ)
よくよく調べ、病気じゃないと分かってからでも遅くないと思えて来たのだ。 なぜならばセンズリで処理すれば漢というものは簡単に気持ちが切り替わる、そなるとそうするのが一番安上がりで健康的だと思えたからだ。
抜き終えた治夫は急に空腹を覚えた。 漢に走り始めたからというもの母のなお美は家事ですらまともにこなしていない。 夫から託された生活費のほぼ全てを漢に貢いでいて彼女の得意な総菜を買って来てただ並べる… などということさえ手を抜くようになっていた。 従って治夫はこのところ口にするものと言えばインスタント・ラーメンが関の山になりつつあった。
なお美はそれさえ気が回せず目の色変えて身の回りのものを全て袋に詰め両手に提げ家を後にした。 残された治夫は家中探し回りやっと凡そ2年前に賞味期限が切れた桃缶を見つけそれを食べることで飢えをしのいだ。
腹立たしいのは両親の治夫に対する仕打ちだ。 父親は妻が何をやらかしているか知っていて何やかやと理由をつけ食事を外食で済ませ家路につく。
母親は持ち出した品物を売ったお金でその場限りの贅沢をし家路につく。
互いに遅くなって帰って来て顔を合わせるものだから心の内で相手に対し疑いをかける。 それはそのまま深夜に至って夫婦和合となり翌朝になって母のなお美は息子の部屋に出向きそこに覗き見の痕跡を見つけ更なる欲情… とわけだ。
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tag : 近親相姦
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