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官能小説『蛇の毒』 第1章 蛇に噛まれて

益荒男様 作

官能小説『蛇の毒』


この小説はShyrock様のご許可を頂き掲載しています。

しゃがみ込んで 夏の昼下がり、栄治は木陰の隠れ家でうたた寝をしていた。ようやく高校も夏休み
に入り、昨日から信州の山の家に姉の靖子と二人で来ているのである。山の家と言っ
ても別荘などとは程遠い、たった六坪の小さなもので、屋根裏が寝室として使われて
いた。トイレは外の別棟、風呂はドラム缶を利用した五右衛門風呂で、家から少し離
れた庭先に置かれている。
 敷地だけは広かった。値段に釣られて栄治の父親が千二百坪の山林を坪五千円で購
入したのである。千二百坪と言っても平らな部分はせいぜい二百坪。残りはやっと降
りられるかどうかの急斜面が谷底の小川まで続いている。おまけに北斜面なので値段
が安かったのだろう。二百坪が六百万で残りの斜面はおまけ、そんなところだ。そう
は言っても、斜面の坪数は平地に換算するので実際の地表はかなりな広さである。土
地を衝動買いして建物を自力で建てるまでは熱心だった父親も最近は殆ど来ない。一
番よく利用しているのが栄治と姉の靖子だった。
 裏の斜面は栄治には格好の遊び場だった。ひとたび斜面を降り始めればそこは周り
から完全に隔離された別世界になる。斜面には一抱えもある楢やクヌギ、山桜等が生
い茂っていた。
深い森の上に北斜面だから下草は殆ど生えていない。この斜面に栄治
は丸太の切れ端で階段を付けて下の小川まで降りられるようにした。いずれは下の河
原にもドラム缶風呂を据えようと思っている。この斜面を上り下りしての風呂の水汲
みは若い栄治でも結構しんどいからである。
 この隠れ家は子供の頃のターザンごっことは訳が違う。三本の太い楢の木の幹を柱
に利用した東屋で、屋根も杉の皮で葺いてある。壁は細い枝を籠のように編み、床に
は丸竹を並べて垣根を結ぶ黒い縄で一本一本結わえてある。その床を支えているのが
何本もの太い丸太。大人が十人以上乗ってもビクともしない。材料の丸太は全て敷地
に生えていた木を切り倒したもの。竹も麓の農家が間引いているのを見て貰ってきた。
杉の皮も材木屋の処分品を格安で譲って貰ったものである。素人の手作りとしてはな
かなかの出来映えである。
 それだけではない。初めて見た人は皆一様に小屋の高さに驚いた。三本の楢の木は
ちょうど小川の真上にほぼ正三角形にせり出している。栄治は小川から二十メートル
以上高いところにこの小屋を造ったのである。斜面途中の太い木の枝まで一旦梯子で
登り、そこから水平に掛けられた二本の丸太を渡って中に入る。アマゾンの地上数十
メートルには及ばないが、栄治のイメージはまさにそれだった。小川の上はいつも涼
しい風が吹いている。真夏の昼寝には打ってつけの場所だった。
 山小屋には栄治よりも先に姉の靖子が来ていた。九つ歳の離れたこの姉は現在大学
院に通っている。人付き合いが下手で、会社勤めは無理だと判断した親の意向でそう
なった。幸い成績の方は全く問題なく、すんなりと入れた。卒業後も出来ることなら
このまま大学に残りたいと本人は言っている。
 靖子が車で来ているので買い物に不便は無かった。何しろ一番近くの店まででも五
キロ以上、歩いて買い物に行ったら往復二時間はたっぷり掛かってしまう。スーパー
まで行くとなればバスを使っても一日仕事だった。
 何となく騒がしい声に栄治が目を覚ました。はっきりとは聞こえないが、どうやら
姉が何か騒いでいるらしい。放っておこうと思ったが、それにしては切羽詰まった声
のような気もした。
 「なーに。」
 栄治が耳を澄ませた。
 「栄治ぃ、助けてぇ。」
 今度ははっきりと姉の声が確認出来た。
 「今行くよぅ。」
 どうせ大したことではない。車の鍵を付けたままドアをロックしてしまったとか、
