嫉妬がらみのおもてなし
最初は女壺の中を確かめるようにゆっくりと動いた漢が、じきに腰を動かすスピードを速めた。
「んっ! あう! くっ! んん!」
穿たれる度に乳房が大きく揺れた。 肉の襞が擦られて気持ちがいい。 静かだった波が大きくうねり始め嵐の大海に放り出され海獣に呑み込まれ揉みしだかれているようだ。
「そろそろいけ!」
ひと時動きを止めた漢が密着している腰のあわいに指を入れ肉の豆を弄んだ。
「んんっ!」
すぐになお美は絶頂を極め打ち震えた。
「よし! もっといけ!」
肉の豆から手を離した漢はなお美の腰をがっしりと掴んでグイグイ腰を打ち付けた。
「ああっ!」
次に来た大きな波に呑み込まれ、なお美はブルブルと太股を震わせ倒れそうになった。 バーを握っている手に力が入らず床に崩れ落ちそうになった。
漢の動きが止まり屹立が抜かれた。 白濁駅が洗い場の床に滴り落ちる。
ふうっと大きな息を吐き漢はなお美の肩からシャワーを浴びせた。
「せっかく湯が張ってあるんだ。 入るぞ」
漢はなお美を抱きかかえるようにして湯船に浸かった。
脱衣籠にはピンクのネグリジェだけでなく純白のシルクのショーツも用意されていた。
漢の愛人がここにこれを置きに来たのなら、浴室での漢との行為も気づいただろう。 なお美は現実に立ち返り困惑した。
「見ろっ 新品だ。 あいつからのプレゼントだ」
「やっぱり…… わからないわ」
なお美が呻くように言った。
「何が?」
「どうして怒らないの……?」
女なら当然の問いだ。
「うん?」
「私とあんなことをしても…… どうしてあの人は怒らないの……?」
「まだそんなことを言ってるのか。 あいつもなお美のことが気に入ってるからだ。 起きてすぐに運動したら腹が減った。 喉も乾いた。 行くぞ! それとも素っ裸のままテーブルに着く気か?」
なお美は慌ててショーツを穿きネグリジェを着た。
リビングに入るとコーヒーの香りが一層濃く漂った。
「用意してくれ」
漢の声にキッチンから愛人が顔を出した。
「おはようございます。 トースト、すぐに準備します」
テーブルにはサラダや出来立てのスクランブルエッグ、野菜の炒め物などが並んでいる。
「私の分まで…… すみません」
「あいつと儂だけ食べるわけにはいかないじゃないか」
漢が笑った。
「コーヒーにはミルクと砂糖はどうする?」
「ブラックで……」
三人分の朝食を眺めたなお美は、漢の愛人はどうして漢と、彼女ではない別の女が近くで男女の行為をしていることを許せるんだろうと、不思議でならなかった。
そんなことを考えながらコーヒーを飲んでいると焼き立てのトーストが運ばれてきた。
「お腹がすいたでしょ? うんと召し上がってね」
優しい言葉を投げかけてくれるが、その言葉の裏に隠されているものがなんであるかわかるだけに、なお美はまともに愛人と目を合わせることができなかった。
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