ありさ CONVERSATION Shyrock作
「わっ、なんだ?やぶから棒にその過激な質問は」
「だって知りたいんだもの」
「それはだな~」
「うん」
「その昔、男と女は一体の完全体の生き物だった」
「へぇ~そうだったの」
「ところが、完全体である人間の力を恐れた神様が、その身体を引き裂き、男と女という不完全な生き物にしてしまった」
「まぁ、ひどいことを……」
「遠い昔、引き裂かれた我が分身をさがし、互いの身体の一番薄い粘膜で繋がろうと試みた」
「ぃやぁん……なんか想像するぅ」
「キスをして、セックスをして、我が分身を求め、そして一つになろうとした」
「あぁん……もうダメ……」
「だから、だよ」
「……」
「あれ?なんで俺をじっと見つめてる?」
「だってだって」
「ん?」
「一つになったら困るもん」
「なんで。俺と一つになりたくないのか?」
「なりたくない」
「はっきり言うな」
「だって一つになったら、たかしと恋ができないんだもの」
「じゃあ自分の中にいるたかしに恋すればいいじゃん」
「なるほど、その手があったか」
「変なところで納得すんな」
「でもたかしとエッチできないから、やっぱり困るよ」
「ふうむ、やはり話はそこに落ちつくか……じゃあ聞くけど、どうして俺とエッチしたいんだ?世の中にイイ男がいっぱいいるぞ」
ありさ CONVERSATION Shyrock作
「急いで来てと言うからチャリンコすっ飛ばして来たのに、なんか落ち着いてるなあ」
「息切らしてるじゃん。そこまで必死にならなくてもよかったのに」
「なんだよ、急がせておいて。で、なに?」
「実はね、ローション買ったの~」
「なんだ、ローションか?」
「な~んだ、はないっしょぉ~?」
「だって保湿しなくても、ありさは肌ツヤツヤじゃん」
「たまには嬉しいこと言うねぇ」
「けっこう言ってるつもりだけど」
「でも勘違いしてるよ。顔につけるローションじゃなくて、お風呂で使うローションだよ」
「おおっ!おおおおおお~~~!」
「なんか大げさなだな」
「風呂のローションってことは、もしかしたらありさといっしょに風呂に入れるってこと?」
「そうだよ」
「いくら誘っても『お風呂は一人でゆっくりと入りたいの』とか言っちゃって全然いっしょに入ってくれないのに、今日はいったいどう言う風の吹きまわし?」
「今女の子の間で静かなブームになってて、とにかく気持ちがよくて入浴するだけですぐにイッチャうんだって」
「ん?入浴するだけでイケるんだったら、俺いなくても一人でいいんじゃね?」
「そんなイジワル言うんだったらもういい!一人で入るもん」
ありさ CONVERSATION Shyrock作
「昨日、どうだった?」
「大したことなかったよ。なんかつまんなかった」
「どうして?」
「もう、超感じ悪い奴がいてさぁ、楽しむどころじゃなかった」
「Z大のコンパだろ?」
「大学生なのに、酒は飲めない、カラオケはヘタクソ、女の子の前で堂々とシモネタ話す、おまけにキス魔までいたもん」
「だから行くなって言ったのに……」
「だって、だって!」
「それに、ありさ、その『チョ~なんとか』って言葉遣い、どうにかならんのか?」
「いいじゃん」
「よかない」
「なんで?」
「なんだか頭痛くなるんだ。まあ、やめろとは言わないが……」
「ふ~ん。ね、それよりさ、この間、代官山で素敵な男の子を見かけたの!」
「……で?」
「今、探してるんだけど、なかなか……」
「目の前に彼氏を置いて言う台詞か?」
「カレシ?誰が?」
「ありさ、最近、意地悪くなってきてないか?」
「だってぇ、誰かさんがデートに誘ってくれないんだも~ん」
「金欠、ガス欠、おまけに時欠だから、仕方ないだろ」
「なに?ジケツって?」
「時間が無いんだ。大体、俺がバイトしながら勉強してることくらい知ってるだろ」
「苦学生ねぇ」
「ありさ、よくそんな言葉知ってるな」
「ああ~、バカにしたなっ」
「ああ、バカにしたよ。第一、お前バカじゃん」
「うう……」
ありさ CONVERSATION
<登場人物>
野々宮ありさ
渋谷のアパレル販売員。19歳。163センチ。趣味は映画鑑賞とセルフネイル。たかしとは付き合い始めて2年が経過。おおらか、楽観的、人懐っこい、ちょっとおバカキャラ。
河津たかし
大学3年生で21歳。コンビニでアルバイト中。176センチでやや痩せ型。趣味は写真撮影と旅行。バイト先のコンビニで客のありさと親しくなり交際に発展。涼しげな瞳ときれいな鼻筋が特徴。
第1話 彼氏いるのにコンパに行くの巻
第2話 ローションバスで大興奮の巻
第3話 セックスする理由の巻
※ 「CONVERSATION」とは ――― 会話すること
小説文章には「文語」と「口語」があります。文語は文章を書くときに使われる言葉です。これに対して口語は会話をするときに使う言葉のこと。
この物語は全てこの「口語体」で書かれています。
その他連絡事項
- 官能小説『知佳の美貌録「お泊まりデート」 彼のマンションから朝帰りする久美の次女瑠美』
- 小説『残照 序章』
- 小説『残照』
- 官能小説『ひそかに心を寄せる茶店の女店主』
- 官能小説『父親の面影を追い求め』
- 掘割の畔に棲む女
- 残照
- 老いらくの恋
- ヒトツバタゴの咲く島で
アップデート 2024/02/21 12:45
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