四畳半での謝礼 ~愛着障害者を食い物に~
次期若頭の呼び声高い戸田竜二が口にしたのは、この種のモノを扱う業界が血眼になって探しているブツのようなのだ。
中谷哲也が偶然、公園内で発せられた悲鳴に吸い寄せられ駆け付け、格闘に至ったその相手の戸田竜二はこの時、情報を元に公園内の廃墟に出向いていて間違いを起こしチクリをフイにしていた。
時代とともに愛着障害者、つまり男根が無いと生きていけないと思い込む女が増えており、戸田竜二はこれらの女が持参するお金を抱き賃と称し巻き上げていた。
その中のひとりが、あの公園内の廃屋で気持ちよくさせてもらえる風な言い回しを、コトが終わり余韻を楽しんでいるであろう時間帯に口走ったのだ。
「なんだワレは、儂のコレよりそいつが盛ってくれるブツの方がええっちゅうんかい」
凄んで見せると、慌てて取り消した。
戸田竜二も多少なりともヤクを扱っている。 その手の情報なら自分が上だと自負していた。 狸のフグリと異名を持つほど立派なナニを持っていたからだ。 当時はまだ、上納金のほとんどを狸を使って稼ぎ出していた。
実際問題、若頭を目指すほどのものが自慢のナニと得体のしれないヤクなるものと比較されたのではたまったものではない。
その時は、せっかくの情報を自尊心が邪魔しフイにしてしまっていた。
公園で格闘し、狸のフグリどころか馬のソレに近いほど腫れあがったにもかかわらず、当然相手の漢にしがみつくだろうと諦めてかかっていた女が、どういうわけか自分に付き従って逃げ出し、しかもその時の続きを求め介抱方々倍以上に腫れ上がったナニを跨いできた。
この時の竜二は落とし前が頭から離れず、狸のフグリが
「コイツ…儂と会う前、ヤッテやがったってことか…」
代紋とゼニが全ての戸田竜二にとって、恥に違いない素人衆相手に殴り合いを演じ、一方的に負け、タマを取られるかと覚悟したが何故だか見逃してもらえ、かつ、負けたはずの自分の方が良い思いをさせてもらえたというのに、商売の根源である愛着障害というものが、ここに至ってもまだ理解できなかった。
出来ないからこそ、邪魔ものが入ったが蹴散らしたと仲間内には、殊に女どもには嘯いた。 負けたなどと言えば、アレ目的に通ってきている女どもが、挙って勝った相手の方にお世話になりになだれ込んでいくからだ。
戸田竜二は女どもを小馬鹿にしてる。 してはいるが、感極まって打ち込む瞬間の、あのギュンと突き抜けるような感覚だけは避けて通れなくなっている。 だからこそ、畠山あかりの行方を血眼で追っかけていた。 疼痛で、とても飛沫どころではないはずなのに、ちゃんと極限まで追い込んでもらって飛ばすだけは飛ばしたのだ。
理解でき…いや、させられたのは上層部から寄越された使いの者の一言でだ。 功績はお前にも分けてやるから上納金を寄越せと言われたのだ。
「でっ、 ブツは一体どこに」
相手は恐らく上層部からの使いであろうと分かっていたからこそ問うたが、相手は知らぬ存ぜぬを押し通し、ただし、上納金の金額と納める期日だけはなんとも臭わせぶりな言い方をし、薄笑いを浮かべ帰っていった。
「儂に探せえ…てか」
公園の外れにある廃屋でドジを踏んだことなど、これっぽっちも口走るわけにはいかない。 できうることなら、その現場に手下を差し向けたくはなかった。 コトがバレでもしたら、親父に、いや、上層部に知られでもしたらエンコ抓めどころでは済まなくなる。
「あの時の女を仕込んで訊き出せば、或いは…」
いつもこうなのだ。 手下は四方八方に散り、忍者よろしく隠れ忍び、漂流物を見つけるべく遠方から双眼鏡を使い海岸線を睨み据えてる。
一方竜二は、ではいったいどの女が口走ったのか、それさえ定かでなないのに今日も、片っ端から呼び出しをかけ狸のフグリで嬲っては訳の分からない喘ぎ声に耳を傾けていた。
女どもも、呼び出された以上持つものを持って馳せ参じねばならず、さりとて狸のフグリが欲しくないかと自身に問うと、身悶えしたくなるほど欲しくてたまらず、ライバルの女どもに先んじようと資金集めに躍起になっていた。
A married woman who feels sexually excited
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アップデート 2024/02/21 12:45
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