ギャンブル喫茶のオーナーに拾われて

知佳的な感覚からいえばギャンブル喫茶に出入りする人たちはそれ以前、パチンコのファンだったんじゃなかろうかと思うんです。 パチもそうなんですが、訪問者が勝った時だけ派手に言いふらしてくれる。 それにつられて餌を与えてもらってない奴らが集う。 勝つ目的は様々あります。 純然たるギャンブル狂ももいればオンナを買うお金を得たいという客もいる。 この店主はその双方から利益を吸い上げるため彼女を雇おうとしたんだと思います。

見つかったというより桂子自身を先方が見つけてくれたのだ。
その就職先が隣町と思えるような場所にある喫茶店だった。
ギャンブル喫茶などという店を開こうとするものは職安に人事募集をかけたりしない。
痛くもない腹を探られるのがイヤだからだ。
桂子に目を付けたのはひとつは喫茶に勤めた時期が当時17~8であるとはいえあったから、ふたつめは桂子が出逢い系にはまっていたから・・・に他ならない。
現代の喫茶はモーニングにランチ、スイーツなどがメインでコーヒーの善し悪しなど二の次、純然たる思考の場だ。
ところがこの時代の喫茶は未だ水系に属していた。 コーヒーを飲みながらジャズを・・・聴いたようなフリをしたものだ。
田舎のおっちゃんなんか、普段煎茶番茶の類しか飲ませてもらえないものだから「コーヒーは文化」などとのたまう。
おっちゃんらの真の目的はオンナの下半身にあるのにである。
桂子が誘いに乗ってノコノコとギャンブル喫茶に現れたのは ともすれば男連中が下半身を狙ってくれるやもと思ったからに違いはない。
相変わらず変なところに登録しまくっていて、しかも収穫無しで、出逢い系を使ってチンケな男を誘うより手っ取り早く抱いてもらえるかもと皮算用したからである。
ともあれ勇んで出かけた。
位置関係で言えば桂子たちが暮らす街を中心に周囲に村々が点在するが、喫茶店はちょうどそれらの村に通ずる街道の分岐点のようなところにあった。
地名は○○市○○町となるのだが、実際の位置関係で言えば隣村の中にあるといってもよいほど閑散とした地区だ。
それが証拠に喫茶店の前は国道が走っていてゴーゴーと賑やかだが、喫茶の裏には2~3軒の民家、更にその脇は線路で、線路の向こう側は広々とした田園が連なる。
もちろん、国道の反対側 (喫茶店の前隣り) は同じような家並みだが市ではなく村だ。
そんな場所に喫茶店を開業して、はたして儲かるだろうかと、この話が持ち込まれたときに桂子は不安を感じたが、桂子を雇おうとするオーナーは時間帯によっては客が込み合って応対に困っているからと、いかにもというような理由で雇い話しを持ち掛けてくれたのだ。
誘ってくれた男は旦那と年恰好が似ていた、似ていたというより旦那よりひとつふたつ上じゃないかと思われるような男だった。
それでも一応面接みたいな恰好をと、桂子は数日躊躇ったのち店を訪ねた。
久美がよく忠告してくれたことを肝に銘じ、めいっぱいめかし込んできた。
だが待てど暮らせどその付近に喫茶に入ろうとするような人は歩いていなかった。
場所が何処なのか訪ねようにも、第一村人発見!に至らなかったのである。
口頭で言われた地区に行ってみてもそれらしき建物も、看板すらもない。
しばらくオロオロと探し回ると、最初に車を止めた国道わきの一見鉄骨製2階建て風の工場みたいな集合住宅の一角の入口の扉だけが重厚な木彫りのドアになっていて、その他の家の玄関は引違のガラス戸だったことに気が付いた。
ひょっとしてと、おっかなびっくりノックし入ってみた。
入ってみて驚いたのが店内はスナック風のカウンターと、反対側にずらりと並ぶ、当時流行のギャンブルマシンの列、客というのは違法ギャンブルに群がる地方のお百姓さんをはじめとする地主連中のたまり場だったのだ。
喫茶である証拠に、ちゃんとしたランチメニューだのコーヒー、お酒などを、かつてはメインで提供していたらしくて古ぼけたメニューなるものが置いてあった。
ギャンブル喫茶を始める前は近隣近在の住民が集う食べ物や飲み物専門の喫茶&スナックだったと教えてくれた。
それをギャンブル台を導入したことで表から台や顧客が見えないよう扉を替えたんだと言った。
それで見た目は開店している喫茶にみえなかったんだと、初めて納得した。
これらの点について
田舎のおっちゃんたちが利用する喫茶に、自宅の納屋を改装(ただ単に壁にベニヤ板を張り洋風に見立てただけ)した俄か喫茶なるものがあって、彼らは足繁く(あししげく)通う。
だから入り口は知る人ぞ知る、一般家庭の玄関の引き違い戸(中古のサッシ)が取り付けてあるだけで表から喫茶であることはうかがえない。
彼らのとって隠れ潜んで何かをやらかすことこそ文化なのだ。
口説き堕とすのは喫茶のママ(農家のおばさん)であったり、桂子のように期待を込め出入りする女性客であたりする。
どこかの誰かがのたまうように、彼らのとっても 片田舎であっても不倫は文化なのだ。
マスターでは強面で客が寄り付かなくなるから桂子を雇おうとしたんだと教えてくれた。
桂子にこの店の将来を託したいんだと囁いてくれたのである。
この時には、これが罪深い罠にはまることになるなどとは気が付かない桂子だった。
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