四畳半での謝礼 ~危険極まりない漢との恋愛遊びに耽る妻~
それは漢遊びには違いないが、ただの漢遊びではない。
美貌を武器に慎悟の心を射止めはしたが、それもこれも相手が裕福なればこそ。 結婚以前もそうなら結婚後も、逃げられては困るので亭主が強く言い出せないことを良いことに、いろんな男に誘われ、お付き合いと称し飲み歩いた。
だが、ここに来てお酒をただ飲むというのも飽きたし、かといって愛だの恋だのをそこから先進む気も度胸もないくせにやたら使って誘いかけて来られるのももうんざりだった。
五十路を過ぎている。 それこそ随分長い間歓楽街をうろついてきたので、水商売の漢に声を掛けられ、愛を囁かれたりお金をねだられたり、挙句の果てに騙されたりなどということに慣れ切っている。
周囲から多少なりとも大人と認められるようになった年代には音羽も、行き交う漢の甘い言葉をささやかれ、たちまちその気になってしまっていた。
結婚し、しばらくは大人しくしていたが、なにせ夫の慎悟ですらも言葉に気を遣うほどの美貌。
かといって音羽は外派ではない。 立派な大学は出たものの、引っ込み思案で人間関係はあまり得意ではなかった。 夫が焼くような漢関係は、ほんの数えるほどしかなかった。
笑えばそれなりに可愛いのだが、緊張のあまり人前ではいつも顔を引きつらせており、気が付けば距離を置かれてしまっている。
だから夕暮れ時の街角で、お酒に酔った複数の漢に囲まれ恋を囁かれたりすると、もうそれだけで全身がしびれるほどの恍惚感に襲われた。
そう、ある年齢に達するまではそれだけで十分だった。
それが何時の頃からか、そういったやり方で誘われると、子宮の奥がキュンキュンするようになり、じんわりと暖かみが宿るようになり、腫れぼったさを自覚するようになり、そのうちトロトロした何かが奥の方から膣口に向かって流れ落ちるような感覚を覚えるようになっていった。
(イヤだわ。 気づかれないかしら)
せっかくシャワーまで浴び、万全の態勢で出かけて来たのに、下着が汚れたとなると気が滅入る。
「よう、どうしたい。 何処か痛いところでもあるんか」
家ではどこかが痛かろうが発熱してようが、情け容赦なく夕食はまだかとか、お風呂は沸いてるのかとか訊いてくる。 そこへ行くと女をナンパしようというだけあって、漢どもの態度は違った。 自分こそが王子様たれと擦り寄って来る。
そうやって知り合った漢のひとりにしつこく迫られるようになり、根負けし、ふたりっきりで遠出するようになっていった。 男と女に関係に至るまでに、そう時間を要しなかった。
後で訊けば、彼は集団ナンパされ、口説かれてしばらくすると、魅惑的な香りが漂い始める。 いってみれば音羽の躰の変化に気付いて誘いかけてくれたようなのだが、彼女とすれば純粋な恋だと信じ、何時の頃からか車のガソリン代はおろか、食事代からラブホ代まで全て出し、挙句プレゼントまで言われぬ前にポンと差し出すほどになっていた。
付き合った当初は、旦那以外にこれほど多くの裕福な漢どもがいたのかと、びっくりさせられたものだが、なんてことはない、一介の労働階級の漢が音羽は裕福な家柄の妻とみて、後々集れば良いと先物投資をしていたのだ。
音羽にしてみれば、相手の漢は自分からお金を巻き上げるため付き合っているのか、それとも根暗な性格を正すため付き合ってくれてるのか、皆目見当がつかなくなってしまっていた。 それを見極めるため、なお一層注ぎ込んだ。
A married woman who feels sexually excited
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アップデート 2024/02/21 12:45
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