そんなたわいもないことだろう。それでも栄治は立ち上がり、丸太の橋を渡って斜面
に降りた。
 「何騒いでんだよ。」
 斜面を登りきって家の前まで行くと靖子が花壇の前にしゃがみ込んでいた。
 「何、用って。」
 振り向いた靖子の顔が真っ青だった。口の端から涎が垂れ、目が吊り上がっていた。
 「どうしたの。具合でも悪いの。」
 栄治がちょっと心配顔になった。普段から冗談を言ったり人をかつぐような性格の
姉ではないのである。
 「へ、蛇。」
 「蛇ぃ、蛇に噛まれたの。」
 靖子が首を何度も振った。
 「どこ噛まれたの。」
 靖子が下を向いて小さな声で言った。
 「言えないとこ。」
 「言えないとこって、まさか、ここ。」
 栄治が自分の股を指さした。靖子が顔を真っ赤にして頷いた。
 「うーん、急いで病院行かなきゃ。もしマムシだったら大変だよ。」
 「脅かさないで。」
 「その辺でお し っ こでもしたんじゃないの。」
 「うん。」
 「とにかく、真っ先に毒を吸い出さなきゃ。」
 「無理よ。こんなとこ口が届く訳ないじゃない。」
 靖子は言ってしまってからハッと気が付いた。
 「栄治なら吸えるけど、そんなの死んでも嫌。」
 「俺だってやだよ。とにかく医者行こう。車、運転出来る。」
 「無理よ。足が震えて止まらないの。」
 「弱ったなあ、電話もないし。」
 靖子は珍しく携帯を持っていない。本人が必要ないと言って買わないのである。栄
治は同級生も皆持ってるからと親にねだったのだが取り合って貰えなかった。電話代
も払えないのにと言われて返す言葉が無かったのである。
 山小屋にも電話は無かった。と言うより電気すら来ていないのである。一番近い人
家でも一キロ以上離れている。引くとしたらかなり高額の負担金を払わないければな
らない。だから灯りはロウソクと灯油ランプに頼っている。煮炊きはカセット式の卓
上コンロだった。
 「ねえ、昔、バスガイドさんがやっぱり大事なところ噛まれたんだって。恥ずかし
いからって我慢してたら手遅れになって死んじゃったって。そんな話、聞いたことあ
るよ。」
 「変なこと言わないでよ。」
 靖子が泣き声になった。
 「ねえ、毒、吸い出した方がいいかなあ。」
 靖子が消え入りそうな声で言った。
 「だと思うよ。グズグズしてると体中に回っちゃうから。」
 靖子が立ち上がり、へっぴり腰で家の方に歩き始めた。
 「栄治も、来て。」
 家に入ると靖子が椅子に腰掛け、栄治に向かって脚を開いた。
 「どうなってるか見て。自分じゃ見ることも出来ないから。」
 「手鏡、無いの。」
 「持ってない。」
 「しょうがない、じゃあ見てやるよ。」
 栄治が近づいてスカートを捲った。靖子は両手で顔を隠している。
 「どこ。」
 靖子がパンツの上に指を当てた。それはちょうど股の真ん中だった。
 「パンツ脱がなきゃ、見えないよ。」
 「やだ、そんなことしたら見えちゃう。」
 「だって、見るんじゃないの。」
 「そうだけど。」
 「だったら脱ぎなよ。」
 「でも。」
 靖子はなかなか決心が付かなかった。そんなところを弟に見せたくない。でも噛ま
れたところがどうなっているか心配でたまらないことも事実だった。
 「分かったわ。」
 靖子が唇を噛んで下着に手を掛けた。
 「見たなんて、誰にも言っちゃ嫌よ。」
 「言わないよ。」
 パンツを下ろすとさすがに恥ずかしいのか膝をピッタリと閉じてしまった。
 「これじゃ同じだよ。」
 「わ、分かってるけど。」
 ようやく靖子が膝を開いた。そこには申し訳程度しか毛が生えていなかった。栄治
がじっと覗き込んだが、見ただけでは分からない。下着には何カ所が血が滲んでいた。
噛まれたことは間違いないようである。
 「ちょっと分からないなあ。痛いとこ指で教えて。」
 靖子が恐る恐る指で示した。
 「ここと、ここ。この辺もちょっと痛いかな。」
 それは合わさった唇の部分だった。真ん中が盛り上がって突き出ているので噛みや
