長編官能小説 『クロス・ラヴ』 第46話 (最終話) Shyrock作
再びクロスラヴ
だからと言って4人の間に新たな恋が芽生えた訳ではない。
だけど今までの友達感覚とは少し違う気がする。
強いていうならば『友達以上・恋人未満』とでもいうのだろうか。
それでもありさと球にそして俊介と浩一に不安はなかった。
彼らには今まで培って来た厚い信頼感があった。
もちろん将来にわたっても絶対壊れないとは断言できないだろうが、少なくとも現時点でその信頼関係は揺るぎないものであった。
とりわけ今回の小旅行後、ありさと俊介、そして球と浩一それぞれの愛情が一層深まったといってよかった。
昔からぜんざいを煮る時に少々の塩を加えることが美味さの秘訣といわれている。甘いものに塩を入れる。一見無茶なように思われるが決してそうではない。微量の塩を加えることによって、その塩が一種のスパイスのような役目を果たし、一層うまみを引き立てることができるのだ。
つまり今回のクロスラヴは、ありさにとって浩一が、浩一にとってありさが、球にとって俊介が、俊介にとって球が、それぞれが『塩』的役割を果たしたわけである。
もし彼らの行動が世間に知れたら、不道徳な行為だと白い目で見られることもあるだろうが、4人は臆することはなく自分たちを信じていた。
球「にゅう、浩一?」
浩一「なに?」
球「この前の湘南の旅行楽しかったね」
浩一「うん、ドキドキしたけどとても楽しかったよ」
球「また・・・しようか?」
浩一「また・・・って、例のクロスラヴか?」
球「うん」
浩一「でも旅行からまだ1ヵ月経ってないよ。あんまり頻繁にするのもどうかと思うんだけど」
球「いや、別に無理にとは言わないんだけどね。もし良かったら今週末ありさも空いているみたいなので、4人でラブホに泊まろうかな、って思ったの」
浩一「球?」
球「なに?」
浩一「おまえ、俊介に惚れた訳じゃないよな?」
球「ばか!何を言ってるのよ。あれはあくまでプレイよ。わたしの好きな人は・・・」
浩一は球をじっと見つめた。
球「浩一だけだよ」
浩一「そうか。じゃあ、やろうか」
◇
その頃、ありさもまた俊介に同様のことを尋ねていた。
ありさ「にゃう~ん、今度の土曜日、また4人で泊まろうよお~」
俊介「おっ!あれからまだそんなに経ってないけどいいのか?」
ありさ「にゅう~・・・俊介、すごく嬉しそうねえ?もしかして球を好きになったんじゃない??」
俊介「それはないよ。オレが好きなのはありさだけさ。でも、オレたちの愛を深めるためならクロスラヴは賛成だよ」
ありさ「うん、じゃあ、決まりだねえ。球に電話しよお~っと」
ありさ「球?土曜日、俊介もOKだよ~。場所はどこにする?」
球「取り合えず渋谷に集合しようか?それから・・・」
◇
2度目のクロスラヴを体験した4人にまもなくバレンタインデイがやってきた。
しかしその日は4人で集まることはなかった。
それぞれがそれぞれの場所で愛を確かめ合った。
<筆者後記>
筆者は読者の皆様に決してクロスラヴを奨めるものではないが、たまにはこんな恋があっても良いのではと思ってる。
生涯浮気などしないで、ひたすら1人の人を愛し続けられたらそれが一番良いのだが、人間は強欲な生き物なのか、時として浮気の虫を起こすことがある。(もちろん個人差はあるが)
だけどこそこそと浮気をするのは神経をすり減らすことになり精神衛生上良くはない。それに恋人(または伴侶)とのトラブルの原因にもなるし、さらには信頼関係にひびが入ることもあり、運が悪ければ破局への道を転がり落ちていくことになる。
それならばいっそのこと、互いに認め合って気心の知れたカップルと相互に“ラヴ”することが、恋を長続きさせるための一服の良薬となるかも知れない。
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コメントの投稿
お礼
お忙しい中、長期にわたり連載いただき、ありがとうございました。
厚くお礼を申し上げます。
ありさちゃんや球ちゃんもきっと喜んでいると思います。
Re: お礼
「人妻あや 悪夢の別荘地」におきましても、
よろしくお願いします。
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