熟女の誘惑

佳純の旦那が憤るのも無理ない。 隼人と我が妻が乳繰り合うところを仕入れから帰って目撃してしまっていた。 そのことを口にできなかったのは佳純に心底惚れぬいていたことと、店を出すにあたって連帯保証人にさせていたこと。 今の生活を壊したくなかった。
隼人と佳純の情事が終わり男が出ていくと、彼は余程部屋に乗り込んで妻を糾弾しようとした。 その思いを必死で飲み込むことが出来たのはその男も今では貴重な顧客だったからだ。
散々迷った挙句、旦那は隼人の後を追った。 そうして行き着いたのが佐川邸。 隼人と入れ替わりに妙齢のご婦人が家から出てきた。
「あっ、あの女……」
旦那が驚くのも無理はない。 旦那にはふたつの顔があり、そのひとつが覗き見だった。 佳純が店の常連客を奥に惹き込みやらかすであろうことは結婚当初から予想できた。 だから仕入れを終わり帰り着き奥の間から人の気配がしたときピンと来たのだ。
覗き見が趣味になってしまったのは、彼が女の秘密を知るきっかけとなったのが人妻と間男との逢瀬、カーセックスだった。 隼人の母、聡子こそがその折若い男相手に車内で情交を重ねていた、その人にそっくりだった。
佐川家の息子であろう男に妻が寝取られている。
(ひょっとすると、こいつをネタに強請れるかも知れない)
店では隼人と名乗っていた佐川家のこの男を問い詰めれば、あるいは先ほど見た母親であろう女を抱けるかもしれない、と思えた。
旦那に尾行されていたなどと、考えも及ばなかった隼人は意気揚々一杯飲み屋の前を、それも旦那が仕入れから帰って九r時間帯を見計らい仕事の合間を縫って通った。
「お仕事お疲れ様」
待ち構えていた旦那に声を掛けられた。
「ああ、こんにちは。 お店の開店準備ですか?」
顔を見知ってもらったというより、奥さんを寝取ってやったという特異さから下目線でこう応えた。
「お陰様で、どうです?今夜も。 ウチのやつが待ってますから」
旦那は愛想よく応じてくれたが、通り過ぎようとした隼人はギクリと足を止めた。 その旦那、口元は確かに笑っているようで目は座っていたのだ。
「ええ、翔太のやつに聞いてみて行くようなら一緒に伺います」
呑みに行くときはいつも一緒だったので、招きにそのまま応じたつもりだった。 ところが……、
「ウチのやつは隼人さんに来てほしいみたいですよ」
ずばりと言ってのけられたのだ。 果たして旦那にコトがバレていないかどうか、佳純に訊くにしても下手に出向けば手足の一本も折られかねない。
「支払いはいつも折半で、呑むのは翔太、俺は出されたものをつまんでるだけなんですが……・。 でも、実際料理を作ってるのはあなたなんでしょう?」
誰もいない店内に引っ張り込まれ追及でもされたら、うっかり白状してしまいそうな雰囲気に思えた。
「悪いが別に日にしてくれないか。 今仕事中なんだ」
何とか振り払おうと、それだけ言うと今来た道を引き返そうとした。
「今度お宅に伺いますよ。 隼人さんのご家族にお会いしてお礼も申し上げなきゃいけないし」
逃げるようにその場を立ち去る隼人の背に向かって旦那は意味ありげな言葉を投げかけた。
(まさか、あの男本気で我が家に……・とすると狙いは母か……)
有り得ないことではなかった。 あの後尾行されてるとしたらとっくに自宅は知ってるだろうからだ。 しかもその日、母の聡子は入れ違いに家を出て行った。
(寝取りには寝取りってわけか……)
隼人はこれまで何かにつけ困ったことがあれば母に相談し母を持ち出した。 まさか他人様の女房を寝取ったとも言えないので相手の望む通り母の聡子を連れ一杯飲み屋に立ち寄った。
開店直後の店内に入ってみるとカウンターには旦那しかいない。
「いらっしゃいませ、おふたり様でしょうか?」
いつも翔太と一緒だから、後から来るとでも思ったらしい。
「いえね、良い店があるからと今日は母を誘ったんです。 母なら吞めるけど俺はからっきしダメだから」
適当に飲んで酔ったから先に帰るとでも言いつくろえば、そこから先のことは万事母がうまくやる。 そう思いながら注がれるままに飲み続けた。
「お母さんはいけるくちなんですね。 お酒でよろしいんですか?なんでしたら水割りもご用意できますが」
「大丈夫よ。 ビールは近くていやだけど、アルコールならお酒でもウィスキーでもどちらでも」
相手をしてくれたのが長身でイケメン、しかも年下であることから聡子のピッチは速かった。
「こんなものしか供せないんですが、良かったら時々お越しください。 せいぜい良いものを仕入れときますから」
亭主はまさかに獲物の聡子が自分から飛び込んできてくれたことですっかり女房が寝取られたことなど忘れサービスに努めている。
だが、待てど暮らせど肝心の佳純は一向に姿を現さない。 母をここに誘った理由を切り出せないまま隼人は酔いが回りついに先に帰る旨口にした。 母独り店に残すと、あれほど隼人にしつこく詰め寄った亭主のこと、後が心配だったが酔いと脅迫観念には勝てなかった。 この齢で会社を首になりたくはなかった。
「お願い、乱暴はやめて……目的は何? お金? いくらほしいの?」
聡子は震え声で言った。 そこは店の奥にある夫婦の寝室である。 聡子は呑んでる途中もよおしてきたのでトイレの場所を訊いた。 その場所を亭主は下心あって店のトイレではなく自宅の扉の方を案内した。 覗き見するつもりが気が変わって襲い掛かってしまったのだ。
「金ですか。 世のかな万事カネでカタが付くわけないですよね。 特にある人物に関しては」
ここでやっと亭主は息子 隼人の名を口にした。
「やめて……ウチの子が何をしたっていうの?」
息子をかばい懸命に亭主を押し返しつつ聡子はウチの子に限ってと、こう言った。
「ウチの子? 奥さん、あの方とは母と子だけの間柄なのかい? もっと他にあるんじゃないのかい?」
聡子の乳房をグッと掴んで亭主は言い放った。 聡子は亭主を足元にひれ伏しながら睨み上げてる、しかし一切抵抗を試みない。 母子相姦を覗き見されたような気になったからだ。 だが亭主はまだ妄想の段階でものを言っていただけだった。
息子の隼人のことを臭わせる発言に聡子はすべてを悟ったのか、それともこれが彼女の性癖なのか、亭主の目から見れば観念したように見受けられた。 亭主は更にもう一方の手を聡子の太股の間にめり込ませた。
「本気で、あたあしを〇姦するつもり?」
太股の間に割り込ませた手を花弁に向かってずらそうとした亭主に、聡子は言い放った。
「〇姦? 邪魔者が消えてくれたのを機にちょっとご挨拶程度肌に触れただけで奥に案内をと申し出たのはあんただぜ。 なのに〇姦はないだろう?」
亭主としてここは開き直るしかなかった。
「何もあんたとこうなりたくてトイレの場所を訊いたんじゃないわ。 なのに奥に通ると待ってましたとばかりに無理やり押し入ってきたんじゃない。 完全に〇姦よ、これは……」
「訴えるかい」
「さあね……、でも、さっき口にしたこと、全部忘れてくれたら一度ぐらいあんたと寝てあげてもいいわよ」
「流石に破廉恥奥様だな。 ここまで男の手を受け入れておきながら取引を持ち掛けるとは……」
亭主はこう言い切ると、半ば強引に花弁に指をめり込ませた。
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