すかったのかも知れない。
 「ちょっといい。」
 栄治が指先でその部分を押した。
 「やだ、触らないで。」
 靖子が文句を言った。
 「触らなきゃ分からないよ。ほら、押したら血が出てきた。少なくとも二カ所に牙
が入ってるね。」
 「やっぱり噛まれてたんだ。どうしよう。毒、入っちゃったかなあ。」
 「分からないけど。どうする、吸い出す。」
 「それしか無いんでしょう。我慢するから吸って。」
 「分かった。」
 栄治が靖子の前に跪いて顔を寄せて行った。恐る恐る唇を突き出してその部分に吸
い付く。
 「ああ、」
 靖子が何とも言えない声を上げた。
 吸っては唾を吐き、吐いてはまた吸う。栄治がそれを繰り返す。最初は混じってい
た赤い色が殆ど目立たなくなってきた。
 「痛い。」
 栄治が顔を上げて聞いた。
 「ううん、そんなに痛くない。」
 「念のためもう少し吸っておくね。」
 靖子がさっきから尻をモジモジと動かしていた。栄治に吸われた唇のような襞が厚
ぼったく膨らみ、左右に開いたその中がねっとりと濡れていた。栄治はそれに気付い
たが何も言わなかった。
 「もういいかな。」
 ようやく栄治が顔を上げた。
 「ところで、噛まれた蛇、憶えてる。」
 「チラッとしか見てないけど。」
 「どんな色してた。」
 「薄茶色だったと思う。確か黒い縞模様があったわ。」
 「どんな感じに。」
 「横の方に、頭から尻尾の方まで黒い線があったような気がするわ。」
 「丸い模様は。銭形って言うか、輪っかみたいな。」
 「そんなの無かった。」
 「オレンジ色とかの模様は。」
 「それも無かった。とにかく黒い線だけはよく憶えてる。」
 靖子が脚を開いたままの自分に気付き、慌ててスカートを下ろした。
 「その蛇、マムシじゃないと思うな。」
 「じゃあ、何。」
 「オレンジ色の模様も無かったみたいだからヤマカガシでもない。縞蛇だね。」
 「それって毒蛇。」
 「ううん、とっても大人しい蛇だよ。」
 「間違いない。」
 「うん、間違いないと思う。縦の黒い縞模様が特徴なんだ。」
 靖子がガクッと肩の力を抜いた。
 「じゃあ、大丈夫ね。」
 「うん。でも化膿するといけないから、薬、塗っておいた方がいいよ。」
 「良かった。」
 靖子がホッと胸を撫で下ろした。次の瞬間、靖子の目がまん丸に見開かれ、栄治の
顔をきつい目で睨み付けた。
 「だったら、毒を吸い出す必要なんて無かったんじゃないの。」
 「最初から縞蛇だって分かってればね。」
 「もう、最初に聞いてよ。お陰で変なところしっかり見られて、おまけに散々しゃ
ぶられちゃったわ。」
 「人聞き悪いなあ。そんなこと言うんなら、もう面倒見て上げないよ。」
 栄治がほっぺたを膨らませて出て行った。



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ジカメ やんちゃ 伯父さん スジ 昇龍 鉄火の女 業界でも一目置く 度胸 刺青 組を抜け 黒ずんだ襞 大きめの突起 二束三文 戦中戦後 遊興に耽った 守番 二輪車 エッチ 女が男に跨って 質素倹約 希少価値 パックリ割れた襞 身体がピクンと震え 透明な密が溢れ 固く張りつめた粒 書画骨董 文化遺産 耳たぶを軽く噛み始め 重苦しい沈黙 アワビの踊り焼き 腰を屈め 写真で見慣れた景色 あの部分を連想 黒い姿 卑しき女衒 嫌らしい動き ヌメッとした感触 黒々として 名前だけ旧名 見せしめ 大量のTシャツ 御歳暮の申し込み 同様旧態依然のやり方 麻美の茂み 和姦 駄菓子屋 10円程度で買える菓子 裸のまま布団に 女の子の視線 クッキリ入った溝 女中が気を利かせ 二組の布団 その部分のドアップ 肩越し 身体を観察 黄金色 墓地脇 つかの間の安息日 藪蚊に食われ 改宗 墓参り 廃慕・墓じまい 痴態 

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