四畳半での謝礼 ~同等な立場に立ちたがる人妻に手を焼く哲也~
真面目一方で、世の中のことをまるで知らないものだから、とんだ事件に巻き込まれた。 こういった時こそ、冷静な判断力が大切なのだ。 事件に糸口はこの女にあると、わかっていながら足踏み状態が続いていた。
(俺を轢いて逃げたあの車。 あれは俺が道に飛び出したからじゃない。 通りかかるのを待ち構えてやがったんだ)
公園も含め、3度も殺されかけている。 偶然に偶然が重なり助かったただけで、運が悪けりゃ間違いなく天国に召されてる。
あかりと名乗る女とデキる直前までは、出世だの仇討だのと考えていた。 が、
何もかも失い、明るいうちは馬車馬の如く働かされるが、暗くなると寝るしかない。 そんな環境に置かれ、ただ真面目に働いてくれさえすればなどと言われるにつけ、自然 ガムシャラではなく冷静こそが大切と、そう思えてきた。
冷静なつもりで街を、家直しの仕事にありつけないものかとブラついていて、かつてのお得意さんとバッタリ出くわした。
家に呼び込まれるまでは、そうとは気づかなかったが、入った途端玄関に鍵を掛ける辺りから妖しく思えてきた。
「あの女と、デキてたんじゃ…」
こう訊かれて初めて、このままじゃまずいと思い始めた。
「静 シンデレラキャット」 第16話 Shyrock作
軽い脳しんとうに見舞われた俺は、頭を冷やすためよろよろと布団から這い出した。
「レオぉ、だいじょうぶぅ?ごめんねぇ~、静、蹴飛ばしちゃったねぇ」
布団から這い出しベッドの隅でまるで伸し餅のようにのびていた俺に、静はやさしい言葉をかけてくれた。
まだ頭がぼんやりしていたが、ふと時間が気になって俺は掛時計を見上げた。
「にゃごぉ~~~っ!!(大変だ!!)」
時間はすでに午前0時を5分過ぎていた。
わずかとは言えレオと約束した時間が過ぎてしまったではないか。
俺は焦った。
「どうしたのぉ?レオぉ~」
「にゃがぁ~!!ふんがぁ~~~っ!!(うわ~~~!俺、人間に戻れなくなるじゃないか!?こりゃ大変だ~~~!!)」
「何をそんなに慌てているのぉ~?レオ、どうかしたのぉ~?」
俺、いや猫のレオがベッドの上をあわただしくグルグルと廻り、静から見ると実に滑稽であったろう。
その姿はまるで火が点いて慌てふためくかちかち山のタヌキにも似て。
わずかな時間とは言え静と結合までできてさらに親密さを深めるチャンスではあったが、今は人間に戻れるかどうかの瀬戸際だけに、俺はとにかく急ぎ自宅へ戻ることにした。
その他連絡事項
- 官能小説『知佳の美貌録「お泊まりデート」 彼のマンションから朝帰りする久美の次女瑠美』
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アップデート 2024/02/21 12:45
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